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パレートの法則とは?人事・組織開発に活用する際のポイントを解説

作成者: 中途採用サクセス編集部|2022年01月12日 22:30:00

パレートの法則は、上位2割が全体の8割を生み出しているという考え方を言います。この法則は企業経営にも応用でき、人事や社内のマネジメントなどを考える上でも参考にすることができます。

本記事では、パレートの法則について分かりやすく解説した上で、ビジネスにおいてパレートの法則を活用する際のポイントも紹介します。

目次

パレートの法則とは
パレートの法則の活用例
人事におけるパレートの法則で大切なこととは
組織開発にパレートの法則を活用する時のポイント
まとめ

パレートの法則とは

イタリアの経済学者ヴィルフレッド・パレートによって、パレートの法則は唱えられました。1880年代における欧州の経済統計において、「個人の所得額」と「その所得額以上の所得を得ている人」との間で見出された法則です。

パレートの法則は「2:8の法則」とも呼ばれます。「2:8の法則」とは「売上の8割は2割の社員によるものである」という傾向を言い、集団で生み出す利益はごく一部の構成員によって生み出されているという経験則です。

パレートの法則は、働きアリを具体例に説明されることも多くあります。働きアリをよく観察してみると、役に立っているアリが2割、そこそこ貢献しているアリが6割、ほとんど貢献していないアリが2割であることに気付くでしょう。

つまり、全体の2割程度の働きアリだけが生産活動において高いパフォーマンスを発揮しているというわけです。

以下、パレートの法則についてより詳しく見ていきましょう。

パレートの法則の定義

パレートの法則は「上位2割が全体の8割を生み出している」と定義されます。2:8の割合から、「2:8の法則(にはち(にっぱち)の法則)」と言い換えられることも。

この法則は、社会現象および自然現象にも当てはめることができます。ほとんどの事象において、構成する要素は力を平均的に持っているわけではなく、力にはばらつきがあります。

このばらつきを集約すると、一部が全体に対して大きな影響を持つことが分かるのです。換言すると、全体の中で少数の要素によって、ほぼ全てが動いているというわけです。

働きアリの法則との違い

パレートの法則が働きアリの法則と似ていることは、前述した通りです。しかし、この二つは微妙に異なります。働きアリの法則はパレートの法則の後に生み出された法則、つまりパレートの法則が発展したものです。

働きアリは、働きもののアリは2割、普通に働くアリは6割、サボるアリが2割といった具合に分かれています。

興味深いことに、2割の働きもののアリだけを集めたとしても、すべてのアリが一生懸命に働き、全体で高いパフォーマンスを発揮するわけではありません。2割の働きもののアリたちの集団の中でも、「2:6:2」の割合へとしばらくすると変化します。

パレートの法則の活用例

パレートの法則は、ビジネスにおいても大いに活用されています。ここでは、ビジネスにおけるパレートの法則について、どのような活用例があるのかを見ていきましょう。

売上の8割は上位営業マン20%が生み出す

何千人という営業マンを抱えている企業は、日本においても数多く存在します。しかし、全ての営業マンが同程度の売上を出しているわけではなく、上位営業マン20%が売上の8割を生み出すと言われます。

売上の8割を生み出す20%の営業マンには、待遇を良くしたり、平均額以上のボーナスを給付したりするなどして、彼らのモチベーション維持や離職防止などに努める必要があります。

8割の営業マンで全体売上の2割程度しか生み出さない営業マンに対しては、モチベーションアップに向けた取組みの他、教育・研修などの実施も場合によっては検討すべきでしょう。

注意点としては、8割の営業マンをないがしろにしないことです。たとえ営業として利益をあまり上げていなくとも、社内において別の部分で重要な役割を担っていることも多く、切り捨ててよい存在では決してありません。

優秀な経歴を持つ人材の8割のうち2割が成果を出すことができる

近年、多くの企業において一般社員とは別に、優秀な経歴を持つ人材を雇っています。しかし、優秀な経歴を持つ全ての社員が高い成果を出せるわけではなく、成果を出せるのは8割のうち2割とも言われています。

この2割は、会社に大きな利益をもたらすだけでなく、他の社員の憧れとなることも。しかし、優秀な経歴を持ち、高い成果を出すからといって、マネジメント能力や指導力が高いとは言い切れません。

会社全体の生産性を高め、他の社員の能力を引き出すためにも、優秀な2割の指導力を上げるような教育体制が重要です。

売上の8割は全体の2割の商品が生み出している

ほとんどの企業が経営活動のために一つの商品だけではなく、さまざまな商品を取り扱っています。しかし、全商品の2割が売上の8割を占めているというケースも少なくありません。

この場合、8割を占める商品群でまんべんない売上アップを目指すよりも、売れ行きの良い2割の商品群において営業に力を入れる方が、さらなる売上を見込めると言われています。

売上の8割を占める2割の商品に注力することで、売上を盤石にできる他、売上アップや商品の選別における有効な戦略を導き出すことができるのです。

Webサイトの運営

昨今、多くの企業が自社サイトの運営を行っています。また、Web関連の企業を中心に、Webサイトから収益を得ている企業も最近では少なくありません。

Webサイト全体のトラフィックのうち、全体の2割のページによって8割のPVを記録しているサイトも多いと言えます。多くのコンテンツを展開するほど、「2:8の法則」が顕著になるという見方もあります。

