面接で聞いてはいけないこと|禁止事項やリスク、やりがちな質問例

選考辞退

応募者の人柄や雰囲気など、履歴書や職務経歴書だけでは判断できない部分をチェックするために行われる面接。採用に相当する人材かどうかを見極めるためにも、慎重に行いたいところです。

今回の記事では、そんな面接において聞いてはいけないタブー事項や聞いてしまうことによるリスク、やってしまいがちな質問例をご紹介します。法律違反とみなされる場合もありますので、事前にチェックして適切な面接を行いましょう。

目次

面接の目的と心得
「面接で聞いてはいけないこと」のルールや質問例
これは聞いてOK?NG?迷いやすい質問例
面接で聞いてはいけない質問をしてしまうことのリスクとは
まとめ

面接の目的と心得

そもそも面接は、選考フローの一部であり、企業が応募者を選定することを目的としています。そのため企業側は、応募者が「必要スキルを満たしているかどうか」や「社風や既存社員とのマッチ度」、「入社意欲」などを確認します。一部の企業では、圧迫面接などで高圧的に質問し、応募者のストレス耐性をみるケースもあり、企業側(面接官)の立場が優位だと考える方もいるようです。

一方、求職者側からしてみると、面接は企業とのファーストコンタクトにあたります。実際、企業に対して抱く印象は、企業とのファーストコンタクト時の体験に大きく依存し、採用過程で多少の変化はあっても第一印象からほとんど変わらないという傾向があると言われています。

面接官の方はもちろん、採用可否に関わる上層部の方を含めて、まずは下記の大前提を押さえて採用に臨みましょう。

  1. 本人の適性・能力のみを採用基準とする
  2. 応募者は未来の顧客となり得る可能性がある
  3. 面接官は応募者の入社意欲を左右する企業の顔である

「面接で聞いてはいけないこと」のルールや質問例

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それでは具体的にどんな内容に注意しながら、面接に臨むべきなのでしょうか。法律を含めた基本的ルールや質問例をご紹介いたします。

厚生労働省が提唱する基本原則

厚生労働省が提唱する「公正な採用選考の基本」では、求職者の人権を守るための基本原則が掲載されています。面接に臨む前に今一度確認しておきましょう。

面接における基本的な考え方

  • 応募者の基本的人権を尊重すること
  • 応募者の適性・能力のみを基準として行うこと
  (引用元:厚生労働省「公正な採用選考の基本」)

この2点を基本的な考え方として実施することが大切です。

また、「雇用条件・採用基準に合った全ての人が応募できる原則を確立」し、「本人のもつ適性・能力以外のことを採用の条件にしないこと」という原則が設けられており、就職差別に対する啓発を行っています。

面接官が注意すべき項目と聞いてはいけない質問例

面接官が注意すべき内容は、「本人に責任のない事項」と「本来自由であるべき事項」の2つに分類されます。具体的に聞いてはいけない項目や質問パターンについて、ご紹介していきます。

【1】本人に責任のない事項の把握
本籍・出生地に関すること
  • ご出身はどちらですか?
  • 実家はどのあたりですか?

家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)

  • ご両親はお元気ですか?
  • お父様はどちらにお勤めですか?

住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)

  • 今のお住まいは戸建てですか?
  • 〇〇市のどのあたりにお住まいですか?
生活環境・家庭環境などに関すること
  • 一人暮らしですか?
  • どんなご家庭ですか?
【2】本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握
宗教に関すること 信仰している宗教はありますか?何教ですか?

支持政党に関すること

支持政党はどこですか?

人生観、生活信条に関すること

あなたの人生観を教えてください。
尊敬する人物に関すること 尊敬する人物は誰ですか?
思想に関すること 愛読書は何ですか?

労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること

労働組合には加入していますか?また加入しますか?(※注)

購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること

購読されている新聞を教えてください。

(※注)労働組合法において、脱退や加入を約束させる質問を行い、約束しなければ雇用しないとすることが禁じられています。

参考資料:「公正な採用選考の基本」より|厚生労働省HP

質問例を見ると、「自分はこんな事聞かない」と思われるかもしれません。しかし、人間誰しも間違いはあり得ます。

実際、応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があったうち、家族に関することを聞かれたと答えた人は全体の40%以上を占めるというデータもあります。

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(画像引用元:厚生労働省「公正な採用選考の基本」/「事業主啓発用リーフレット」P2より)

