人材紹介業界では、大小さまざまな企業や個人事業主が多種多様なサービスを展開しています。そんな中、成果につながる求職者の集客は容易なことではありません。効果的な集客にはマーケティング視点が不可欠です。
今回は、転職エージェントが継続的に求職者を集客するためにヒントとなる情報を、マーケティングの観点からお伝えします。
人材紹介業の求職者集客に必須のマーケティングとは?
人材紹介業の集客を成功させるには求職者の理解から
まずは求職者の希望が満たされることを最優先に
まとめ
モノもサービスも飽和状態にある現代、厳しい競争を勝ち抜くためには、業界問わずマーケティングが必須です。人材紹介業界においても例外ではありません。
ここで「マーケティング」とは何なのかを、改めて整理しておきましょう。
日本マーケティング協会では、マーケティングについて以下のように定義しています。
「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」
引用元:https://www.jma2-jp.org/jma/aboutjma/jmaorganization
企業をはじめとした営利団体や非営利団体が、顧客や関係する個人などのニーズを理解し、それを満たす価値を提供するための活動がマーケティングである、といったところでしょうか。
あるいは、近代マーケティングの権威、フィリップ・コトラーによる定義、「マーケティングとは、人間や社会のニーズを見極めてそれに応えること」「ニーズに応えて利益をあげること」(コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント第12版」,2014)が、シンプルでより理解しやすいかもしれません。
また、マネジメントの権威、ピーター・F・ドラッカーによる「マーケティングの理想は販売を不要にすること」(マネジメント【エッセンシャル版】)の一言が、マーケティングの本質をよく表しています。
営利団体である企業におけるマーケティングとは、顧客のニーズを捉えて応えることで、利益を上げる活動です。マーケティングが理想的に機能し、顧客のニーズに的確に応える仕組みができると、ことさらに売り込むことなく自然に利益につながるサイクルが確立することも期待できます。
転職エージェントが求職者を集客する際の主なマーケティング手法には、次のようなものがあります。
・スカウトメール
・コンテンツマーケティング
・ソーシャルリクルーティング
・広告
それぞれの内容やメリット・デメリットは、以下の記事をご覧ください。
人材紹介会社におすすめの求職者集客方法4選と成功するためのアピールポイント3つ!
マーケティング活動の起点にもなりますが、人材紹介業で集客を成功させるには、まずはターゲットである求職者を理解することが重要です。その際必ず押さえておくべき点を2点紹介します。
この記事の主題は求職者の集客ですが、本来の目的は、より多くの求職者を満足のいく転職へと導くことです。
その目的を達成するには、求職者がなぜ今の会社を辞めて転職しようとしているのか、「なぜ」の部分を理解する必要があります。そこの理解が抜けていれば、有効な集客の施策を打つことができず、求職者が望む転職先を紹介することができません。仮に転職できても早期離職につながる恐れがあります。
求職者の中には今の会社に特に不満はないけれど、より自身を高めるためにといった理由で転職を考える人もいるかもしれません。しかし今の会社に何らかの不満があり、転職を決意するケースの方が一般的です。
例えば、給与の低さや正当な評価がなされないこと、業務量や業務内容に不満があるのかもしれません。あるいは、人間関係や社風、経営者の人となりなどになじめず、ストレスを感じているのかもしれません。
求職者が転職を決意した理由を理解することが、集客のための第一歩です。
今や人材紹介業界には、大手企業から個人事業主まで、多くの事業者が参入しています。そんな中、「転職を成功させるにはどのサービスを利用すれば良いのか分からない」という求職者が多くいることを、理解しておかなければなりません。各サービスの仕組みやサポート体制などをよく知らない求職者が、とりあえず名前の知れた大手を利用しようと考えるのは、極めて普通のことと言えるでしょう。
中には、転職エージェントの基本的な仕組みすら知らない求職者もいます。転職エージェントを利用すると利用料金がかかると誤解し、利用を避けているケースも少なからずあることを知っておかなければなりません。
逆に言えば、まだ潜在している多くのターゲットがいる可能性があるということです。
転職エージェントへの報酬は企業側が払うものであり求職者側には料金は発生しないといったことをあわせて発信することも、集客の上で有効です。
さまざまな角度から求職者をしっかり理解した上で、適切な手法で集客をかけていくようにしましょう。
先のマーケティングの定義からも分かるように、集客をする最終的な目的は利益を上げることです。しかし、自社の利益を上げることのみに軸足を置くと、求職者の気持ちを置いてけぼりにしてしまい、独りよがりで強引な活動になってしまうリスクがあります。
フィリップ・コトラーの定義では、「利益を上げること」よりも前に「ニーズに応えて」があります。何よりもまずターゲットの希望を満たすことが重要なだということが分かります。
求職者の集客において、「集客」そのものだけに目を向けすぎると、集客をした後の求職者へのサポートが手薄くなりがちです。最初は集客こそできるかもしれませんが、サポートに不満を感じた求職者から口コミなどで伝わり、次第に思うような集客ができなくなってしまいます。
求職者の満足度は次なる求職者を呼ぶバロメーター。求職者一人ひとりに誠実に丁寧なサポートをすることで、良い口コミ評価といった成果をもたらすことが期待できます。
その積み重ねにより、「求職者の満足⇒口コミ⇒集客」といった良いサイクルができ、理想的なリファラルマーケティングの実施へとつながっていきます。ドラッカーのいう「販売を不要」とまではなかなか難しいかもしれませんが、多くの労力をかけずに自ずと「集客」につながりやすいパターンができる可能性は十分にあります。
そうなると、これまで集客に費やしていたリソースを求職者のサポートへと振り分けることができ、さらに良い口コミへとつながっていく……そうなっていくはずです。
競合がひしめく中、どこよりも早く成果を出そうと前のめりになってしまうことはあるでしょう。しかし、自社の利益のみを意識した行動は、求職者に見抜かれ、いつしか広まってしまいます。あくまでも「求職者の満足」を優先して、誠実に対応することが重要。成果が出るまでに時間を要しても、短期的に終わるのではなく長期的な集客が見込め、結果的に大きな成果へとつながっていくことが期待できます。
持続可能な求職者集客をめざして、焦らず着実にマーケティング戦略を練っていきましょう。
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