従業員を採用しようとなったとき、書類選考や面接といった工程に目が行きがちでしょう。。しかし、これらの選考をする前に採用計画の立案が必要になります。採用計画を立てることで、自社に合った人材を、無駄なコストなく効率的に採用することができます。
この記事では、採用活動の具体的なスケジュールや業務内容、成功させるためのポイントをお伝えします。また、新型コロナウイルスの流行に伴って、採用市場の状況が一変したことを受け、こうした事態でも自社に最適な人材を採用するためには何をしたらよいか、についても解説しています。
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採用活動とは、採用広報、求職者への案内、選考、内定後のフォローなど、採用に関わるすべての活動を指します。書類選考や面接は採用活動の一側面に過ぎません。採用したい人材の要件を決めたり求人を周知したりといった、採用に必要な一連の活動が採用活動です。
採用活動のスケジュールは、採用したいターゲットによって異なります。新卒採用では1年計画でスケジュールを立てることが多いですが、中途採用では最短1カ月~1年以上とばらつきがあります。これは、新卒採用がポテンシャル採用や企業の新陳代謝を目的とした採用である一方で、中途採用は即戦力の欠員補充といった意味合いが強いためです。
利用する採用媒体やターゲットのポジションなどによっても採用活動の内容は異なりますが、ここでは一般的に必要となる段階を1つずつ説明していきます。最初にすべきことは採用計画の立案です。次いで、母集団形成のための採用広報、条件をクリアした求職者への選考案内、面接、内定者フォローなどが必要になります。
まずは採用ターゲットを明確化し、採用と入社時期、採用人数などを計画します。
中途採用の場合、欠員補充や事業拡大や新規事業立ち上げでの採用が多いでしょう。その際、ある程度の採用時期や入社時期を決めておかないと、業務に差しさわりが生じる可能性があります。入社時期は求職者の都合によっても前後しますが、遅くともいつまでに入社してほしいのかという締め切りを決めておくと、入社日の調整もスムーズになります。
また、何名程度採用するか決めておくことで、各選考でどのくらいの人数を通過させるか決めることが出来ます。
次に必要になるのが採用の広報活動です。例としては採用媒体や人材紹介サービスの選定、転職イベントへの出展、SNSの活用などが挙げられます。広報活動を十分に行えば求職者の母集団形成が出来ますので、この後、候補者へ選考案内や面接日程の調整を行います。
採用媒体は、人材紹介会社経由なのか、転職サイトに広告を出すのか、ハローワークを使うのかなどの選択肢があります。。媒体ごとに、掲載時期や費用などの点でメリット・デメリットがありますので、自社求人の特徴を踏まえたうえで選びましょう。一般的に、管理職などのハイレベル層の求人と応募者は、人材紹介会社に集まる傾向があります。
また、職種によっては一般的な転職サイトではなく、職種・業種に特化した転職サイトを選んだほうが、人材が集まりやすい場合もあります。最たる例は、Webデザイナーやプログラマーといったクリエイティブ人材、弁護士や公認会計士といった士業です。
例えば、マイナビ転職で「Webデザイナー」の求人を検索すると80件ありますが、IT業界に強い求人サイト「Green」で検索すると、1618件ヒットします(2020年10月15日現在)。募集求人の多さは企業にとって、それだけライバルも多いことを意味しますが、自社の欲しい人材層が集まりやすいという点では、利用するメリットもあります。詳しくは関連記事をご覧ください。
母集団形成ができたら、応募者の書類選考や面接を行い、人材の見極めを行いましょう。内定を出したい候補者がいたら、社内配置の調整も必要です。内定を出した後には、内定辞退を防ぐためのフォローアップも行いましょう。
新卒採用の場合、内定式や内定者懇親会などを開いて内定者フォローを行う企業がほとんどです。しかし中途採用の場合はそう多くないのが実状でしょう。
求職者の立場に立つと、内定を貰ってから入社するまでは「本当にこの会社で良いのか」「他にもっと条件の良い求人があるのではないか」と不安になる時期でもあります。。この時期にしっかりと自社に繋ぎとめておかないと、条件の良い他社の内定が出た際に辞退されてしまいかねません。
内定者フォローの例としては、「何かあったらいつでも相談してください」と、求職者の不安を少しでも減らせるような空気感を作っておくこと、もしくは、不安に思っていることを相談できる機会を作ったり、一緒に働く予定の人たちと話す場を設ける企業もあります。
2020年は新型コロナウィルスの流行により、これまで行っていた対面での採用活動が難しくなりました。採用市場も売り手市場から買い手市場へと変化しています。この傾向は、新型コロナウィルスによる企業の業績悪化や倒産といった不況の影響も出てきており、今後も買い手市場が続くと予想されます。
採用市場はこれまで「売り手市場」と言われ、企業は人手不足に陥っているという見方が強くありましたが、コロナ禍で状況が変わってきています。厚生労働省の一般職業紹介状況によると、2020年7月の有効求人倍率は1.08倍でした。新型コロナウィルス流行前の2019年12月の有効求人倍率は1.57倍であり、有効求人倍率は2020年に入り緩やかに減少を続け、「買い手市場」へ変化しつつあることが分かります。
2020年7月の新規求人は、前年同月比較で28.6%減でした。業種別に見ると、飲食サービス業(44%減)、製造業(40.9%減)、娯楽業(34.5%減)、情報通信業(34.1%減)、卸売業,小売業(33.4%減)と、幅広い業種で求人が減少しています。
