採用ミスマッチを無くす8つの方法|リスク、実例や解決策を紹介

選考辞退

「採用した社員がすぐに辞めてしまう」、「やっと一人前になったのに、他社へ移ってしまう」など、人材獲得や定着に悩む企業は少なくありません。こうした採用ミスマッチはなぜ起きてしまうのでしょうか。今回は、具体事例による採用ミスマッチの原因や対策、損失内容、防止策についてご紹介したいと思います。

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目次

なぜ定着しない?中途採用におけるミスマッチとは

採用ミスマッチとは、採用における求職者と企業との間で起こる認識・価値観のズレを意味する言葉です。実質的には「早期離職」「内定辞退」「定着しない」「採用人材が即戦力化しない」……など、採用における多数の課題を指す言葉でもあります。

早期離職の問題は企業規模が小さいほど深刻です。2014年に中小企業庁が発表した調査によると、中小企業における新卒就業者の3年以内の離職率は、40%を超えています。中途社員でも30%を超えていて、ミスマッチによる早期離職が企業に与えるダメージの大きさがうかがえます。

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参照元:2 人材の定着:中小企業における就業者の離職率(3年目)|「e-Stat」運用管理:独立行政法人統計センター

採用ミスマッチの割合

2018年に厚生労働省実施した調査において、実際に転職した人へその理由を聞いています。これによると「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」、「給料等収入が少なかった」といった具合で、男女ともに労働条件の悪さを挙げる層がボリュームゾーンに。

次いで多かったのは、男性が「会社の将来が不安」、女性が「人間関係」という結果が出ています。(注記:定年や出向といったやむを得ない転職を除く)

参照元:厚生労働省発表「平成30年雇用動向調査結果の概況」

さらに、2019年にエン・ジャパン株式会社(以下、エン・ジャパン)が発表した調査では、中途入社者が退職につながりやすい時期について、「3年以内」と感じている企業が83%にも上ることがわかっており、早期段階で退職を決意しているという結果が出ています。

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引用元:「中途入社者の定着」実態調査―『人事のミカタ』アンケート―|エン・ジャパン株式会社

採用ミスマッチによる損失

せっかく採用した人材が退職してしまうことによって被る企業側の損失には、どんなものがあるでしょうか?ご説明します。

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人的工数

人材採用にはお金も時間もかかります。求人原稿の作成、スケジュール調整~面接実施、選考ジャッジ、入社後のフォロー・研修……等、一般的にはさまざまな工程で複数の社員が工数を割かれていることと思います。

そのため、せっかく時間をかけて採用・入社した社員が退職してしまった際の既存社員のダメージは意外とインパクトがあります。

損失額

採用ミスマッチによって失われるものの代表にお金が挙げられます。せっかく採用した社員が早期離職してしまうと、採用にかかったコストが水の泡になってしまうため、企業は注意したいところです。

エン・ジャパンによると、採用経費や在籍費、教育研修費などを合わせ、社員一名が入社後3ケ月で離職した場合の損失額を187.5万円と試算しています。これだけの金額が無駄になってしまうことは、企業としては避けたい事態でしょう。

参照元:なぜ人は辞めるのか? 退職を科学する|エン・ジャパン株式会社

ミスマッチの原因は?3つの採用活動フェーズで分析!

採用活動には大きく3つのフェーズがあり、それぞれの段階でミスマッチの原因が異なります。

採用の企画や募集段階

業務内容 ミスマッチの原因
求人媒体の選定 大手媒体を選ぶことで、求職者は知名度の高い企業にばかり目が行き、結果的に自社の求人が埋もれてしまう
求人広告作成 自社の良いところばかり書いてしまうため、入社後に「こんなはずじゃなかった」というギャップを生んでいる
採用条件のすり合わせ 人事と現場で欲しい人材要件のすり合わせができていない
応募者管理 情報の一元化・共有ができていない

選考活動段階

業務内容 ミスマッチの原因
応募者対応 対応が遅いため、他社に応募者を取られてしまう
書類選考 華々しい経歴にばかり注目してしまい、社風にマッチするかどうかの確認が漏れている
DM・スカウト連絡 ターゲットを見極めず大量に送っている
面接 自社の良いところだけ伝えており、抱える課題や実情といった悪いところを伝えていない
選考判定 担当者によって判定にばらつきがある(選考観点の共通化ができていない)

内定者フォローや振り返りの段階

業務内容 ミスマッチの原因
中途社員研修 一度だけの実施で、十分なフォローになっていない
入社後フォロー 現場への定着具合や業務理解状況、キャリアステップといった事に対するフォローがない
採用活動の課題分析と戦略の練り直し

