中途採用を行うにあたっては、「年収がいくらなのか」が非常に重要になってきます。求職者にしてみれば少しでも良い条件の企業へ転職したいものですが、採用する企業側としては人件費や既存社員の給与との兼ね合いから「ここまでしか出せない」という上限もあるでしょう。
しかし、「出せる金額」にこだわりすぎてしまうと、一般的な年収の相場を下回ってしまい、求職者に応募してもらえない可能性もあります。ではそもそも、どうやって年収を決めればいいのでしょうか。年収相場の調べ方も知っておきましょう。
中途採用における6つの年収の決め方
(1)自社基準
(2)前職給与
(3)職種平均
(4)職務レベル
(5)業績・成果
(6)等級
一般的な年収相場を調べる方法
【1】転職サイトの資料を参考にする
【2】「賃金構造基本統計調査」を参考にする
よくあるQ&A
Q:希望年収を確認する必要はありますか?
Q:採用時に「労働条件通知書」を渡す必要があると聞きました。いつ渡せば良いですか?
まとめ
日本における一般的な年収の決定方法は、「自社基準」に合わせる方法です。
採用において、求職者が持つ能力を給与として可視化することは難しいものです。そのため、年齢や勤続年数といった一定の基準をもとに、給与を決定する方法を取る企業が多いと言えます。公平さを保つことによって内部社員の反発を防いだり、人材によって稟議を上げたりする手間を防ぐことができます。
候補者が前職に貰っていた年収をベースに算出する方法です。
こちらも中途採用において多く用いられる方法です。経験者採用の場合、前職の年収水準と同等またはそれ以上を保証することで、応募者増や候補者確保を狙うことが可能です。前職の給与明細を確認する、面接において給与詳細(基本給、手当・賞与有無など)を確認するといった手間はかかりますが、求職者に安心感を与えることが可能です。
企業規模や職種による給与基準をもとに決定する方法です。
厚労省の「賃金構造基本統計調査」や、大手転職サイトDODAの「平均年収ランキング」といった資料を参考に、年収を算出します。統計データをベースにしているため納得度はありますが、各個人の能力やスキルをベースとしないため、不満に感じる人も出てくる可能性があると心得ましょう。
候補者の職務レベルをもとに決定する方法です。
自社で活躍する同職種・同年代・同レベルの社員と対比させることによって、職務レベル・年収を決定します。面接の印象をもとに決定するため、実際の活躍状況を見て、追って調整できるよう事前に書類で提示しておきましょう。
候補者の過去の業績や成果をもとに決定する方法です。
年齢、職種、経験年数といった表層的なものだけでなく、実績をベースにしているので求職者の納得度を得られやすいと言えます。
但し、プレゼンテーションが得意な候補者の場合、評価を誤ることもあるため判断は慎重に行いましょう。例えば、営業職の場合であれば、「●●エリアにおける新規開拓●件/月、月間達成率●●%」といった具合で、具体的な数値を確認したり、担当職種の難易度を総合的に判断したりすることで、能力を測るよう心がけましょう。
以下の記事では、Googleも導入する構造化面接を使って、営業職の面接で使える質問例を紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
「●●の対応ができる」「●●資格保有」といった自社で定めた等級水準によって、決定する方法です。
何ができるようになれば給与が上がるのかが明確なので、社員自らが目標を持って頑張る環境を醸成することが可能です。但し、企業独自の等級制度のため、内容によっては納得感を得にくい場合もあると心得ましょう。
求人募集のタイミングには、想定年収を決めておく必要があります。
「実際に人を見てみないと判断できない」と、とりあえず自社が出せる金額をベースに想定年収を決めてしまう企業もいます。しかし、同業他社や平均水準に対して年収が低く、知名度の低い企業の場合、応募が来ないばかりか求人の存在自体を知ってもらうことすらできない事態に陥る可能性が大きいと言えます。
そのため、まずは下記を参考に年収相場を確認しておきましょう。
大手転職サイト「doda(デューダ)」の「平均年収ランキング」は、職種別・業種別・年齢別・都道府県別に平均年収ランキングをチェックできます。
2020年の職種分類別の平均年収ランキングを見てみましょう。
例えば、IT/通信職種の「プロジェクトマネジャー」であれば、男性で690万円、女性で535万円であることが分かります。また、「年代別・年齢別の平均年収ランキング」を見ると、30代の営業系職種では500万円、技術系(IT/通信)系職種では511万円……といった具合に細かくチェックすることが可能です。ぜひ参考にしていただきたいと思います。
(画像引用元:独立行政法人統計センター|e-Stat 賃金構造基本統計調査 より)
厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」では、雇用形態や職種、性別、年齢、勤続年数などの属性別の賃金を細かくチェックできます。調査結果は政府統計ポータルサイト「e-Stat」で検索&閲覧することもできるほか、Excel(エクセル)などのデータとしてダウンロードも可能です。
賃金構造基本統計調査の「平成30年賃金構造基本統計調査」内にある「職種」から「職種・性、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」を見てみましょう。
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上記条件の場合、決まって支給する現金給与額(=残業代や手当を含んだ金額)は、「月額:31万300円」、「年間賞与その他特別給与額:56万7,000円」となっているため、年収に換算すると約429万円です。(※サイト上の表記は千円単位)
しかし、会社規模が1,000人以上に変わると、「決まって支給する現金給与額:38万9,400円」、「年間賞与その他特別給与額:138万3,300円」となり、年収は約605万円と150万円以上も跳ね上がります。仮に、大規模プロジェクトを経験している大企業出身のシステムエンジニアを採用したいと考えているのなら、こうした金額も参考になるでしょう。
賃金に関する統計は週刊誌などでも時折目にすることがありますが、自分でデータを確認すれば、ニーズに合わせて細かい数値まで調べることができます。信頼性・正確性も高いので、うまく活用してみてください。
A:法律上の規定があるわけではありませんが、事前にすり合わせを行う方が円滑に入社してもらうことができるでしょう。特に、年収は求職者が気にする重要なポイントです。最終面接時などに希望年収(月給、手当、賞与有無等)を確認し、自社の想定範囲内かどうか確認しておきましょう。
A:入社日に渡すことが一般的です。企業によっては内定のタイミングで「内定通知書」として渡す場合もありますが、詳細な労働条件を網羅しておかなければ意味がないため注意しましょう。
<書面で明示する必要のある労働条件などの内容>
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上記を網羅した労働条件通知書のテンプレートは、厚生労働省のホームページ「主要様式ダウンロードコーナー」内に公開されています。ご覧ください。
なお、この記事を読んで「自社でここまで手間をかけることはできない」と感じる採用担当者の方もいらっしゃるかと思います。そんな場合は、採用のプロである採用代行(RPO)サービス業者へ委託するのも一つの手です。以下の記事において、採用代行を導入するメリットやオススメサービスを解説していますので、ご確認ください。
繰り返しになりますが、どれくらいの給与・年収で採用するのかは、求職者と採用企業の双方にとって大事な要素です。「中途採用がうまくいかない」というのであれば、まずは仕事内容に対する想定年収が相場からかけ離れていないか、見直してみたほうがよいかもしれません。
もちろん、確認したところで「給与・年収を増額して提示するのは難しい……」ということもあるでしょう。そのような場合は、休日日数の多さや福利厚生の充実といった労働環境の良さを積極的に打ち出したり、応募要件のハードルを下げたりすることで、欲しい人材と想定年収との妥協点を探ることも必要になってきます。
今回紹介したような方法で年収相場をチェックしつつ、社内の規定・制度、求人広告でのアピール方法などを見直してみましょう。
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