中途社員に即戦力として速やかに活躍してもらうためにも、企業文化の理解は欠かせません。また、中途社員に限らず、社内で企業文化の理解を深めることは、強い組織作りの基盤になり、チームワークが強化されます。結果として、社員個人にも成果を上げてもらいやすくなるでしょう。
とはいえ「文化」は無形で「感じていくもの」である部分も多く、伝えることが難しいものです。どのようにすれば、早くわかりやすく伝えることができるのでしょうか。
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そもそも「企業文化」とはどういうものでしょうか。
企業文化とは、企業と社員との間で共有・形成される独自の価値観や、規範、ルールを指します。「文化」は企業に属する人間が自らの手で築き上げたものであり、外部の影響によっても変化するものです。また企業文化は社外にも発信され、イメージにも直結するため、企業活動にも大きな影響を与えます。
目に見えない文化を素早く理解してもらうには、「可視化」することが有効です。可視化するための3つの方法を見ていきましょう。
文化は浸透されなければ薄れていってしまうもの。そのため、誰にでも理解できる共通言語として明文化する事が必要です。社員が日々の仕事のなかで常に共通認識として確認できるよう、HPや社内報に明記しましょう。
例えば(株)リクルートホールディングスでは
という言葉を、リクルートブランドを表現する2つの言葉としてHPでも紹介しています。
これは、「自分の言葉に従って行動しよう」「まだ見ぬ世界や可能性を信じて、新たな暮らしや人生にまつわるチャンスを届けていこう」といった思いを、わかりやすく覚えやすい言葉にすることで、社員に浸透しやすくしているものです。
またスローガンは、社外への企業文化理解にも繋がるため、言葉選びが重要です。例えば「お客様のために」といった抽象的な言葉はわかりやすくはありますが、なかなか企業文化の理解には結びつきません。一方、Appleの「Think different」は、わかりやすいながらも製品やブランドのイメージに結びつく独自性があり、ユーザーにも共感と理解をしてもらいやすくする工夫がされています。
企業文化を体現するには具体的にどういった行動にうつしたらよいのでしょうか。新しく入った中途社員でも、周りの社員の行動や働き方が行動指針に沿ったものになっていれば、それを模範として適切な行動をとれるようになります。また、適切な行動指針が活用されていることは、企業理念の浸透のみならず、従業員の働きがいにもつながると言われています。
例えば、従業員の働きがいの高さで有名なGoogleには10の行動指針があります。
など、「〜しよう」や「〜すべき」といった命令形ではなく、「社長からのアドバイス」という意味合いで、納得できる事実を元に格言のようになっている点に共感が集まっているようです。またこの行動指針は随時見直され、必要に応じて修正や変更がなされています。
また、「行動指針」と似た言葉で「行動理念」がありますが、理念は基本的な概念であり、行動指針はそれを成し遂げるための具体的な行動を指す、という点で異なります。
実際に行動した結果がきちんと評価につながることや、評価に値する行動を賞賛する制度があると、社員が自らさらに高い目標設定をしたり、社員全員で文化を再認識したりする良い機会となります。そのために、この企業ではどういった行動が評価されるのか、ということをわかりやすく共有することはとても重要です。
例えば、株式会社スープストックトーキョーでは「SSTグランプリ」という成果発表会を開催しました。これは、スープストックトーキョーの親会社である株式会社スマイルズが掲げる「世の中の体温をあげる」というスローガンに即した取り組みを表彰したものです。実際に、「社員の間で企業文化が再認識された」といった効果があったそうです。
このように、スローガンや行動指針に沿った評価がなされると、社員の納得感が得られるでしょう。また、このような取り組みを社外に発信していくことで、企業文化やブランドを醸成することにも繋がります。
文化という抽象的なものを素早く理解してもらうには、言葉や制度に落とし可視化することが有効です。企業文化を理解し、業務に活かしてもらうには、すでに決まっているものを「押し付ける」のではなく、「一緒につくっている」という意識を醸成することも大切です。
そのためには、可視化する以外にも、「社員研修」「ワークショップ」といった場を設けて社員に参加してもらうのも一手です。社員の自発的な行動を促し、早く活躍してもらうためにも、理解促進・浸透に努めましょう。
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