採用難が原因で黒字倒産に至る会社もあり、採用が成功するかどうかで会社の未来が左右されることもあります。中途採用がうまくいっていないのであれば、できることからしっかり対処を。まずは、自社の求人票が充実しているかどうかチェックしてみましょう。
売り手市場で山のように求人募集があるうえ、中途採用の場合は特に人生がかかっているため、求職者は応募先を吟味しています。ただ求人サイトに出すだけでは応募がこないことも珍しくありません。
職業安定法により、「業務内容」「契約期間」「試用期間」「就業場所」「就業時間」「休憩時間」「休日」「時間外労働」「賃金」「加入保険」「募集者の氏名又は名称」といった労働条件は明示しなければいけません。求人サイトやハローワークなどに求人を出す際も、この要件は満たしているはず。しかし、これはあくまで最低限であり、今のご時世これらの要素のみでは不十分でしょう。
最近の転職希望者は、具体的に自分のしたい仕事のイメージがあり、詳細なキーワードで検索して求人を探す傾向にあります。検索エンジンで、例えば「プログラマ 東京」などと検索すると山のように求人広告が出てきてしまいますし、そのような検索をする人は減っているでしょう。
「プログラマ」と一口に言っても、どんな業界でどんな言語を使って、どんなプロジェクトに携われるのか、どの程度の範囲を担当するのか、どんな人と一緒に働くのか……などを具体的に調べたうえで応募する人が増えているのです。
キーワードの少ない求人票はそもそも見つけてもらいづらく、見つけてもらったとしても、具体性に欠けると検討候補から外されてしまいがちです。
最近は、求人票ではなく「ジョブディスクリプション」(職務記述書)を作成する企業が増えています。ジョブディスクリプションとは、詳しい職務内容はもちろん、目的やミッション、与えられる権限、社内外の関係者や入社にあたって求められる条件(知識や経験等)まで詳しく書かれているものを指します。
フリマアプリを提供するメルカリ社も、ジョブディスクリプションを導入している企業のひとつです。
メルカリの中途採用情報をみると、エンジニア職だけをみても2019年7月時点で30以上のポジションがあり、それぞれにジョブディスクプリプションが用意されています。
メルカリ社のEngineering Manager, Machine Learningのジョブディスクリプション
欧米ではジョブディスクリプションの作成が一般的です。ミスマッチが起こりづらいほか、入社後の評価を行う際の基準として用いることができるというメリットも。今後、採用のグローバル化が進んでいく日本でも普及していくことになるでしょう。早めに導入を検討したいところです。
しかし、採用担当者に任せたとしても、慣れていないと勝手がわからず困ってしまうでしょう。うまく作成できないようであれば、他社の近い職種の例を見せて「これくらい詳しく載せたい」と要望を出すのもひとつの手です。
また、求人を募集している部署の社員の協力は欠かせません。
などをしっかりヒアリングしましょう。メールやWebツールを使ったアンケートも有効ですが、本格的なインタビューを行った場合は、いずれ原稿化して公式サイトやSNSなどにコンテンツとして載せることもできます。
例えばサイバーエージェント社では、2016年にコーポレートサイト上に「FEATUReS」をオープン。社長から内定者、入社15年目の社員に至るまであらゆるポジション・年次の社員インタビューを掲載しています。女性幹部のコラムや産休育休取得後に復職した社員を紹介したページでは、女性社員がどのように活躍できる社風なのかが、自然と頭に入ってくるような記事になっています。
ジョブディスクリプションに加えてこうした現場社員の生の声を届けることで、さらに採用の活性化につながるでしょう。しかし、社員インタビューを充実させるのは手間がかかります。もし、「インタビューの書き起こしやリライトにあまり手間をかけられない」ということなら、まずは「社員の声」として短い文を載せるのも手です。
採用を成功させるためには、現場の声をしっかり反映させた「充実した求人票」の作成が不可欠です。自分たちで求人票を充実させるのが難しかったり、人手が足りなかったりするのであれば、求人票作成をプロに任せるのもいいでしょう。ひとつでも多く自社の魅力をみつけて、積極的にアピールしていきましょう。
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