最近は、履歴書や職務経歴書といった応募書類を作成する際に、テンプレートやツールを使うことが当たり前の時代となりました。あらかじめ業界や職種別の例文なども用意されているため、応募者は容易に書類が作れる時代です。
一方、書類選考を最初の関門としてきた人事担当者の方にとっては、「どの応募書類も似通った内容で、どこに注目すれば良いのか分からない」といった課題を抱える方も増えてきています。
今回はそんな書類選考において、応募書類のどこに着目したらよいのか、合否の判断ポイントはどこにあるのかなど、書類選考のやり方についてイチから解説いたします。
転職活動における書類選考
書類選考を実施する目的とは?
【目的1:効率性】面接する候補者を絞るため
【目的2:事前調整】配属部署の調整を行うため
事前にやっておきたい準備とは?
書類選考のフロー/流れ
【1】応募書類の依頼・受付
【2】記載内容のチェック
【3】合否判断
【4】選考結果の通知
ここをチェック!書類選考における6つのチェックポイント
【1】文書作成スキルやビジネスマナー
【2】読み手を考慮した体裁か
【3】自分の言葉で書かれているか
【4】募集要件となる資格や経験の有無
【5】転職理由や勤続年数
【6】やる気や熱意
まとめ
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そもそも書類選考は、その応募者と実際に会う価値があるかどうかを選別するスクリーニングを目的に行われます。新卒においては文章力をチェックする目的で使用されることも少なくありませんが、こと転職市場においては求めるスキルや経験を持っているかどうかをチェックする目的に重点が置かれるケースが多いようです。
近年では、採用手法も多様化し、すでに自社で働いている社員に人材を紹介してもらうリファラル採用やスキルを満たした人材をスカウトするスカウトサービスも流行しています。すでに自社の要件を満たしている人材の場合、どのような観点で書類選考を行うべきか悩む担当者の方も少なくありません。
エン・ジャパン株式会社が発表した調査結果によると、中途採用を行った265社のうち、書類選考の目的について「全く対象外の応募者を外すため」と答えた企業は41%。「採用できそうな人しか面接しないため、かなり絞り込む」と回答した企業は29%と、書類選考をスクリーニング手段としている企業の多さがうかがえます。
(画像引用元:履歴書対策「採用担当者は応募書類のココを見る」|ミドルの転職 エン・ジャパン株式会社)
「そもそも書類選考は行わなければならないのか?」という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。こちらについては、自社が求める人材要件によって実施有無は判断して良い、と言えるでしょう。特に、人材確保に対するスピードや母数を重視するのであれば、実施しないという選択もありでしょう。それでは、具体的にどういったケースで書類選考は必要になるのでしょうか。行う目的は、主に以下の2つがあります。
知名度の高い人気企業や人気職種の募集で、大量応募が想定されるような場合、選考効率を高めるために書類選考を実施します。前述した通り、最近はある程度クオリティの高い書類が作れるようになっているため、チェックポイントを決めてスクリーニングをかけることで効率性を担保します。
もちろん、こういった人気ポジションでなくとも、時間・工数を割いて面接を行うわけですから、その工数を割くに値する人材をふるいにかける意味でも、有効な手段と言えます。
中途採用の場合、1つのポジションに対してピンポイントで応募が来るという特性上、「事前に配属部署を調整する必要ってあるの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際は募集求人の条件に該当しなくても、ほかの部署で活躍しそうな人材が見つかることもあります。
例えば未経験者を対象とするポジションが存在するような場合、自社への熱意やポテンシャルを知ることで、結果として優秀な人材を獲得する可能性を上げることにもつながります。またエンジニア採用などの場合であれば、配属先を変更して受け入れができる場合も多いため、留意しておくといいでしょう。
それでは書類選考を実施するにあたって、具体的にどんな準備を行えば良いのでしょうか?取り組んでおきたいTODOを確認しましょう。
そもそも求める人材像が定まっていなければ、何を良として何を悪とするのかという基準を持つことができません。年齢や学歴などから、なんとなく「良さそうな人」を選ぶのではなく、担当業務で必要とされる要件や人柄、志向性など、具体的な人材要件とすり合わせながら、書類選考で確認するポイントを決めておきましょう。
こちらの記事では、人材要件の定義方法や運用方法などをより詳しくご紹介しています。自社にふさわしい人材要件をまとめる際の参考になれば幸いです。
