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採用力を高める人事制度4選│メリット、導入方法、注意点など

作成者: 中途採用サクセス編集部|2021年06月29日 22:30:00

企業として、競合他社に勝る要素を作ることは容易ではありません。特に採用活動においては、どのような要素があれば魅力アップにつながるのかお悩みの方も少なくないでしょう。

本資料はそんな課題にお応えするべく、中途採用において導入すべき4つの人事制度と、導入方法やメリット、注意点を解説。求職者が注目するワークライフバランスという要素にフォーカスして、ご紹介いたします。

目次

転職者の主な退職理由とは?
採用力を高める人事制度4選
 【1】テレワーク
 【2】残業対策
 【3】限定正社員
 【4】兼業・副業制度
まとめ

転職者の主な退職理由とは?

厚生労働省が正規雇用かつ現在仕事をしている労働者を対象に行った退職理由の調査によると、
「給与等収入が少なかった」が最も多く、次いで「労働時間が長かった・休暇が少なかったから」が上位に。この他にも、「自分の希望する仕事ではなかったから」「通勤時間が長かったから」と、企業の改善次第で退職防止が可能そうなものも挙がっていることが分かります。


(『第6回21世紀成年者縦断調査(国民の生活に関する継続調査)結果の概況』をもとに編集部独自でグラフを作成)

本記事ではこの結果を参考に、離職防止策としてはもちろん採用力強化にもつながる人事制度をご紹介。「従業員の働きやすい環境づくり」にフォーカスした施策をご紹介いたします。

採用力を高める人事制度4選

【1】テレワーク

新型コロナウイルスの流行を背景に、急速に導入企業が増加したテレワーク(リモートワーク)。総務省の調査によると、テレワークを積極導入している企業の約6割以上で労働時間が減少しているという結果も。通勤からの解放や、場所や時間に捉われずに働けるワークスタイルとして注目が高まっています。

テレワークには3種類あります。

1)在宅勤務

企業に雇われる従業員が「自宅」で働くことができる制度。フリーランスが家で働くことを想像される方もいますが、企業に雇用されていることが前提です。自宅に居ながら働くことができるため、家事や家族との時間などを確保することができ、ワークライフバランスという観点で魅力的だと言えるでしょう。ただし、新人や自走力が低い従業員の場合、手厚めにコミュニケーションを取る等の工夫が必要です。

2)モバイルワーク

モバイルワークとはコワーキングスペースやカフェ、移動中の電車等、いつでもどこでも働くことができる制度です。データ漏洩等のリスクがありますが、営業であれば外出先などで働くことができるというメリットがあります。

3)サテライトオフィス(サードプレイスオフィス)勤務

本社や勤務地から離れた場所に設置されたオフィスのこと。本社の場所によって分類され、都市部に本社のある企業が地方や郊外にオフィスを設置する地方型(郊外型)サテライトオフィスと、本社が地方にある企業が都市部に営業所として設置する都市型サテライトオフィスの2種類があります。

導入メリット

近年、オフィスの縮小化や閉鎖を行う企業が増えています。都市部の一等地であれば、相当な維持コスト(家賃、光熱費、社員の通勤交通費等)がかかりますので、テレワーク導入は「固定費の削減」に大きく寄与してくれるでしょう。

また、いずれのパターンにおいても、災害発生時の事業継続対策(BCP対策)や通勤等の社員の無駄な労力の削減が実現可能に。採用という観点では、ワークライフバランス向上による「労働力の確保」といったメリットも得ることができます。

<得られるメリット>
・働きやすさの実現
・生産性の向上
・労働力の確保
・固定費の削減

具体的な導入方法

続いて、テレワークの導入において重要な5つのステップをご紹介しましょう。

①目的の明確化を行う
 具体的には……
 ・生産性向上
 ・作業効率の向上
 ・ワークライフバランスの向上
 ・顧客満足度の向上
 ・人材流出の防止
 ・BPO対策(事業継続対策)
 ・オフィスコスト削減
②具体的な運営方法の決定する
 具体的には……
 ・社外で利用するPCの準備(接続回線など)
 ・コミュニケーションツールの検討(Google Teams、Chatworks、Slack等)
 ・運用ルール(テレワーク利用方法、業務状況の把握、テレワーク可能日数の設定、対象社員など)
 ・労務管理方法(勤怠管理、労働時間制度の見直しなど)
 ・セキュリティ対策(VPN接続の検討など)
 ・サテライトオフィス契約有無
 ・公平性の担保(テレワーク導入が難しい職種の社員に対する配慮等)
③社員への周知・啓発を行う
④テスト導入、効果測定する
⑤円滑に業務を進めるためのルールを策定する

