「会社で求人広告を出すことになったけど、何から始めてよいか分からない」「求人広告を出したけど、期待したような候補者が集まらない」など、求人広告でお悩みの採用担当者も多いでしょう。
ネットや雑誌で求人広告はよく見かけますが、いざ自分でゼロから作成する立場になると難しいものです。また、効果的な求人広告を作るためのポイントやコツをしっかり理解しないまま書き出すと、後になって失敗に気づき、一からやり直すことにもなりかねません。
今回は、多くの候補者に「入社したい!」と思われるような求人広告を書くために、基本となるルールや特に気を付けるべきポイントについても深堀りしながら解説していきます。
まず初めに、求人広告を書くために準備すべきポイントについて解説します。求人広告を出すのが初めてであれば、次の項目を準備リストとして手元に置きながら確認することをお勧めします。
求人制作において非常に重要なのは、「自社が求める要件を抽出し、分類すること」です。「絶対に譲れない条件(MUST)」と「あれば好ましい条件(WANT)」を分類し、必須条件と歓迎条件を書き分けることによって、取りこぼしを防ぐことが可能です。
ここでのポイントは、「採用する可能性がある人」をしっかりとイメージすることです。但し、最初から理想を追い求めてしまうと、候補者群が小さくなって該当者がなかなか見つからない……なんてことにもなりかねません。第1回目に行う際は、「面接しても良い人」という観点でスキルや志向性を洗い出し、応募状況に応じてブラッシュアップすれば、取りこぼしがないため良いでしょう。
ここで整理すべきことは下記2点です。
採用を検討している現場のメンバーとよく話し合い、応募者の条件を明確にしていきましょう。以下に記載例を挙げましたので、ご参考になさってください。
必須条件 |
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歓迎条件 |
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必須条件 |
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歓迎条件 |
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候補者の条件が明確になったら、次は「アピールポイント」を考えます。候補人材が入社した後、「自社は何が提供できるか?」という観点で洗い出してみましょう。
ここでのポイントは、「この転職によって得られるメリットは何か?」を徹底的に洗い出すことです。年収アップといった実利はもちろん、研修制度による成長の可能性、仕事自体のやりがい、ワークライフバランスが保てる働き方・カルチャーといった面もリストアップしましょう。
また、事前に洗い出した内容が候補人材に刺さるかどうかも重要です。成長意欲のない人に対して、「成長できる環境です!」とアピールするような事がないよう、候補人材ならどういったメリットが刺さるかを考え、抽出していきましょう。
「自社にはアピールできるものが何もない」とお悩みの企業は、無料で導入できる福利厚生もありますので、以下の記事を参考になさってください。
当然の事ですが、求人広告には実際に携わる仕事について掲載しましょう。
現場へしっかりヒアリングを行い、実際の仕事内容や働く環境について理解・把握した上で原稿を作ることで、ミスマッチを防ぐことができます。人事として仕事の内容を把握しているつもりでも、現実と乖離している場合があるため、ぜひ実施していただきたいと思います。
また、繰り返しになりますが、転職者は現職で実現できなかったことを変えたいと思って求人広告を見ているはずです。自社であればどのようなことができるようになるのか、具体的なイメージを持ちやすいよう記載することを心がけましょう。
★ポイント:経験者でも違いがわかる内容にする★ 仕事のイメージがつきやすいように、一日のタイムスケジュールや繁忙期の時期を併記したり、新人研修やフォロー制度を記載したりすることで、現職との違いを浮き彫りにすることが大切です。広告スペースも限られているため、社内ルールなど細かなことまで書く必要はありませんが、候補者が不安なく応募できるように、他社との違いを明示しましょう。 |
イラストや写真は、ありさえすれば何でもいいだろうと考えがちですが、意外と大切なポイントです。文章でいくら職場の魅力を伝えても、写真が社の外観のみでは説得力に欠けます。
