採用活動は季節変調や景気等に影響を受けるため、確実に数値を読むことは難しいものです。しかし、「採用見込み」について論理的に説明できれば、社内決裁がおりやすくなる可能性も。
この記事では、そんな採用見込み人数の算出方法をはじめ、算出プロセスから採用活動の問題点を特定し、改善策を探るための方法もご紹介。新たな採用施策の導入に向けて上司を説得し、効果的な採用活動を展開する際のご参考になさってください。
採用見込み人数を算出する方法
過去の採用実績データを出す
他社事例を参考にする
過去実績から算出する
5つの問題点からみる具体的な改善策
採用見込み人数を算出する目的とは?
PDCAサイクルを回せる
自社に合う求人サイトが分かる
採用ノウハウが蓄積できる
まとめ
まずは採用予測における指標である採用見込み人数の具体的な算出方法をご紹介しましょう。
採用見込みを試算する前段階として、まずは各選考プロセスの過去実績をデータでそろえましょう。
例えば……
これらが、有効なデータに該当します。こうした数値をみれば、自社における採用活動の現状を客観的に把握することができます。
利用を検討する求人サイトにおいて、募集職種のPV数や応募数といった平均値がどの程度なのかを担当者へ確認しましょう。この際ポイントとなるのは、サイト全体の数値ではなく、なるべく自社の求人に近しい条件の数値を取り寄せることがポイントです。
具体的には、自社と同じ「募集職種」かつ「企画サイズ(掲載プラン)」における「平均PV(閲覧)数」や「平均応募数」が該当します。類似求人が平均何回見られ、1求人あたりにどのくらいの応募が集まっているのか把握することができます。
但し、平均値を参考にする際に気をつけなければいけないのが、雇用形態、休日数、勤務地エリア、時期など、状況によって変化する要素です。なかでも、季節変動には注意しましょう。
一般的には、求人サイトは8月と11~12月にかけて動きが鈍くなる傾向に。確認時は「これは1年間の平均値ですか? ●月の場合はどの程度でしょうか」と担当者に確認しましょう。「●月は応募者が●割減」などの情報を入手することができた場合、それを考慮に入れて採用計画を立てる必要があります。
自社の過去実績から算出する方法もあります。自社の各選考プロセスにおける通過率のデータを使って試算しますが、募集職種や経験の有無等、条件により数値が大きく変わってくるため、募集実績の多い職種で試算するとよいでしょう。
応募率: |
100% |
100名 |
└有効応募率: |
80% |
80名 |
└書類選考通過率: |
70% |
56名 |
└1次選考通過率: |
50% |
28名 |
└最終選考通過率: |
40% |
11名 |
└内定承諾率: |
45% |
5名 |
この例では、応募者数100名に対し、最終的な内定承諾者数は5名です。つまり、採用見込みは応募者数に対して「5%」という試算結果になります。
上記の試算方法を用いれば、1名の採用をしたい場合には20名の応募者数を集めることができれば採用見込みがある、ということになります。検討中の求人サイトがあるようであれば、20名の応募が見込めるかどうかが、そのサイトを使うべきか否かの判断ポイントと言えます。
このような各選考工程において、次のフェーズ(ステップ)に進んだ人数を把握する方法として「採用歩留まり」があります。採用活動においてこの数値をコントロールすることは重要だと言われています。歩留まり率の計算方法をはじめ、低下要因や5つの対策について解説していますので、以下の記事もぜひご参照ください。
採用見込み人数を算出する過程で参照した過去の実績データを使えば、各選考プロセスの問題点を洗い出し、具体的な改善策を考案することができます。ここでは、問題点に対する具体的な改善方法をご紹介します。
求職者が魅力的に感じる要素が少ないことが考えられます。タイトルはもちろん、原稿本文内にも要素があるかどうか見直しましょう。要素が少ないと感じるようであれば、改めて制度を見直し新規で作るというのも対策の一つです。
労働者にとって働き易さの一つでもある福利厚生制度は、アイデア次第でお金をかけずに導入が可能です。他社のユニークな事例をご紹介していますので、以下の記事をご参考になさってください。
募集条件が高い、応募障壁となる要素(応募時に志望動機書を提出しなければならない等)があるといった可能性が考えられるでしょう。募集条件の緩和を検討しましょう。
具体的に解決策を実行するためには、現場サイドに現状の問題点を提示し、「今回の募集職種は応募が集まりにくいため、例えば、採用基準の営業経験『5年以上』を『3年以上』に引き下げられないか」といった提案をしてみてもいいでしょう。