このように、導入目的や運用後までを事前に決めておくとスムーズです。運用ルールについては実際に制度を活用しながら、ブラッシュアップを行いましょう。

導入する際の注意点

最後に導入する際の注意点を押さえておきましょう。

◆セキュリティ対策を行う

テレワークにおいて最も重要とも言えるのが、情報漏洩等に対するセキュリティ対策です。ウイルス対策ソフトの導入はもちろん、社員の意識改革を促すようセキュリティ研修も同時併行で行いましょう。

 ・情報漏洩リスクの観点から、無料Wifi利用の禁止、VPN接続などを検討する
 ・ウイルス対策ソフトの導入
 ・クラウドシステム利用のルール策定(重要データの暗号化等)
 ・定期的な情報セキュリティ研修の実施

◆業務管理

テレワークを導入した後に課題となるのが、社員の稼働実態の把握です。日報報告の徹底、スケジュールの入力、定例会の実施など、稼働状況を把握するための制度を整えましょう。

◆勤怠管理

稼働状況の把握と同時に検討したいのが、勤怠管理システムについてです。こちらも以下の様な項目と合わせて検討を行いましょう。

 ・クラウド型勤怠管理システムの導入
 ・ルール策定(稼働開始・終業時報告の徹底等)

【2】残業対策

残業が発生する要因はさまざまです。

単純に業務量が多い場合もあれば、能力に合わない仕事を割り当てられているというのは、よくあることです。また、仕事ができるマネージャー層や優秀人材に仕事が偏っている、「俺の時代は終電まで働いていたものだ」と武勇伝のように語る上司がいることで、残業=仕事を頑張っている、といった評価をされる場合も。
自社で残業が発生しているパターンが何なのか、まずは実態や課題をきちんと把握しましょう。

〈確認したいポイント〉
・能力を超える仕事を任せていないか?
・ある特定の人物(管理職や仕事ができる優秀層)に業務が偏っていないか?
・残業を許容する風土はないか?
・残業を美徳とする伝道師はいないか?

導入メリット

残業を削減することは社員が働きやすい環境を整えることによってワークライフバランスを整え、ひいては採用力の強化にも貢献してくれます。

・働きやすい環境づくり
・ワークライフバランスの実現
・不当な残業の防止

具体的な導入方法

続いて、残業削減を実現するための導入手順をご紹介しましょう。

①現状把握

作業時間と完了時間の確認や、残業が多い社員へのヒアリングを通して実態を把握しましょう。属人化している業務はないか、時間がかかっている業務は何か、自己認識している課題は何かについて確認すると良いでしょう。

②業務量の調整

ヒアリングした要素をもとに、業務調整を行いましょう。業務の属人化が起こっているような場合は、マニュアル作成の時間確保などを行いなどを行い平準化を目指します。

③残業時間の管理

社員の状況に応じて目標残業時間を設定し、超過した場合は個別に声がけを行います。

導入する際の注意点

最後に導入する際の注意点を押さえておきましょう。

・一気に削減を目指すのではなく、少しずつ導入する
・業務調整状況を定期的に把握・管理する
・マネージャーなどの管理者研修も視野に入れる

【3】限定正社員

「限定正社員」とは、勤務地、職務(仕事内容)、勤務時間を限定して働くことができる雇用形態の一つです。正規社員と非正規社員の中間に位置づけられ、両者の格差を埋めるための施策として推奨されています。

限定正社員には3種類あります。

1)勤務地限定正社員

勤務する地域が限定されている雇用形態です。「配属先の勤務地から異動がない」「自宅から通える範囲内での異動がある」「都道府県を越える異動もあるが、転勤は伴わない」といったパターンがあります。

家庭の事情等で転勤ができない社員の支援策となり得ることや、そのエリアならではの特性やサービスといったノウハウを蓄積し、提供することが可能となります。地元のニーズに合ったサービスを展開することによって、地元顧客や固定客の確保も期待できるでしょう。

2)職務限定正社員

職種や仕事内容を限定して働く正社員のことを指します。

担当する業務範囲を明確に分けることで、生産性を上げたい企業に利用されています。特定の業務を集中して担当することにより、プロフェッショナルの育成を目指すことが可能です。

3)勤務時間限定正社員

勤務時間限定正社員とは、働く時間や時間帯が制限された正社員のことです。
以下3つのパターンがあります。

<パターン>
 ・短時間正社員:所定労働時間が正社員に比べて短い
 ・残業免除等正社員:残業なしといった時間外労働の免除が認められている
 ・勤務日数限定正社員:所定労働日数が正社員に比べて少ない

育児や介護などの理由により、フルタイムで働けない場合に利用されます。副業やボランティアといった「本業以外の事柄と両立しながら働きたい」というニーズに対応できるため、今後さらに導入が増えることが予測されます。