例えば、フラットで風通しのよい社風を伝えようとする場合であれば、カジュアルな服装でみんなと談笑しているシーンなど、「ここで自分も働くのだ」と応募者が実感できるような写真を使いましょう。
この章では、掲載項目別に書き方を解説いたします。
なお、掲載に際しては、職業安定法や労働基準法などの法律を守らなければなりません。最低限押さえておきたい法律・内容については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご参考になさってください。
求人広告において、募集背景を見ている求職者は多いものです。求人を掲載しているのですから、増員または欠員による募集が主な理由であることは求職者も分かっているため、詳しい背景を添えると良いでしょう。
増員の場合であれば、「クライアントからの受注が増加しており、新たなプロジェクト立ち上げのため増員中」などの理由を。欠員の場合であれば、「創業メンバーが次のステージに挑戦するために退職予定。これに伴い、新しいメンバーを募集中」など、候補者が納得感を得られるような内容にすると良いでしょう。
前述した通り、求める条件が明確になっているようであれば、「必須スキル」と「歓迎スキル」に分けて書くようにしましょう。これは、取りこぼしがないためです。また、「営業経験3年以上」といった漠然とした記載は避け、具体的な記載を心がけましょう。
例えば、営業でも法人なのか個人なのか、売り方はどのような方法なのか、人によって身につけているスキルは異なります。一方、「見積もりから契約締結まで一貫して取り組まれたことがある方」という書き方にすれば、具体的なイメージが持ちやすく自分が該当するのかどうか事前に判断しやすくなります。
仕事内容は最も重要なポイントになります。どのような仕事なのかの詳細はもちろん、どのように進めるのか等、できるだけ詳しく書くよう心掛けましょう。求職者が働くイメージをリアルに抱けるようにすることで、応募アップが期待できます。
反対に曖昧な表現になってしまうと、候補者は入社後のイメージができませんので、応募されない可能性も出てきてしまいます。気を付けましょう。
求人広告に載せる給与は、候補者が最も気にするポイントの一つです。記載内容に関するトラブルも多い項目ですので、誤解を与えないよう必ず下限金額を記載しましょう。ポイントは、転職後に必ずもらえる金額を記載することです。
また、固定残業代制を採用する場合には、厚生労働省からもアナウンスされている通り、適切に明示するよう注意するようにして下さい。
<例>時間外労働の固定残業代制
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ここまでは、求人広告に必要な基本情報を抑えてきましたが、それをどのように見せれば応募者が魅力を感じて多くの募集が集まるのかについて解説していきます。
求人広告はテキストがメインですので、抽象的な表現が続くと、候補者は具体的にイメージできなくなってしまいます。そのため、同僚の中でも比較的優秀と言われている社員などをイメージしながら、具体的な条件に仕上げることが良いでしょう。
<例> 不動産業界経験5年以上で10名程度のチームメンバーをリードしながら営業活動を行った経験のある方 |
採用担当者が伝えたい内容と、候補者の目に留まる内容のバランスをとることが重要です。候補者が少なすぎる場合、求人広告が候補者目線の内容になっていないか応募条件が厳しすぎる可能性がありますので、もう一度検討してみましょう。
候補者にとって、求人広告は企業とのファーストコンタクトになります。そのため、第一印象をいかに良くするかが何より重要です。
そこでポイントになってくるのが「一目で理解できるか」です。求人広告では情報が足りないので質問してみないといけないとなると、候補者が応募するハードルが高くなってしまいます。一度読めばほとんどのことはイメージできる状態になるように注意してください。
例えば、サイバーエージェントでは、「FEATUReS」という社内インタビューサイトをオープンしています。社長から内定者に至るまでのあらゆる社員のインタビュー記事を掲載しています。
求人広告に加えて、こうした現場の声を少しでも盛り込むことで、候補者がより転職後の姿をイメージできるようになるでしょう。