採用活動に関する自社での振り返りができておらず、ノウハウが蓄積されていない

実際にあった8つのミスマッチ 事例と解決策

それでは、実際にあったミスマッチの事例を見てみましょう。

【事例1】勤務時間や給与の認識が違った

  • 「残業がほとんどないといっていたのに、実際は違った」
  • 「Uターン希望だったのに、転勤を命じられた」
  • 「給与の中に残業代が含まれていた」

こういった話はよく聞きます。

前職のイメージを引きずっているケースや、会社としての共通認識が異なるケースも見受けられます。イメージの相違で労働意欲が減退してしまうと、企業にとっても本人にとってもマイナスにしかなりません。双方認識が異ならないよう、意見のすり合わせをしっかり行いましょう。

【解決方法】書類を渡すだけではなく読み上げてすり合わせを

書類を渡すだけではなく、労働時間やみなし残業の有無、給与にまつわる部分は読み上げたり再度確認を促したりしましょう。また、転勤や待遇についての考えも企業によって大幅に異なるので、すり合わせをしておいたほうが安心です。

「中途採用の給与の目安がわからない」という場合には、転職サイトの平均年収ランキングや賃金構造基本統計調査を参考にすることもできます。詳しくは下記の関連記事をご覧ください。

関連記事:中途採用の年収はどうやって決める?相場をチェックする方法

【事例2】企業文化と人柄がマッチしない

同じ商材を扱っている会社でも、「お金になるならとにかく売る」というスタンスなのか、「顧客のためを思って、ときには売らないこともある」というスタンスなのかで、仕事への取り組み方は大きく変わります。「慣習を大事にする」のか「新手法を受け入れる」のか、「結果重視」なのか「過程重視」なのか……なども同様です。

もともと顧客の中長期的展望に沿った提案営業をしてきた人が、いきなり「とにかく売りまくれ!」と命じられても結果は出ないでしょうし、場合によっては大きなストレスにもなります。企業文化が異なれば、業務スタイルやコミュニケーション方法、ワークライフバランスに対する考え方なども異なるので、その人が持っているスキル・経験が発揮できなくなることもあり得るのです。

【解決方法】自社の文化にあうタイプの人をパターン化しておく

こういう場合、「自社の文化や考え方に合う人・合わない人」をあらかじめリストアップしておき、求人票や採用ホームページなどにも反映しておきましょう。人材紹介会社を利用する場合や求人サイトの取材を受ける際に、担当者に伝えておくことも大切です。

特に不安な点があれば、面接時に「当社はこういう考え方ですが、〇〇様はどうですか?」と思い切って聞いてしまうのもひとつの手です。

【事例3】既存社員とマッチしない

企業文化にはマッチしても、既存社員との人間関係が原因で実力を発揮できないという人もいます。例えば、部下に裁量権をゆだねるタイプの上司と働いていた人が、部下の日々の行動をきっちり管理監督する上司の下で働くことになれば、窮屈に感じられるでしょう。

さらに、報連相のタイミングや、商談時の立ち振る舞い方、飲み会での言葉遣いなどから、「この人(このチーム)とは合わないな」と感じてしまうこともあります。そうなれば、仕事にも良くない影響が出るのは必至です。

【解決方法】事前に社員との面談を行いミスマッチを防ぐ

入社前に、直属の上司・同僚となる人との面談を設定しましょう。必ずしもその上司や同僚が合否の判断を行う必要はありませんが、「一緒に仕事できそうか」は確認してもらいましょう。求職者にも「実際にこの人たちと働くことになります」と伝えておき、反応をみることをおすすめします。

また、現場と人事担当者がしっかり連携し、求人原稿に実際の社風をしっかり反映させることも大切です。

【事例4】想定したスキルを満たしていない

履歴書や職務経歴書、面接内容など慎重かつ総合的に判断をしたのに、「期待していたスキルを持ち合わせていなかった」「現場が求めるスキルとずれていた」といったことは往々にしてあります。

特に選考シーンにおいて求職者はアピールに力を入れるため、実力との乖離が生じることはあります。

【解決方法】具体的な業務レベルの確認をする

まずは事前に社内の現場メンバーと打ち合わせをして、「どんな業務を」「どのように」こなせる人が必要なのかを具体化しましょう。そのうえで「だからどんな人を採用すべきなのか」を言語化する必要があります。

また、面接でもただ「〇〇はできますか?」と質問するのではなく、具体的な業務レベルにまで落とし込んだ質問をする必要があります。例えば「Excelはできますか?」ではなく、「ExcelでVLOOKUP関数やピボットテーブルを用いたクロス集計はできますか?」といった具合に質問するといいでしょう。

話をしていて「ターゲット像とずれているな」と感じたら、求人内容をターゲット層に届くよう改善することで求めていた人材を採用できることもあります。詳しくは下記の関連記事をご覧ください。

関連記事:わが社の中途採用には、なぜターゲットからずれた応募者ばかりが集まるのか?