導入メリット

・優秀人材の定着率向上

厚生労働省が調査している退職者の理由として多く聞かれるのが、この「労働時間・休日などの条件が悪い」という点です。個人の事情に応じて勤務時間を選択できるようにすることで、働きやすい環境づくりの一手となり得るでしょう。

・会社に対する愛着心の向上、モチベーションアップ

介護や育児といった個人の事情に応じて働きやすい環境を整えることも、今後企業として取り組みたい要素の一つです。「家族との時間を大切にしたい」「プライベートの時間を確保したい」など、従業員一人ひとりが理想とする生活を会社が支持することで、多様な働き方の実現が可能に。結果として、仕事に対してモチベーション高く取り組み、会社への愛着心を高めることを目指せるでしょう。

・技能の蓄積、承継

非正規雇用で働いている労働者の受け皿を限定正社員とすることで、技能の蓄積や承継、人材育成が可能となります。また、人材の獲得に苦戦する企業はもちろん、理念や技術、企業精神といった承継問題でお悩みの企業にとっても有効な手段の一つと言えます。

具体的な導入方法

続いて、限定正社員を導入する際の導入手順をご紹介しましょう。

 ①導入目的の明確化
 ②以下の様な雇用制度に関する具体的条件を定義する
  ・利用可能な対象社員
  ・制度の詳細(対象地域、勤務時間、職務内容等)
  ・限定正社員⇒正社員、正社員⇒限定正社員への変更条件など
 ③就業規則の記載
 ④社内告知

導入する際の注意点

最後に導入する際の注意点を押さえておきましょう。

1)制度自体の透明性や認知促進を図る

正社員で働く社員と限定正社員として働く社員との間で、処遇の差が生まれることによって、不公平感を抱く社員も。「自分ばっかり残業している」「転勤がないのに同じような待遇なんて……」といった不満を抱かせないよう、制度に関する認知促進や透明性ある制度設計を目指しましょう。

2)就業規則、労働条件通知書への明記を行う

「就業規則」とは、労働者の給与や労働時間といった労働条件をはじめ、労働規則・ルールなどを取りまとめたものです。常時10名以上雇用している企業は作成義務があります。また、「労働条件通知書」とは、雇用主である企業が労働者に対して具体的な労働条件について明示した書面のこと。こちらは従業員人数に関わらず、労働基準法により作成が義務付けられています。

限定正社員を導入する際は、記載漏れがないよう注意しましょう。

3)労働者に対する雇用条件の明示・すり合わせ

2)にて記載した書面で労働者と目線合わせを行うことも重要なポイントです。特に、給与等の労働条件や解雇事由についてはトラブルの元です。労働者にとってのメリット、デメリットをしっかり説明し、認識のすり合わせを行っておきましょう。

関連記事:限定正社員とは?正社員との違い、メリット・デメリット、成功事例

【4】兼業・副業制度

近年、「満足した給与が得られないので、もっと働きたい」「活躍の場を広げたい」といったニーズの高まりから、兼業・副業を希望する労働者が増えています。また、厚生労働省が2018 年1月に改定したモデル就業規則においても、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」とされており、今後導入を検討する企業が増えることが予測されます。

導入メリット

・社内では得られない知識・スキルを獲得することができる
 (ひいては自社の事業拡大に貢献してもらえる)
・優秀人材の流出および獲得優位性を持つことで、採用力を高める
・社員の自立性・自主性を高めることができる

具体的な導入方法

労働者が労働時間以外をどのように使うかは、基本的に労働者の自由とされています。具体的な導入方法を見ていきましょう。

①自社の就業規則を確認し、兼業・副業の業種・職種を定義する

兼業・副業制度を導入するにあたり、まずは以下のような項目について明文化しましょう。
・職務規定(会社の物品を使用しない等)
・会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと
・業務上で知り得た取引先等の機密を漏洩しないこと
・厚生労働省労働基準局監督課発行「モデル就業規則」をご参照ください

②兼業・副業をする際は社員に届け出をしてもらう

従業員に副業を許可する場合は、事前に兼業・副業先の企業名や仕事内容を届け出してもらいましょう。雇用主として把握しておくことで、リスクヘッジが可能です。

③副業時間を報告してもらう

導入する際の注意点

最後に導入する際の注意点を押さえておきましょう。

・兼業・副業を希望する社員に対して不当な扱いを行ってはならない
・労働者が安全・健康に支障をきたさないかどうかの把握、健康状態に問題が見られた場合は適切な措置を取る「安全配慮義務」がある
・「秘密保持義務」として、同業他社における業務を禁止したり情報漏洩義務を課したりすることができる

関連記事:「副業OKですか?」と聞かれたら…解禁すべき?副業のメリット・デメリット

まとめ

自社ならではの魅力を作ることは容易くありません。しかし、少しずつ強みを増やすことは可能です。今回ご紹介した人事制度を参考に、採用力強化に繋げていただけたら幸いです。

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