IT企業で活躍する人事担当者3名にご協力いただき、採用業務において抱える課題やお悩み事について対談していただきました。今回はPART②として、人材の見極めにまつわる課題や人材紹介会社に対する不満、優秀人材を引き込むためのテクニック等についてご紹介します。
<取材対象者プロフィール> |
金谷さん:多様性を受け入れられない人、ポジションに固執する人でしょうか。例えば、他者の考えを受け入れられない人とか。
石田さん:当社では「全員参加型経営」という考え方を大切にしています。ですので、何事も自分ごとで考えられない人はカルチャーに合わないですね。また、柔軟性がない人、指示待ちだけで自走力がない人も厳しいですね。
Sさん:当社では、ITエンジニアを積極的に採用しています。クライアント企業と協働することもあるので、基本的ビジネスマナーがない人はNGです。フルリモートですので、当社でも自走力がない人は残念ながら厳しいと判断します。
金谷さん:転職理由に妥当性・一貫性があればOKですね。職種によっては飽きっぽくてもOKですし。会社として飽きないような環境を用意できれば良いと考えています。当社では採用ミスマッチを防ぐために、リファレンスチェック(※)を実施しています。
石田さん:当社も、転職回数はあまり気にしていません。理由が明確で妥当性があれば問題ないと考えます。転職理由としてNGなのは、「他責傾向が見られる」「環境要因にしている」といった場合でしょうか。
Sさん:転職回数については金谷さん、石田さんと同じ考えです。ご自身の中に確固たる選社軸が存在するのであれば、こちらも納得できると思うので。
石田さん:これ、まさに現在の課題です。真剣に話は聞きますし質問にもお答えしますが「アンマッチだな」と感じているわけなので、悩ましいところです。
金谷さん:当社の面接は構造化面接ではありません。ですので、マスト質問だけ確認して20分間ぐらいで終了してしまいますね。
Sさん:うちもそうです。基本的に早期段階で見極めできてしまった場合は、企業案内を一通りした後、質問タイムにしています。それで1時間いくこともありますけど……。
金谷さん:そうですね、そのため事前案内は30~60分間と幅を持たせてご案内しています。
Sさん:それはやっているんですけど……、話を切り上げるって難しいですよね。
石田さん:確かに。私もとりあえず最後までお話は聞いている状況ですね……。
金谷さん:人材紹介会社については、片面(企業/候補者で担当が変わる)両面(企業/候補者同じ担当)の場合があります。片面の場合、企業と候補者のすり合わせが悪いと感じますね……。例えば、候補者側は決定させたいので良いことばかり書いてくるけど、実はそうではないとか。
Sさん:人材紹介のビジネスモデルから言って、他社と差別化されるのは承知しているのですが、やはり候補者の連絡が遅いのは困ります。企業側・求職者双方にとって不幸な事ですからね。金谷さんがおっしゃる通り、人材紹介会社は良い面と悪い面があると思います。
石田さん:当社は人材紹介を使っていません。ただ、成果報酬が採用単価と合いづらいというところがあり、人材紹介を使えてないという側面があるので、そこですかね。
Sさん:私はもともと外資系コンサルティング会社出身なので、候補者のグリップ力には自信があります。ここは企業秘密になるので具体的なテクニックはお伝えできないのですが、求職者視点に立った対応をするという事に尽きると思っています。
金谷さん:当社が実施するリファラル採用は、会社のビジョン・ミッションの共感が大前提となります。そのため、面接では社会課題をどう解決してビジネスに紐づけるのかという部分を話すようにしています。ここについては、採用担当者として信念を持つことが重要だと考えています。
今後、採用担当者としていかに候補者に「この会社で働きたい」と思ってもらえるかどうかは、課題であり挑戦し続けたい部分ですね。
石田さん:スキルは後からついてくるものなので、金谷さんと同様でミッション、ビジョンに共感しているか、というところが重要なポイントですね。そのため「どのようにしてミッションを達成していくのか」をしっかりと説明し、より深く興味を持っていただけるようにしています。
Sさん:信念とは少しずれるかもしれませんが、人材業界に長くいるので、かねてから日本の転職市場には疑問を感じていました。もっと流動的であって良いはずですし、会社としてももっと受け皿を広げるべきだと感じます。