アイスブレーキングを目的としたくだけた会話中に思わず……なんてことにならないよう、いま一度見直して注意喚起しましょう。

これは聞いてOK?NG?迷いやすい質問例

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面接シーンでNGとされる質問例や項目についてご紹介してきました。ある程度人材業界について知識をお持ちの方であれば、「こんなの聞かないよ」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

この項目では、迷いやすく、ついやってしまいがちな質問例をご紹介いたします。

迷いやすいNG質問例

  • ずっと現在の場所にお住まいですか?(本籍地に関わる)
  • 旦那様も在宅勤務ですか?(家族の収入に関わる)
  • お子さんは何歳ですか?(家族構成に関すること)
  • ○○駅の何口側にお住まいですか?(住宅状況に関わる)
  • 結婚や出産のご予定はありますか?(男女雇用機会均等法に抵触)
  • 結婚・出産しても働きますか?(男女雇用機会均等法に抵触)
  • 新聞(ビジネス書等)は読まれますか?(思想信条にかかわる:購読新聞・雑誌・愛読書など)

迷いやすいOK質問例

  • 前職のことについてお勤めだった会社へ連絡して確認しても良いですか?

→リファレンスチェックは本人の同意が得られれば合法的に実施することが可能です。こちらの記事では、採用にあたって第三者に問い合わせをするリファレンスチェックの方法や具体的なやり方についてご紹介しています。リファレンスチェックをする際の参考になれば幸いです。

  • 既往歴について伺ってもよろしいでしょうか?

厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断関係資料」によると、雇用主は労働者の既往歴及び業務歴の調査を行うことができるとされています。

  • 犯罪歴はありますか?差し支えなければご教授ください。

→こちらについてはあくまで任意回答とし、業務遂行にあたって必要な場合に限定して認められているものです。人権侵害と捉えられる可能性も含んでいるので、慎重に行うべきだと言えるでしょう。

本来、面接は自社にマッチした人材なのかどうかを見極めるために行われます。あまり禁止事項に捉われすぎて本質的な質問ができなくなってしまっては意味がありません。こちらの記事では、応募者の本音を見抜くために面接で聞くべき質問についてご紹介しています。応募者の本質を見極める面接を実施する際の参考になれば幸いです。

面接で聞いてはいけない質問をしてしまうことのリスクとは

厚生労働省によると、「個人情報の収集は、本人から直接又は本人の同意の下で収集することが原則」だとされています。それでは、合意を得ず(無自覚)に取得してしまった場合、どういったリスクがあるのでしょうか?

企業イメージを左右する可能性

前述もいたしましたが、企業イメージはファーストコンタクト時に得られた印象からなかなか変わらない傾向にあります。また最近は、求職者もコンプライアンスに敏感な人が増えています。

こういったことを押さえ、求職者と対峙する面接官の対応によって、企業イメージを著しく悪化させる可能性があることを常に意識しましょう。最近はSNSを通じて手軽に情報拡散できてしまう時代です。定期的な研修制度などを含めた面接官のトレーニングや情報のアップデートなど、コンプライアンス遵守に努めましょう。

法律に抵触する可能性

本人の能力や適性に関わらない内容によって、採否を判断することは厚生労働省によって禁じられています。違反行為をした場合は、職業安定法に基づく行政指導や改善命令、罰則(6カ月以内の懲役または30万円以下の罰金)の対象となる場合がありますので、重々注意しましょう。

効率的な面接を行うには

面接は求職者、企業ともに時間と労力を費やすものです。面接で聞いてはいけないことも大切ですが、その前の母集団形成も重要になります。こちらの記事では、効率的に母集団を形成するためのダイレクトリクルーティングについてご紹介しています。ダイレクトリクルーティングをすべき企業やメリットデメリット、おすすめのサービスを15選ご紹介していますので、母集団形成の参考になれば幸いです。

また、ダイレクトリクルーティングの一環にスカウトサービスもあります。スカウトサービスは企業から欲しい人材に直接アプローチできるサービスです。こちらの記事では、スカウトサービスの方法や料金体系、おすすめのサービスを厳選してご紹介しています。面接に臨む前に、マッチした人材にアプローチするための参考になれば幸いです。

まとめ

面接は、企業が応募者の適性や人柄を確認する選考の場です。また、それと同時に企業と応募者が双方について理解を深めるコミュニケーションの場でもあります。ぜひこの記事で紹介したようなコンプライアンスを遵守しつつ、自社にとって最適な人材を見極める面接を設計する機会としていただければ幸いです。

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