自社に必要な人材要件を明確にし、適確に言語化することは採用活動において重要な核となります。具体的な仕事内容に対して、どのようなスキルや経験、適性や志向が必要なのか?期待する行動はどういったものなのか?といった詳細まで落とし込めるとベストでしょう。以下の記事で詳しく解説していますので、ご参考になさってください。
求人原稿の内容とターゲットがずれている可能性が考えられます。応募はちょこちょこあるけど、自社の「対象者ではない」といった場合、考えられるのは原稿の表現がターゲットとずれていることです。
例えば、多くの企業でコミュニケーション能力が高い人材が好まれる傾向にあります。この場合、ただ「人と接するのが好きな方」と表現するだけでは足りません。例えば、業務の中でどういったコミュニケーションが発生するのか。そのうえで、コミュニケーションを取る人がどのようなやりがいを感じることができるのか、まで訴求できればベストでしょう。
条件面や内定フォローにおいて他社に負けている可能性があります。手厚く入社までフォローすることや、年収アップ等を提案することが解決策となりえるでしょう。
予算稟議の場で現状の問題点を提示し、「内定までのプロセスは良いのに辞退率が高く、提示条件がネックになっている可能性が高いので、年収を上げられないか」といった提案をしてみることで、解決が図れるかもしれません。
自社内で改善策を施しても効果が出ない場合、プロの意見を求めるのも手です。採用アウトソーシングや採用代行(RPO)と呼ばれるサービスは、自社内の採用業務だけをアウトソーシングできる便利な仕組みです。人事採用業務を業務委託することで、大幅に工数削減ができるだけでなく、採用のプロに依るアドヴァイスを受けることも。効果に悩む企業はぜひ検討されると良いでしょう。
人事担当者の中には、採用見込み人数を算出したことがない人も多いのではないでしょうか。採用見込みの算出は、社内決裁をスムーズにするだけでなく、採用活動の最適化や採用ノウハウの蓄積といったことにもつながります。ここではそんな採用見込みを算出する目的や必要性について、解説いたします。
採用見込み人数とは、すなわち採用活動の目標値です。計画段階で明確な目標値を設定しておくことで、その達成状況から活動の有効性を客観的に把握することができるようになります。
つまり、採用見込み人数を算出しておくことで採用活動を最適化し、PDCAサイクルを回せるようになるのです。
もし、採用活動において期待する成果を挙げられていないのであれば、数値データから問題点を洗い出し、改善策の検討を行いましょう。結果的に採用活動の効果を最大化し、最適な活動を行うことができるでしょう。
採用見込み人数を設定すれば、「目標とする人数を採用できる見込みがあるかどうか」という基準で、自社に合った求人サイトを選択できるようになります。
利用を検討している求人サイトの担当者に、平均閲覧数や平均応募数などの情報を問い合わせれば、そのサイトを利用することで自社の採用見込み人数を充足できそうかが判断できます。このため、見込みのない求人サイトを選び、経費が無駄になるといった事態を避けることができます。
採用見込み人数の算出により、予算の確保や直近の採用活動の最適化といった事柄にとどまらず、長期的なノウハウの蓄積という効果を狙うことも可能です。
例えば、採用見込み人数を決めてPDCAを回しながら採用活動を進めると、採用にかかわる膨大なデータが自然に蓄積されていきます。このようなデータは、将来にわたって自社の採用活動に活かすことができる大きな資産です。また、採用活動に関わった担当者たちも、PDCAのプロセスのなかで自然と採用ノウハウを身に付けることができるでしょう。
たとえ、採用活動が期待した結果に結びつかなかった場合でも、次からはより現実的な目標を立てることができるようになりますので、よりスムーズな採用活動につなげられるでしょう。
採用見込み人数を算出することは、採用のPDCAサイクルを回せる状況を作り出し、今後の採用計画の見直しにも繋がる、採用活動最適化のための大変有益なプロセスと言えます。仮説を立てて論理的に採用見込みについて説明できれば、採用活動に対する社内の協力も得やすくなるでしょう。
効率よく採用活動を行うため、この記事で解説した方法を使って、採用見込みの算出を定期的に実施してはいかがでしょうか。
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