人材の採用活動を行えば、当然ながら不採用になる候補者も出てきます。本人にとって嬉しくない結果というだけでなく、企業側にとっても、不採用になったことを本人に知らせるのは気を遣う作業です。不採用となった候補者には連絡を行わない企業もありますが、結果にかかわらず、採用結果はできる限り通知したいところです。
この記事では、不採用であっても本人に通知をすべき理由を解説したあと、不採用通知の書き方や注意点、また不採用の通知をした後に状況が変わって採用したくなった場合の対処方法をご紹介します。メールで不採用を通知する場合のテンプレートも掲載していますので、ぜひ活用してください。
不採用通知とは
不採用通知を送る理由
不採用通知はメールで可
不採用通知の書き方
不採用通知のメールテンプレート
書類選考で不合格の場合
面接で不合格の場合
不採用通知の注意点
宛名とメールアドレスは再三のチェックを行う
件名は選考結果だと分かるように記載
応募書類の取扱は慎重に
郵送、電話用のテンプレート
まとめ
選考結果を通知する際、不採用となった候補者には特に連絡を行わない企業もあります。「本人もわざわざ不採用と言われたくないのでは」と考える人もいるかもしれませんが、実際は、不採用であってもメールや電話などで連絡をする方が、応募者からすれば好印象です。
まずは、不採用の場合でも連絡すべき理由を確認しておきましょう。
応募者にとって、選考結果を待つ間の心理的負担は決して小さなものではありません。特に、複数の企業へ同時応募している求職者の場合、他の企業との調整が発生するため、できるだけ早く結果を知りたいはずです。
また万が一、今回縁が無かった候補者であっても、将来的に自社の顧客になる可能性や取引先として付き合う可能性も考えられます。このような将来的な繋がりまで想定すると、全ての応募者に対して選考に参加してもらった感謝を伝えるべきだと言えるでしょう。
不採用の場合は、メールでの通知が一般的です。書面を郵送する場合もありますが、現在は新型コロナウィルスによる衛生面の懸念やペーパーレス化といった背景から、電話またはメールで通知する企業が大半だと言えるでしょう。
結果を連絡するのが遅くなった場合や選考中に迷惑をかけた場合など、特別なケースでは電話連絡をした方がよいこともあります。しかし、通常の場合であれば、確実に本人に伝わり、記録にも残るメールを選択することがトラブル回避となるでしょう。
不採用通知のメールには、
の3つを盛り込むのがポイントです。実際にどういった文面にすべきかについては、この後に掲載するテンプレートを参照してください。
なお、不採用通知には、不採用となった理由は書かないのが一般的です。もし応募者側から聞かれた場合には、「応募者多数につき~」といった当たり障りのない説明をするか、もしくは「弊社選考基準のため、回答は控えさせていただきます」などと言って明言を避けてもよいでしょう。
このまま使える不採用通知のテンプレートを、パターン別に紹介します。個別の状況に合わせて使いやすくなるよう、ここで使用した例文を組み合わせてオリジナルのフォーマットを用意すると効率的でしょう。
件名:【選考結果のご連絡】 株式会社●● |
差出人:企業名 部署名 |
《応募者の氏名》様 《株式会社●●》の《採用担当者の氏名》と申します。 この度は、数ある企業の中から弊社へご応募頂き、誠にありがとうございました。 頂いた応募書類をもとに社内で慎重に検討いたしました結果、誠に残念ながら今回は貴意に沿いかねる結果となりました。 ご希望に沿えず誠に恐縮ではございますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。 お預かりしました応募書類につきましては、こちらで責任を持って処分させていただきます。 末筆ではございますが、《応募者名》様の今後益々のご健勝とご活躍を、弊社一同心よりお祈りしております。 [担当者署名] |
件名:【選考結果のご連絡】 株式会社●● |
差出人:企業名 部署名 |
《応募者の氏名》様 《株式会社●●》の《採用担当者の氏名》と申します。 この度は、多数の企業の中から弊社の募集にご応募頂き、誠にありがとうございました。 また、お忙しいなかご足労頂きましたこと、重ねてお礼申し上げます。 《応募者名》様との面接を踏まえ、社内で慎重に検討いたしましたところ、誠に残念ではございますが、今回はご期待に沿えない結果となりました。 せっかくご応募頂いたにも関わらず、誠に申し訳ございません。メールにて大変失礼とは存じますが、何卒ご了承くださいますようお願い致します。 末筆ながら、《応募者名》様の今後一層のご活躍をお祈り申し上げます。 [担当者署名] |
上記の文例には不採用の理由は書いていませんが、特に応募者が多かった場合などは、不採用を伝える文の直後の文章を以下のような内容に置き換えても良いでしょう。
「今回は思いがけず沢山の方からご応募をいただき、弊社といたしましても大変苦慮したうえでの決定であることを申し添えます。」 |
不採用の通知をする際に特に気を付けたいのは、宛名の変更漏れ、メールの件名、そして応募書類の取り扱いです。ここでは、それぞれの注意点を解説していきます。
テンプレートを使って不採用通知のメールを送信する場合に起こりがちなミスとして、宛名の変更漏れがあります。
テンプレートのまま宛名が「●●様」となっている状態で送ってしまうと、大変失礼にあたります。また、別の応募者に送信したメールの文面をコピーして使っている場合、宛名を変更し忘れて別人の名前に宛てて送ってしまうと、個人情報の漏洩や思わぬトラブルに繋がるリスクも考えられます。
送付前には必ず、誤字脱字や宛名を入念に確認し、送付先のメールアドレスが正しいかも含めて丁寧にチェックするようにしましょう。
応募者は複数の企業の選考に参加している場合もありますので、不採用通知のメールを送る際には、どの企業からの何の連絡なのかが一目でわかるような件名にします。
上のテンプレートにあるように、件名は「選考結果のご連絡」とし、さらに企業名を添えれば、確実に受信者の目に留まるでしょう。
不採用時の応募書類の取扱については、事前に了承をもらっておくとスムーズです。事前の確認ができなかった場合でも、履歴書などは企業側で破棄するのが一般的です。不採用通知のメールで「お預かりした応募書類につきましては、弊社にて責任を持って破棄いたします。」といったように断りを入れておけばよいでしょう。
ただし、特に履歴書以外にポートフォリオなどを預かった場合などは、応募者側から応募書類の返却を求められる場合もありますので、その場合は郵送で返却するのが望ましい対応と言えます。
メールの他にも、郵送や電話での不採用を検討している方もいらっしゃるかと思います。
「Q:求人広告に記載していなかった理由でお断りしても良いでしょうか?」「Q:不採用の理由を聞かれた場合、答えなければなりませんか?」といったよくあるQ&Aをはじめ、企業のイメージダウンに繋がりかねない断り方や上手な断り方、例文、注意点などを以下記事にまとめていますので、ぜひ併せてご覧ください。
不採用通知を行う際には、採用の連絡をする時以上に様々な配慮が必要です。
不採用の連絡をした後に欠員が出て、やはり採用したくなる場合もありますし、そうでなくとも、将来顧客や取引先として関わることになるかもしれません。このような将来のあらゆる可能性に備え、またリスクを回避するためにも、誠実さの伝わるメールできちんと通知しておくことが望まれます。
この記事で紹介したメールの書き方や注意点を押さえて丁寧な対応ができれば、所属企業に対してよいイメージを持ってもらうことにつながるでしょう。紹介したテンプレートは流用いただいて問題有りませんので、是非とも積極的に活用してください。
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