採用基準は、中途採用を成功させるための重要な要素のひとつです。しかし、「自社にあった採用基準はどのように作ればいいの?」「採用基準の項目は?」「採用基準はどうやって見直すべき?」など、疑問を抱える採用担当者も多いことでしょう。
本記事では、採用基準の重要性をはじめ、6つのステップによる具体的な採用基準の作り方、見直す際のポイントまでを徹底解説します。
採用基準とは
採用基準の重要性
選考を公平に進めるため
採用活動の効率化を図れる
6STEPで解説!採用基準の作り方
【1】各部署へのヒアリングを行う
【2】転職市場の状況に応じて最適化を図る
【3】人材の要件定義をする
【4】活躍人材の行動特性を言語化する
【5】具体的な人物像を設定する
【6】評価項目を決める
人材採用において重要ポイントとなる採用基準でつまずいたら……
まとめ
採用基準を要約すると、自社に必要な人材を明文化した評価基準/指標です。中途採用で言うところの、スキルや経験、志向性がこれに該当します。この基準を明確に定めておくことで、面接官による主観ではなく、公正かつ一貫性のある判断で選考を実施できます。
特に、人材採用においてスピード感は非常に重要となります。自社に必要な人材の基準を明確化し、共通認識化できているかどうかが採用成功に影響するポイントであると言っても過言ではないでしょう。
採用基準は、なぜ中途採用の成功に欠かせないのでしょうか。2つに絞って説明します。
採用基準がなければ、面接官の好みや偏見、そのときの気分など曖昧な基準で判断することになります。公平性に欠ける選考では、自社の必要としている人材像に合致しているかどうか、正しく評価することができません。採用基準を面接官全員が理解し正しく判断することではじめて、公平性ある選考が実現できるのです。
このような面接官による判断の偏りを防ぐ一手として最近注目を集めているのが、Googleも導入する「構造化面接」です。面接官による評価のばらつきを無くすだけでなく、面接にかかる時間を短縮したり、応募者の満足度を高めたりする効果も期待できます。こちらも併せて検討させると良いでしょう。
複数の面接官が採用基準を共有していることで、面接という限られた時間で正当な評価ができます。また、母集団形成で自社にあった人材を集められたり、面接官同士の意見のすり合わせもスムーズに行えたりするなど、採用活動の効率化につながります。
具体的な採用基準の作り方を6つのステップにわけて解説します。これを読めば、採用基準を誰でも作ることができるようになります。参考にして、採用基準を作ってみましょう。
採用担当者のイメージと現場の考えは、大きく異なる場合があります。「どんな人材を採用したいと考えているのか」「その背景や求めるスキルや経験は?」など、具体的に情報収集を行いましょう。
配属予定先では、実態を知るために、役職者だけでなく現場社員の声もしっかり聞くことをオススメします。必須条件と歓迎条件といった優先順位までヒアリングできれば、人材の要件定義の際にも役立つでしょう。またこういったヒアリング内容を基に、期待行動を紐づけることが肝心です。
以下の記事で詳しく人材要件の設定方法についてフレームワークに基づいて解説していますので、こちらもご参照下さい。
転職市場のトレンドや状況は常に変化しています。リクルートワークス研究所が行った調査によると、2019年上半期の時点で人材確保できた企業は48.3%と半数を切っており、3年連続でマイナスに。2020年度の調査では、人材確保できた企業が54.85%と+6.5%上回っていることから少し回復傾向にあると予測されます。
もちろん、業界や職種によってもさまざま。自社の属する業界・職種の置かれている転職市場について調査し、状況を理解することで、高すぎる/低すぎる採用基準かどうか判断しやすくなるでしょう。また、この高低を知った上で、最適な要件を整理することも重要な工程の一つです。こういった中途採用の季節変調による採用トレンドについて月別に解説している記事もありますので、ご参考になさってみてください。
ヒアリングした情報と転職市場の調査結果をもとに、採用したい人材の要件定義を行います。大切なのは、現場や経営陣いずれかの意見のみに偏らないことです。