企業の人手不足感が落ち着き始めているというデータはほかにもあります。帝国データバンクが2020年8月に発表した「人手不足に対する企業の動向調査」によると、「正社員が不足している」と答えた企業は30.4%でした。これは、前年同月比18.1ポイント減少です。むしろ「正社員が過剰」と答えた企業は、2018年7月には7.8%、2019年7月には9.3%でしたが、2020年7月では22.9%と大幅に増加しています。
一方、介護、看護、保育、建設、運輸等の業界で、将来的に労働力が不足する可能性が指摘されている試算もあります。しかし、このデータは新型コロナウィルスの流行前に発表されたものです。労働人口減少に伴い人手不足が加速していることは否めませんが、新型コロナウィルスの影響により採用市場が鈍化していることは明白です。ウイルス流行の収束見通しが立たないことからも、採用市場が売り手市場に戻るまでには時間がかかると見られます。
(参考:総務省の資料「自治体戦略2040構想研修会」)
コロナの影響で人材不足感が落ち着いているとしても、欲しい人材の採用は難しい、と感じている企業も少なくないのではないでしょうか。採用計画は立案後も、状況に応じた柔軟な対応・調整が必要です。人数やターゲット像など、事業計画と合わせて修正していくようにしましょう。
新型コロナウイルスの感染防止も兼ねて、採用活動をすべてオンライン化する企業も出てきています。書類選考はメールや専用フォームから送ってもらい、面接はオンライン面接にする、リモートによる内定者フォローを行うなどの方法で対応できます。
採用活動を成功させるためのポイントは、求めるターゲット像を明確にし、自社の採用課題を洗い出すところから始まります。また、今後の採用活動にはオンライン化への対応が必須です。
採用活動で最初に行うべきなのはターゲット像の明確化です。採用ターゲットが決まっていないと、書類や面接の評価基準が採用担当者ごとにぶれてしまいます。すると企業側としては「せっかく内定を出したのに、思っていた働きぶりをしてくれない」と、期待に添わない人材を採用してしまうことになります。これでは入社した側も「思っていた業務・社風と違う」と、ミスマッチを感じるでしょう。結果的に早期離職が起きれば、採用にかけた時間・お金・労力、場合によっては育成コストまでもが無駄になってしまいます。
こうした事態を防ぐために、具体的にどんなスキル・経験を持った人が必要で、その理由は何か、どんな性格や志向性を持っている人が望ましいかなどを、選考を始める前に出来る限り言語化しておきましょう。人事部内だけでこれらを決めることが難しい場合は、人材を必要としている部署にヒアリングすると、より具体的な採用ターゲット像を作ることができます。
オンライン面接は直接会わない分、ノンバーバルなコミュニケーションを取りにくく、候補者や企業の雰囲気が伝わりにくいという難点があります。電波状況で通話の質も安定せず、ミスコミュニケーションに繋がりやすい環境です。しかし、採用担当者はそんな状況下でも、求職者の適性を見極めなくてはいけません。
活躍してくれる人材を見抜くポイントのひとつは、リモートのワークスタイルに慣れている人材かという点です。新型コロナウィルス蔓延以前の働き方は、一つの場所に集まって協力しながら仕事を進める、オペレーション型雇用やメンバーシップ型雇用でした。これがコロナ以後には、クリエイション型雇用、ジョブ型雇用へ移行すると言われています。誰かに指示を受けて仕事を行うのではなく、今自分ができること、必要とされていることは何かを考え仕事し成果を出すといった自律的なワークスタイルを求められています。
リモートワークの経験が豊富な候補者であれば、リモートワーク時はどんなツールを使い、どのようなことを考えて業務を行ってきたのか、それによってどんな成果を出したのか聞いてみましょう。そうでない候補者も、自主的に行った勉強はあるか、それはどのように仕事の成果に繋がったかなどを聞いてみるとよいかもしれません。
もし、面接のオンライン対応を考えていないという場合は、危機感を持ったほうが良いかもしれません。他社が選考のオンライン化をしているなかで対応をしないとなると、競合他社へ人材が流れるリスクがあります。
採用活動を人事だけで行うのではなく、人材を求めている部署を巻き込んで行うことで、理想的な人材を獲得できる可能性が高まります。
近年、株式会社HERPが提唱している「スクラム採用」という言葉が注目を浴びています。これは全社、特に人材を必要としている現場の部署が中心となって採用を行おうというものです。採用に必要なフローや方法を人事が決めるのではなく、現場で働く社員の誰かを担当者にします。採用活動で得られた結果は全社員が見ることができるようにしたうえで、人事は採用の主担当としてではなく、プロジェクトマネージャーとして採用に関わります。スクラム採用では、人材のミスマッチや早期離職を防ぐ効果があると言われています。
こうした背景を加味すると、面接では配属予定部署の責任者も同席することが望ましいと考えられます。これによって選考基準・方向性を合わせられると、求める人材像から大きく離れることなく合否を出すことが出来ます。
採用活動とは、採用計画策定から内定後のフォローまで、一連した流れすべてを指すことがわかりました。具体的な業務工程やそれぞれで気を付けるべきポイント、コロナ以後の採用市場のトレンドや、結果を出すために身に着けるべき視点なども一緒にご紹介してきました。ターゲットを明確にした採用計画を立てて、ぜひ中途採用にお役立てください。
【記入例付】いますぐ上司と目線合わせができる! ではどうすれば、要件がすり合うのでしょうか?まずは、経営と現場の両サイドの情報を整理、マスト要件等の定義、市場等のすり合わせの順に展開するとスムーズです。 ただし、これらを何も使わずに会議で議論しながら進めることはほぼ不可能です。 中途採用サクセスでは、採用コンサルタントが有料研修で提要している内容を、採用担当者が自社で使いやすい形に資料化しました。
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