書類のフォーマットや内容は人によって差があり、単純に並べて比較することが困難です。そのため、膨大な情報に左右されないよう、ある一定の評価基準を定めておく必要があります。また、書類を見る人によって判断が変わらないようにするためにも、共通基準を設定しておくといいでしょう。
例えば、募集ポジションに必要なスキルや経歴については、書類で容易に確認できます。こういった文章作成能力以外の項目において、何を評価し通過とするのかを予め決めておくとスムーズです。また、書類選考では何を確認する、適性テストでは何を確認する、面接では何を確認する……といった具合に、選考フェーズ毎の確認ポイントを整理しておくと役に立ちます。
続いて、書類の受付から選考の通知まで、書類選考の具体的なフローやポイントについて解説いたします。
書類選考の方法は企業によってさまざまですが、一般的には履歴書と職務経歴書を最初に提出してもらいます。Web上フォームで受け付ける、郵送してもらうなど、まずは必要書類の受付方法を決めましょう。
メールで応募書類を受け付ける場合は、個人メールだと見落とし等が発生する可能性があるため、採用専用のメールアドレスを用意することをオススメします。
まずは必要な書類が揃っているかどうかのチェックを行い、内容の確認に入っていきましょう。誤字脱字、文章の体裁はもちろんですが、下記の様なポイントをチェックされると良いでしょう。
応募書類の内容と下記の様なポイントを基準に、合否判断を行います。
合否の結果については、選考を通過した人にだけ伝える方法と、落ちた人にも連絡する方法の2種類があります。いずれにしても、結果は速やかに伝えましょう。
伝達手段は電話、メール、書面などさまざまですが、企業側、応募者側の負担を考慮し、メールが最も手軽でしょう。
こちらの記事では、採用通知書の書き方や連絡方法、すぐに使えるテンプレートをご紹介しています。採用通知書の体裁などにお困りの場合には、参考になるでしょう。また、企業にとっても送りにくい不採用通知を送る方法は以下の記事でご紹介しています。自社への心証を悪くしないマナーや好感度を上げる方法もわかりますので、あわせてご一読いただければ幸いです。
最後に、書類選考でぜひチェックしておきたいポイントをご紹介いたします。
誤字脱字がないか、日本語としておかしくないか、卒業年数や入社年数などは合致しているかなど、まずは社会人として基本的なスキルが備わっているかを判断しましょう。
中途採用だとこちらは当たり前のことに思えますが、ダブルチェックのうえ提出しているかといった観点でみると、自社への応募意欲が高いかどうかが計れます。
一文がだらだらと長すぎる、読み手に分かりづらい表現があるなど、読みにくい印象を与える文章でないかを確認しましょう。逆に、強調したい内容は太字にしてある、専門用語への補足説明があるといった配慮のある文章は、相手を意識して書いている証拠です。
細かなところですが、こうしたところからも、一歩引いて物事を見ることができる人材かどうかチェックすることができます。
Web上で探せば、「履歴書や職務経歴書の書き方」やテンプレートなどがたくさん見つけられます。もちろん「見やすい書類」を作成する上でそのような情報を参考にするのは良いことですが、具体的な内容までどこかで見たことがあるような内容になっていないかを確認しましょう。
特に職務経歴書における経歴は、抽象的なものではなく、具体的な情報であるかを見ることが大切です。実際の経験に基づくものなのか、虚偽の記載なのかといった判断材料としましょう。
中途採用において一番重要な項目とも言えますが、入社後すぐに活躍できそうなスキルや資格、経験を持っているかどうか等はもちろん、これまでの経験に一貫性があるかどうかといった点を確認しましょう。
こちらも自社の人材要件に左右されますが、経歴に一貫性がない人は飽きやすい性格で、すぐに辞める傾向があるため注意しましょう。
前職はどれぐらいの期間働いたのか、退職理由に妥当性・正当性はあるか?といった点をチェックしましょう。その上で、「転職理由についてもっと聞いてみたい」、「自社とのマッチ度を計りたい」というような場合は、面接で確認しましょう。
この部分に関しては、文章だけで容易に判断することは難しいため、実際に会ってみてどう感じるかを確認されることをオススメします。
こと書類選考の段階では、応募者の細かな人柄・性格、コミュニケーション能力といった定性的な要素の見極めは難しいと言えます。書いている内容だけで判断が難しい部分は、面接での確認がマストになることも覚えておきましょう。
但し、志望動機や自己PR以外にも、送り状に記載されている内容なども付加的要素として判断基準の一つとされても良いでしょう。
こちらでは、書類選考を行うにあたって準備すべきことや選考時に見るべきポイントについてご紹介しました。応募書類の準備や確認は、双方にとって負荷のかかる工程です。しかし、結果として無駄な時間や工数を省くためにも、実施されると良いでしょう。
また、この記事を参考にしていただき、より精度の高い書類選考を実現する一助となれば幸いです。
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