上司や社長に「採用に関するコンテンツを充実させて」と言われたけれど、人事担当者は自分だけ。しかも、コンテンツなんて作ったこともない。頑張ってみたところで、期待される成果を上げられる自信もない。「無理言うな!」とひとりで頭を抱えている人もいるのではないでしょうか。こんなとき、どうすればいいのか考えてみましょう。
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例えば、社員がたくさん登場するインタビューや動画を使った職場環境の紹介などで、入社後のイメージを膨らませる。魅力を伝えるために頻繁に更新されるオウンドメディアで日々情報発信する、といった手法が増えています。
上司は、「情報発信量が増えれば、検索エンジンからの流入や直接エントリーも増えるのでは?採用広告費も削減できるのでは?」などと言うかもしれません。実際に自社メディアで多くのコンテンツを発信して、そういったメリットを享受している企業もありますが、そう上手くいくのでしょうか。
コンテンツを増やして応募者増加につなげようとしても、そう簡単にはいきません。その理由をみていきましょう。
上手くいかない理由のひとつは、効果が出るまでにすごく時間がかかるということです。特に、コンテンツ制作による「流入数の増加」はかなり難易度が高いでしょう。すぐに自然流入や直接エントリーが増えるのは、もともと企業名で検索されるようなかなり知名度の高い企業に限られます。
知名度の低い企業が、「今すぐにでも採用したい」という人材不足の状況で注力すべきとは言い難いでしょう。
もうひとつの理由は、コンテンツを作成するのは非常に手間がかかり、ノウハウも必要であることです。見切り発車すると、
また、コンテンツ制作に慣れない人事担当者が無理にコンテンツを作ろうとした結果、無駄に時間がかかって他の採用業務がなおざりになってしまい、コンテンツの質も低い、という結果になってしまうことも。頑張りがかえってマイナスに働いてしまうこともあるのです。
質の高いコンテンツをつくるには、しっかり目標を設定し、達成できているか検証していくことが大切です。ノウハウや時間が足らずに明確な目標の設定や効果検証をしないでいると、方向性のずれや効果の薄さに気づかない、といった事態が発生しがち。コンテンツは公開後もしっかり検証し、改善し続けることが大事なのです。
PDCAサイクルを回し続けることができず、結局効果的なのかどうかもいまいちわからないまま中途半端になってしまう……というケースはよくあります。
では上司から「コンテンツを作って」と言われ、今回紹介したような理由からやりたくない場合、どう返したらいいのでしょうか。いくつか例を紹介します。
ただし、「コンテンツを作らないほうがいい」というわけでは当然ありません。その他に注力しなければいけないことがあるなら優先順位は下がりますが、無理のない範囲でコンテンツ制作をすることそのものは有効な手段です。
そもそも、中小企業がコンテンツを充実させて期待できることは何でしょうか。それは、新規の人材流入よりも、“人材の質・マッチ度を向上させること”です。例えば、求人サイトや人材紹介会社からの紹介によって自社に少しでも興味をもってくれた人材は、まずは企業HPや採用関連サイトを見て研究してくるはず。コンテンツを見て理解を深めたうえで応募してきてくれるので、マッチ度が高まるという効果が期待できるのです。
そのために、少しずつでも採用関連の情報を増やしていくことは大切でしょう。新たにWebサイトを立ち上げるのはコストがかかりますが、「LinkedIn」のブログ機能や「Wantedly」のフィード機能などを利用して、情報を充実させるという方法もあります。
しかし、ダイレクトリクルーティングサイトのブログ機能などを使うとしても、人事担当者だけでコンテンツを作成する前提では、やはり破綻してしまうでしょう。事前に関係者を集めて「ネタ出し会議」を開き、継続可能性を探っておいたほうが賢明です。
また、現場の社員や上司、社長にも執筆を依頼する前提で進めることをおすすめします。持ち回りでできるだけ多くの人数を巻き込むことが大切です。これによって、社内で「コンテンツ作りは大変なもの」という共通認識も生まれ、無理難題を言われることも減るはず。また、仮に発信がどこかで滞っても、人事担当者だけのせいにはならないでしょう。
コンテンツ制作は大事ですが、ノウハウもなく人事担当者ひとりで抱えこむとかえって採用活動にマイナスになってしまいます。人事担当者がコンテンツ制作を始めるに当たっての注意点をしっかり理解し、決して「安請け合い」はしないように気を付けましょう。
折衷案が必要なら、ダイレクトリクルーティングサイトのブログ機能などを利用する、人事だけではなく、持ち回りで執筆を担当するようにするのもいいでしょう。
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