中途採用のために求人サイトへ掲載したり、人材紹介会社に求人票を出したりしているけれど、思うように応募がない……と悩む経営者や採用担当者の方は少なくないと思います。応募が来ない大きな理由のひとつとして、「アピール不足」が考えられます。
この記事では、求職者へ発信すべきアピールポイントの見つけ方やアピール例を通して戦略的なアピール方法について解説いたします。
昨今は「求職者が企業を選ぶ時代」と言われており、転職サイトに登録している求職者のもとには、毎日のようにスカウトメールが届きます。求職者は何十件もの求人を目にしているため、最低限の労働条件だけ書かれた求人や、ありきたりな言葉を並べたような求人は、求職者の目に留まらずスルーされてしまうことがほとんどです。
しかしながら、良い事ばかりを書いた求人は警戒されるため、上手に自社の課題点を交えつつアピールをするというテクニックも必要になります。
そうなのです。実は、このようなコツを押さえて、求人をアピール出来ている企業は少ないのです。
黙っていても応募者が集まるのは、既に確固たるブランド力を持つ大企業だけ。会社の魅力や実態を伝えることで、応募者の増加・ミスマッチの減少につながります。では、求職者に対してどんなことを発信していけばいいのでしょうか。正解はひとつではありませんが、いくつか例を挙げてみましょう。
行動指針、目指す世界観、「〇年までに売上〇%アップ」「〇年までに新規事業を軌道に乗せる」といった中長期目標など。募集職種・ポジションに関連する具体的なビジョンを共有できるとなおいいでしょう。
「プライベートと仕事を両立して欲しい」「全員に経営者の視点を持ってほしい」など、多かれ少なかれ経営者は社員に対して抱いている思いがあるでしょう。こういったことも、求職者に対しても積極的に発信することが大切です。「え、そんな事知りたいの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、会社の運営方針や働き方にも関わる事ですので、ぜひ入れましょう。
「スキルアップできる環境」「仕事にやりがいがある」「待遇が良い」「幅広い業務に携われる」など、企業によって働く社員のモチベーションはさまざま。人によっても当然異なりますが、多くの社員が感じているメリットを理解し、求職者に伝えられると良いでしょう。
「仕事では協力し合うが、プライベートでは適度な距離感を保っている」「和気あいあいとした雰囲気で、社員同士仲が良い」など、職場の雰囲気を伝えることも重要です。職場に求める雰囲気は人それぞれ違うため、取り繕う必要はありません。
特に面接時には、「人手不足で指導できる社員はおらず、業務は多岐に渡る」「評価制度や福利厚生制度はまだ完全には整っていない」「新規事業立ち上げまで残業は多くなるかもしれない」など、会社が抱えている課題・マイナス点もしっかり伝えましょう。「それではアピールにならない」と思うかもしれませんが、課題を共有した上で、いつまでに改善するかの見通しや、「だからこそあなたに来てほしい」という熱意を伝えられれば、好印象につながることが多いでしょう。
前述した内容を読んで、「自社の魅力がない……」と頭を抱えてしまう人もいるかもしれません。しかし、どの企業にもアピールポイントは必ずあるはずです。競合他社との差別化や目を引くような魅力を無理矢理出そうとするとハードルが上がってしまいます。まずは次のようなことから始めてみましょう。
改めて社員に話を聞くことで、経営者が気づいていない魅力が見つかるかもしれません。できるだけ多くの社員の声を聞き、ヒントを探しましょう。勤続年数や職種、性別等によっても観点が違うため、幅広い社員にヒアリングするのが理想的です。
例えば、社内勉強会や社員同士が交流できるイベントの開催、書籍代の補助、フリードリンク等も魅力的な取り組みでしょう。この他にも、自分では「大した内容ではないから、アピールする必要はない」と思っても、求職者にとっては意外と魅力的に映るポイントがあるかもしれません。また、アピールしなければ本当に「何もない」と思われるリスクも。明確に制度化されていないことも含めて、思いつくだけ取り組みをリストアップしてみましょう。
なお、このような求人広告の書き方について、「事前に押さえておきたい4要素」や「掲載項目ごとの書き方例」などを交え、以下の記事でご紹介しています。チェックリストもついていますので、ぜひご活用ください。
採用手法が多様化する中、求人広告でターゲット人材を獲得するためには、戦略的にアピールすることが重要です。
このような戦略的アプローチの一つが「採用ブランディング」です。マーケティングの考え方を採用に採り入れた「求職者からの共感や信頼を獲得するマーケティング戦略」のことです。企業に対して特定のイメージを持たれていない中小企業こそ、取り入れるべき施策の一つと言えるでしょう。
とは言っても、マーケティング知識のない担当者の方がいきなり実践するにはハードルを感じることも多く、注力企業はまだまだ限られていると言えるでしょう。
「自社での導入は難しい」と感じる場合は、採用のプロである採用代行(RPO)サービスに委託をするのも一つです。まるっと採用業務全般を請け負ってくれるものもあれば、作業単体を委託することもできるものもあります。費用も定額制や成果報酬型(採用成功に至った際に料金が発生)など、さまざまなタイプがあります。自社に合ったサービスを選択すれば、効率的に採用成功できるため、こちらも検討視野に入れると良いでしょう。
社内の取り組みや職場の雰囲気等をできるだけ具体的に発信することで、求職者は入社後の様子がイメージでき、安心感を覚えるでしょう。大企業に比べれば一見華やかでなくても、地道にアピールしていくことで理想の人材に出会うチャンスがきっと掴めるはずです。
関連記事:採用ブランディングとは?中小企業がやるべき理由と3つの成功事例