例えば、現場は即戦力を求め、経営陣は将来担ってほしい役割までを想定し必要な要件を提示するとします。その際、即戦力を発揮してもらうために現在必要な要件と、将来的に必要な要件を今後身につけられると期待できるかどうかに分ければ、より具体的な人材の要件定義をすることができます。
また、経営戦略における一貫性だけでなく、早期離職やミスマッチの防止、採用活動の再現性を向上させるなど、人材要件をしっかりと定義することによって、さまざまなメリットがあります。設定方法の3つのポイントや運用における2つの注意点については、下記記事をご覧ください。
コンピテンシーとは、高い成果をあげる人材に共通している行動特性のこと。実際に活躍している社員をピックアップし、共通する行動特性や思考を分析することで、コンピテンシーモデルを作成できます。特に、「なぜそのような行動をとったのか」という理由を正しく把握することで、より精度の高いコンピテンシーモデルを作成できるようになります。
例えば……
【行動】どんなに小さな案件や面倒な質問にも真摯に対応していた
↓
【理由】一番に相談してもらう存在になるため/この人に任せれば大丈夫と思ってもらうため」
↓
【コンピテンシーモデル】信頼関係を築くために、小さな努力を惜しまない人
と導き出すといった具合です。
ペルソナとは、自社が採用したいと考える具体的な人材像のことです。人材の要件定義であげたキーワードやコンピテンシーモデルを活用して、具体的な人物像を想像してみましょう。
例えば、
「信頼関係を構築するために努力を惜しまず、ネイティブ相手に商談できるレベルの英語力があり、3年以内に10人のメンバーを引っ張ることができる強いリーダーシップのある人材」 |
などです。ペルソナには、スキルや経験だけでなく、生活環境や趣味、普段どのようなメディアで情報収集をしているのかといった志向性も含めることでより明確になるでしょう。
最後に、評価基準の具体的な項目を決めていきます。中途採用における評価項目の例は以下の通りです。
これらの要素を評価基準シートとしたものが以下になります。
(画像参照元:細井智彦『「使える人材を見抜く」採用面接』P188)
以下より上記Excelシートはダウンロードが可能です。ご活用ください。
人材採用において重要なポイントとも言える採用基準。自社で求める要件を整理した上で、採用トレンドや競合他社の状況に応じて最適化する必要があります。
本記事でご紹介した内容に沿って作成したのに「入社してすぐ人が辞めてしまう」「採用基準は満たしていたのに現場で即戦力化しなかった……」といった課題に頭を抱える採用担当者の方もいらっしゃるかもしれません。
そんな場合はもしかすると、採用媒体や選考工程に問題があるかもしれません。どこに課題があるのか自社では分からないという場合は、採用の知見を豊富に持ったプロに一度相談するのも一手です。採用代行を提供する企業の中には、中途採用に特化したものや本質的な企業の採用課題を解決してくれるものもあります。もし、思い当たるようでしたら、一度検討されてみるのもオススメです。詳しくは以下の記事で解説していますので、ご参考になさってみてください。
採用基準の重要性をはじめ、採用基準の作り方やミスマッチにつながる採用基準の特徴と見直す際のポイントについて解説してきました。
採用基準は、公正かつ一貫性のある判断で選考するための欠かせない指標です。スキルや経験値など定量的な内容と、志向や姿勢など定性的な内容の両面から評価できる項目を設定するのがポイント。広い視野で「自社にマッチする人材かどうか」を見極められる基準にしましょう。
大切なのは、面接官全員が同じ評価を下せる基準を設定することです。また、見えにくい社風などを言語化し、自社独自の基準を盛り込むことです。本記事を参考に自社にピッタリの採用基準を作成し、中途採用を成功させましょう。
【記入例付】いますぐ上司と目線合わせができる! ではどうすれば、要件がすり合うのでしょうか?まずは、経営と現場の両サイドの情報を整理、マスト要件等の定義、市場等のすり合わせの順に展開するとスムーズです。 ただし、これらを何も使わずに会議で議論しながら進めることはほぼ不可能です。 中途採用サクセスでは、採用コンサルタントが有料研修で提要している内容を、採用担当者が自社で使いやすい形に資料化しました。
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