Webサイトにおいてパレートの法則が見出される場合、上位2割のページに共通するキーワード、トピックなどを分析し、8割のページに組み込んでいきます。

人事におけるパレートの法則で大切なこととは

多くの人たちが集う会社では、社員の中でパレートの法則が見出されることも少なくありません。パレートの法則は自然発生的に起きるため、人事はパレートの法則を踏まえた上で、戦略を立てていく必要があります。

売上の8割に大きな影響を与える20%の優秀な社員には、適切な評価と報酬を与え、さらなるステップアップが可能な環境を整備することが必要です。

また、優秀な2割が売上面では貢献してくれるものの、マネジメント能力に欠けていることも稀にあります。社員全体のボトムアップのためにも、マネジメント能力や教育力を身に付けるための制度も忘れず整備しましょう。

ボリューム層である8割の社員に対しても、人事として意識を向けることを忘れてはなりません。8割のうち6割程度の社員は仕事に意欲はあるものの、積極的に行動できなかったり、仕事のやり方が漠然としか理解できなかったりといった問題を抱えています。

こうした悩みを抱える社員に適切なフォローをしたり、面談を行ったりすることで、将来的に上位2割に入る社員に育つケースも少なくありません。

ボリューム層である8割のうち、2割ほど下位に位置する社員がいます。人事は下位の社員に対して、なぜ成果をあまり上げられないのか吟味する必要があります。

適性のない業務を行っていたり、周囲との関係が上手くいってなかったり……といった問題を抱えているケースも少なくありません。問題を発見し、取り除いてあげることで、仕事に対するモチベーションがアップしたり、本来の能力を発揮できたりすることもあるため、意識してみましょう。

たとえ上位2割の社員にだけ目を向け、彼らの待遇を良くしたり、ボーナスを給付したりしても、組織全体を引き上げることはできません。会社の売上が一時的に上がったとしても、上位2割の社員のみを贔屓する経営ではそのうち破綻すると心得ましょう。

組織開発にパレートの法則を活用する時のポイント

ここでは、組織開発においてパレートの法則を活用するときのポイントを紹介していきます。組織開発について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

80%の人材もパフォーマンスの重要な要素として接する

企業において上位20%の社員だけが大切な人材ではありません。80%の人材もパフォーマンスにおける重要な人材に違いないはずです。

売上に直接的な貢献をしていなくても、社内の雰囲気を和らげたり、他の社員のサポートを懇親的に行ったりするなど、売上に間接的に貢献しているケースも少なくありません。それぞれの社員の良さや、特徴を捉えて、社内における重要な人材として接するようにしましょう。

上位20%の人材には、モチベーション維持が大切

上位20%の人材には、モチベーションを維持してもらうことが大切です。適切な評価が受けられなかったり、努力や成果が報酬に反映されなかったりする場合、モチベーションが低下する可能性が。

そうなると、上位20%に位置付けられる社員であっても、下位20%のパフォーマンスに落ちてしまうことがあるため注意したいところです。

優秀な社員の場合、ヘッドハンティングの話を持ちかけられることも多くあります。そうした誘いがきた場合にも自社に留まってもらえるように、所属意識アップやモチベーションを維持できるような環境整備や関係性構築を心がけておきましょう。

ヤフー株式会社は、従業員のデータを収集・分析することで、活躍人材の把握や退職者予測に役立てています。事例については、以下記事で紹介していますので、ご参照ください。

関連記事:ピープルアナリティクスとは?具体的な活用方法と最新事例を紹介

下位20%の人材には、面談を通じて成長をサポートする

下位20%の社員の中には、仕事や組織(会社)について悩みを抱える社員は少なくありません。

例えば、下記のような悩みを抱え、仕事が上手くいかないことがあります。

・仕事を頑張りたいけど、なかなか上手くできない
・悩みを抱えていて、仕事どころじゃない
・職場に苦手な社員がいて、業務に集中できない
・希望していた部署に配属されず、適性に合わない業務を担当している

仕事でパフォーマンスが落ちている社員には、面談を通して悩みや課題を明らかにし、サポーしていく必要があります。面談を通して、悩みなどの要素が軽減し、業務に注力できるようになるケースはとても多くあります。

1on1ミーティングやメンター制度などの導入も、社員全体のボトムアップにおすすめです。このような中途採用者が活躍できない原因や理由、対策方法については、以下記事で詳しく解説していますので、こちらもご参照下さい。

関連記事:中途採用で即戦力が採用できない4の理由|見分けるポイントや対策

まとめ

パレートの法則とは、上位2割が全売上の8割を生み出すという考え方です。ビジネスの分野、ないし社内においてもパレートの法則を見出すことのできるケースは少なくありません。たとえば、優秀な2割の社員が売上の8割を生み出しているケースは、最たる例と言えるでしょう。

もちろん、企業の8割の利益を生み出す2割に対して、昇給などの見返りは必要です。しかし、その他の8割の社員をないがしろにして良いわけではありません。企業の利益に大きく貢献できなくても、それぞれの社員にはその社員にしかできない役割や何かがあるはずです。

社員をマネジメントする立場にある方は、各社員の良さを見付け、それぞれに合ったサポートを行うことが会社全体の力を底上げする上で重要と言えるでしょう。

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