景気に左右される新規求人数。2020年10月に厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況(令和2年10月分)について」によると、前年同月に対する減少率は全産業:23.2%減、製造業:29.4%減と、決して減少幅が小さくないことがうかがえます。
今回は、そんな人手不足の深刻化が課題となっている製造業界にフォーカスし、その原因と効果的な対策方法について徹底解説したいと思います。
製造業の人手不足の現状
製造業が人手不足に陥る理由
労働人口の減少
世代交代のタイミング
3K(きつい・汚い・危険)イメージ
製造業の人手不足を解消する方法3つ
【1】労働環境の改善
【2】IoT等の導入・活用
【3】採用活動の見直し
製造業の人手不足への成功事例3つ
成功事例①:シニア人材の活用で即戦力人材の確保
成功事例②:IT化でコスト削減・生産効率化
成功事例③:多様な働き方実現に向けた制度の見直し
まとめ
現在、日本では人手不足が根深い問題となっており、その中でも製造業界はその傾向が強い状況です。
1を上回ると、求職者数よりも人を探している企業数が多いと言われる有効求人倍率。厚生労働省が発表した最新データによると、全産業の1.04倍に対し、機械整備・修理の職業は3.82倍とかなり高い結果に。これは約4件の求人に対して、応募者がたった一人という結果を表しています。また、この他にも製品の検査1.21倍、金属材料の製造が1.82倍と、いずれも1を上回っており、技能人材の不足は明らかです。
また、中小企業庁の調査によると、長期的に人手不足が深刻化しており、こと中規模企業の方が従業員の不足感が強いことが分かっています。
(中小企業庁|「小規模事業者の労働生産性の向上に向けた取組」)P50より)
厚生労働省が2013年2月~2019年2月まで行った調査によると、正社員人材の不足は製造業がトップということからも、継続的な人材難がうかがえます。
(画像引用元:厚生労働省|「人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について」P82より)
では、なぜ製造業はここまで人手不足に陥ってしまったのでしょうか。3つの切り口から考察してみましょう。
日本では少子高齢化社会により、労働人口(働くことができる人口)が減少しています。また、少子高齢化の影響で地方の過疎化が進み、まだまだ東京への一極集中が著しい状況です。製造工場は地方や郊外に拠点を構えることが多いため、製造業におけるさらなる労働人口の減少を引き起こしていると言えるでしょう。
震災復興などによる需要供給のアンバランスさも少なからず影響を与えていますが、中でも大きく影響しているのが世代交代です。
経済産業省の調査によると、2025年までの間に70歳(平均引退年齢)を超える中小・小規模事業者の経営者の約半数が後継者未定です。これは日本企業の約3割であり、深刻な課題です。
製造業は、技術継承だけでなく経験の蓄積も必要となることもあり、早期解決が求められています。
製造業といえば、夜勤や早朝勤務などのシフト制労働、需要拡大時には休日出勤を求められる印象が強いことから、「製造業=ハードワーク」というネガティブなイメージを持つ人が多いようです。このため、働きやすさやライフワークバランスを重視する若者が増えている現代において、製造業は好まれない傾向にあります。
加えて近年製造業では、生産効率化に向けたIT化やテクノロジーの進化などに注力する会社が増えています。長期視点では働き易さにつながると言えますが、このような変化に伴って求める人材のハードルが上がっていることも、人材確保に難航している理由の一つかもしれません。
製造業の人手不足の原因が、ご理解いただけたかと思います。解消方法としては、「人材の新規獲得」、「既存社員の働きやすさ」、「採用活動の見直し」がポイントとして挙げられます。以下に解消するための有効な方法を具体的にご紹介していきます。
「製造業=ハードワーク」といったイメージにより、求職者の応募へのモチベーションダウンを引き起こしている可能性があります。仕事観は人それぞれ異なるため、多様な働き方が選択できる制度や風土を整備することで求職者のハードルを下げることにつながるでしょう。
その他、研修・セミナーの開催、資格取得時の報酬制度など、人材育成の強化を図ることで既存社員の自己成長への意欲や技術力のアップを期待することができるでしょう。
こちらの記事では、研修を企画する際のポイントや実際の運用方法をご紹介しています。研修後のフォロー体制まで網羅しているので、研修を企画する際の参考になれば幸いです。
IoTやAI、ビッグデータの活用は時間とコストを要することから、特に中小企業では導入に対する抵抗が存在します。しかし、メリットとして生産効率の向上や人的リソースの低減はもちろん、副次的に人件費の削減や重労働・安全衛生の改善をすることもできます。
また、このようなIT化を進めることはデジタルネイティブである現代の若者の興味関心を引き、製造業のイメージアップも期待できるかもしれません。
前述の「3K」イメージを払しょくすべく、「多様で柔軟な働き方に向けた環境整備」や「IT化」を実行して採用活動時にPRすると有効でしょう。PRツールとして、SNSや動画の活用など未開拓の媒体を活用することで新規人材の獲得が期待できます。
また製造業界は人材不足の反面、女性やシニア層の就職希望者数に対する有業者数が少ない状況にあります。外国籍や女性、シニア層など採用対象の幅を広げることや、再雇用制度を設けることで即戦力人材の確保をすることも検討してみると良いでしょう。
「そこまで人手を割けない」という場合には、採用代行を使うのも手です。採用代行は人材紹介とは違い、自社の採用業務をアウトソーシングする形になります。こちらの記事では、採用代行を使うべき企業の特徴や採用代行のメリットデメリットについてご紹介しています。採用代行を検討する際の参考になれば幸いです。
以下に製造業で実際に行われた、人手不足への成功事例をご紹介いたします。
ダイキン工業株式会社では、定年延長や再雇用制度の導入により、会社の文化や保有する技術に知見のある人材を確保することができ、採用活動や人材育成の労力を低減することができました。
(出典:「ダイキン工業における高齢者雇用の取り組み」|独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
六甲バター株式会社では従来、機械に人を配置して行っていた検査業務をIT化により無人でも対応できるようにしたところ、人件費の削減および生産工程の合理化を実現することができました。
(出典:「1分間540個のチーズをAIで検査、検査人員20人を省人化した六甲バター神戸工場」ひょうご経済+)
セムコ株式会社では、出産・育児関連制度の見直しや、ジョブローテーションの仕組みを取り入れて休みの社員のフォローをしやすくしたところ、女性や理系人材の応募者が増加しました。
(出典:「中小企業・小規模事業者の人手不足への対応事例(p60)セムコ株式会社」|中小企業庁)
製造業の人手不足を解消するには、「人材の新規獲得」と「既存社員の働きやすさ」を両立させた施策を検討することが大切です。採用活動はもちろん、社内の環境整備や風土の醸成も対策を講じることが必要であると言えるでしょう。
実際に優秀な人材の確保に成功している会社の採用手法を真似てみたり、プロの採用コンサルタント会社に頼ったりするのも有効な手法の一つでしょう。今一度、自社の取り組みや働く環境を振り返り、長く意欲的に働く人材の獲得を目指しましょう。
全国2万社のエージェントが集う採用プラットフォームで 株式会社グローバルウェイが運営する中途採用プラットフォーム「エージェントマネジメント(通称:エーナビ)」では、
といった圧倒的なエージェントの数と領域への最適化を行い、エージェントにやる気を出してもらえる工夫を施し、人材確保の精度を高めています。 そのため入社決定率は87%を超え、ご満足いただいている企業様が多数いらっしゃいます。 貴社の求人にフィットした候補者の推薦ができるエージェントが 全国に何社存在するかシミュレーションをいたします、ぜひ一度サービス内容をご覧ください。 |