ここは私一人の力ではどうにもならないので、LinkedIn(リンクトイン)などを通じて一個人としての考えをお伝えしたり、note(ノート)などを活用して社風をお伝えしたりと、努力を惜しまないということを大切にしています
金谷さん:まずは、社長の価値観を知る機会を持つことです。あとは、現場に入らせてもらってプログラミングの勉強を行うこと、ソフトウェアを搭載する商品を利用する、客先に同行して営業の仕事を理解するといった事でしょうか。
とにかく現場理解も忘れないようにしています。
石田さん:採用は組織を大きくしていく上でとても重要なことなので、組織のバランスを把握することですね。そのため、可能な範囲で自社の社員のことを理解したいと考えています。先にもお話ししましたが、スキルがあったとしてもカルチャーに合わない方はお断りする点は信念と言えるかもしれません。
金谷さん:そもそも、自社が求めるレベルの人材がいないことでしょうか。
あとは、経営層も人事もOKを出したのに、現場が内定を取り消したいと言い出すケースですね。そんなにあることではありませんが、ITエンジニアのようにスキルが分かりやすい場合はともかく、成果物が見え辛い営業や企画職において発生しますね。
Sさん:えーそれは大変ですね!面接だけに絞った課題で言うならば、当社はまだそこまで見極めが難しい人材が来ていないかもしれないです。
石田さん:課題とは異なるかもしれないですが、1次面接は落とす場とは考えておらず、より弊社に興味を持ってもらえるように導く場所だと思っています。そのため、限られた面接時間の中で、いかに分かりやすく会社のミッションや風土などを伝えることができるか、ということは常に頭の中にありますね。
石田さん:事業理念(誠実、仲間、貢献、挑戦)の4つの価値観を持っている人、ミッションビジョンに共感できるということですね。一つ欠けていたとしても採用するケースもなくはないですが(笑)
Sさん:石田さんのお話、分かります!重視している部分ではあるけど、総体的に見てどうかですからね。私はストレスに対して強いかどうか、ですね。あまり大々的に言えませんけど(笑)見極め方があるのであれば教えていただきたいです。
金谷さん:当社も「メンタルタフネス」と「地頭の良さ」ですね。地頭については、回答の質や速度、質問してくる内容で大体は分かるようになりました。
金谷さん:まずはスピード感です。良い人材であれば、当日か翌日には結果を出すようにしています。
あとはカジュアル面談の実施方法ですね。これまでは現場担当者がカジュアル面談を行っていたのですが、応募喚起という観点で人事が行うように変更しました。面談しつつも自社の魅力をお伝えすることで、応募意欲を高めてもらうことができるので効率的に採用活動が進められるようになったと思います。
石田さん:当社もカジュアル面談は行うようにしていますね。少しでも自社に興味を持って下さっている方であれば「なんでも聞いて下さい」という感じで、お誘いします。
あとは、Wantedly(ウォンテッドリー)です。圧倒的に人材としてフィット感の強い方が応募して下さる上に、コストパフォーマンスも媒体と比較すると高いと言えます。もちろん、それなりに手をかけてはいますけど。
Sさん:当社もお二人と似ているかもしれません。工数をかけて採用活動や広報活動を行うこと、多様なメディアを活用して人材にリーチできる窓口を沢山用意しておくことですね。
色々と教えていただきありがとうございます。中途採用に関する課題をはじめ、優秀人材の獲得に向けて地道に努力されていることなど、よく分かりました。今後も『中途採用サクセス』サイトを通して、定期的に人事担当者の方のリアルな声を伺い、サイト上でお伝えしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
中小企業が大手に勝つための
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なお、会話の中で登場した「リファラル採用」や「Wantedly」については関連記事をご参照下さい。
関連記事:リファラル採用とは?促進化させる方法、押さえるべき3つのこと
関連記事:LinkedInで優秀な人材を採用するためにやりたい3つのこと
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