ここまでは、求人広告を魅力的にする書き方について説明してきましたが、一方で、人が集まらない求人広告についても見ていきたいと思います。良い例と悪い例を比較して知っておくことで、より効果的な求人広告の作成に役立ててください。
仕事のイメージができないと、候補者は応募をためらってしまいます。
<悪い例> 不動産の紹介を通じて、人をハッピーにする仕事です! |
こちらの広告では表現が抽象的過ぎて、具体的にいつ何をどうする仕事なのかわからない求人広告になります。候補者が具体的に仕事をイメージできる内容にしましょう。
<良い例> 1日3~4組のお客様を内覧ご案内します。都内沿岸エリアのタワーマンションなど高額物件を中心に扱っていますので、お客様は経営者や管理職の方など、比較的ハイクラスの方が多いお仕事になります。営業トークではなく、接客する意識で丁寧な対応をお願いします。 |
1日何組くらいの顧客を案内するかは、仕事の忙しさを表すヒントになっています。扱う物件や顧客層などは、転職後の仕事ぶりを具体的にイメージする重要な情報になります。
さらに効果的な求人広告にするためには、マイナスな情報も隠さずにしっかり伝えることが大事です。入社後にミスマッチに気づいてしまうと、早期退職につながる可能性もありますので、実際の状況をありのままに記載しましょう。
また、そうすることで入社後の離職率を軽減できます。例えば、求人広告で全く残業について触れないのはリスクがあります。せっかく入社してくれたとしても、すぐに辞めてしまうリスクも高くなります。そうなると結局は採用コストが高くなってしまいます。
マイナスの部分もしっかり記載することで「それでもいい」という覚悟を持った候補者を集めることができます。
ここまでの説明で、求人広告はより効果的なものになっているはずですが、最後に作成時の注意点について解説しますので、原稿の最終チェックを行いましょう。
意外と大事なポイントがここですが、例えばWebで求人広告を掲載する場合、どんなに有名な転職サイトに求人広告を掲載して広告の表示回数を多くしたとしても、候補者が詳細情報を見るためにクリックして閲覧をしてくれなければ、効果的な求人広告とは言えません。
特に中途採用の場合は、現職と転職活動を並行して行っていますので、候補者にもあまり時間がないことから、一目でクリックしてもらえるような魅力的なメッセージになっていることが重要です。そのためには、求人内容の中でも候補者にとって最も魅力的だと思われる点を求人広告やTOP画像のトップラインに記載するようにしましょう。
法律に触れるNGワードを使用していないか、しっかりとリーガルチェックを行いましょう。どうしても気になる場合には、プロの人材紹介会社に確認をお願いするなどしてチェックすることもできます。
前述しましたが、特に固定給与にみなし残業代が含まれる場合は明記することが必要です。
労働基準法では、「使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません」などと定められていますので、法令を遵守するようにしてください。
こちらも、「使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません」と労働基準法で規定されていますので、逸脱しないように正しく記載するようにしてください。
基本的には、性別、年齢、国籍、本籍地などを応募条件にすることはできません。ただし一定の条件では、性別と年齢に制限をかけることが可能ですので、あらかじめ人材紹介会社などに確認すると良いでしょう。
アピールしたい気持ちはわかりますが、行き過ぎた表現になることは危険です。誰しも自社を良く見せたい気持ちはありますが、それが実態と異なるレベルになると問題です。結果として選考辞退や早期退職につながってしまい、採用コストが無駄になってしまう可能性もあります。
採用活動を成功させるためには、人事が伝えたいことと転職者が知りたいことをしっかり反映させた「効果的な求人票」の作成が必要不可欠です。もし自分たちで求人広告を作成することが難しかったり、人手が足りず時間がなかったりするのであれば、プロのコンサルタントに任せるのも一つの方法でしょう。
何を記載する必要があるのか(または必要がないのか)をきちんと現場と議論し整理したうえで、自社にマッチした人材を獲得していきましょう。
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