【事例5】勤務態度・生活面で問題点がある

勤務態度や普段の生活面などに問題点が多く、会社が求める仕事ができていないという人もいます。例えば「スキルはあるのに、遅刻・欠勤が多いため同僚や取引先の信頼を失う」「書類不備や手続きミスが多く、周囲がフォローしなければならない」といった具合です。

もちろん、多くの人は指摘することで改善できますし、業務の定型化(誤字脱字が起きないような書類のテンプレート化など)による対策も立てられます。しかしごくまれに、どれだけ指摘しても改善する気配がない人や、周囲がフォローしきれないケースが存在するのも事実です。

【解決方法】違和感を覚えたら選考は慎重に
  • 「待ち合わせ相手が遅刻してきたらどう思うか?」
  • 「誤字脱字のあるビジネスメールをもらったらどう感じるか」

などの質問を投げかけてみましょう。これだけで判断することはできませんが、「寛容な態度で対応する」といったような返答がきた場合には、本人もルーズである可能性があるので、ヒントのひとつになります。

また採用担当者は、選考過程でのちょっとした違和感も大事にしましょう。

  • 「履歴書や職務経歴書に読み取りにくい文章や誤字脱字が多い」
  • 「(履歴書が手書きの場合)書き方や写真の貼り方が雑」
  • 「連絡なしに面接に遅刻してくる」
  • 「要返信のメールに返信がない」
  • 「身だしなみが整っていない」

など、「ちょっとおかしいぞ?」という違和感が生じたときには、より慎重に選考するのもひとつの手です。

【事例6】なかなか即戦力として活躍してくれない

即戦力になると見込んで採用した社員が、なかなか活躍してくれないケースもあります。本人の能力不足の場合もありますが、会社が本人のサポートを十分できておらず、環境が整っていないせいで起こる場合もあります。

【解決方法】本人を取り巻く環境を見直してみる

いくら経験者であっても、入社後はその企業の「新人」です。業務の方法や企業文化に馴染めず、実力が発揮できないケースは少なくありません。

社内に溶け込めていないなら、積極的に声をかけてみる、年の近い人にメンターになってもらうなど、環境面を調整し、力を発揮できるよう工夫しましょう。詳しくは下記の関連記事をご覧ください。

関連記事:中途社員にも研修は必要?即戦力として活躍してもらうために最初にすべきこと

関連記事:中途採用で即戦力が採用できない4の理由|見分けるポイントや探し方

【事例7】入社前の辞退が相次いでいる

せっかく内定を出したのに、入社前になって辞退する人が相次ぎ、募集が埋まらない……なんてこともあります。また一から採用を再開しなければならず、時間もお金も無駄になってしまいます。

【解決方法】辞退理由を聞き次の採用につなげる、不安を払しょくするための機会を作る

内定を辞退するということは、自社よりも魅力的な他社が選ばれたということです。なぜ他社を選んだのか、辞退した理由を思い切って聞いてみるのも一つの手です。答えてくれるかどうかは応募者次第ですが、自社の採用活動で不足している点が見えてくるかもしれません。

また、辞退の意思を伝えてきた際に、「もし不安があるのであれば、一度お話しする機会を作りませんか?」と引き止め、ざっくばらんに話をしてみるのもよいでしょう。

【事例8】入社してもすぐ辞めてしまう

入社前と後のギャップにより、すぐ辞めてしまう人も多くいます。せっかく得た人材をすぐ失うことほど、お互いにとって不幸なことはありません。

【解決方法】入社後のフォローを手厚くする

入社前に意識のすり合わせや確認をする企業は多いと思いますが、入社後のフォロー体制の整備までは手が回っていない場合も多いのではないでしょうか。入ってくれたらそれで終わり……ではなく、せっかく採用した人材が辞めないように、入社後のフォローも積極的に行いましょう。

中途採用のミスマッチを防ぐためのエグジットインタビュー

中途採用のミスマッチにはさまざまな要因が絡んでいます。ケースごとに原因が違うため、ひとつ対策をすればそれで良いというものでもありません。

ですが、ケースごとに原因を探り、ひとつずつ対処していくことでミスマッチの発生自体を減らすことができます。ミスマッチの原因を探るためにも退職時の面談(エグジットインタビュー)をしっかりしましょう。

まとめ

中途採用のミスマッチは、本人の問題と受け入れ体制の問題の2つの側面から考える必要があります。しかし、面接や選考時の工夫で、ある程度のミスマッチは防ぐことができるでしょう。採用後のミスマッチは早期離職にもつながりかねません。

人事担当者は人材不足で焦るかもしれませんが、「想定通りに活躍できそうな人材」を採用するという気構えを持ち、対応することが大切です。

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