採用KPIはなぜ重要?設定方法や運用方法を押さえ自社課題を明確に

母集団形成

新型コロナウイルスの影響を受け、採用市場は不安定な状況です。このような状況下で採用活動を行う企業にとって、採用KPIの重要性が高まっています。

本記事では、採用KPIの意味や必要性をはじめ、具体的な設定方法や運用方法をご紹介。自社の課題を明確にし、採用成功につなげる一手としてぜひご参考になさってください。

目次

採用KPIとは?
 意味・定義
 KGIとの違い
 なぜ採用KPIが必要なのか
3ステップで解説!採用KPIの設定方法
 【1】採用活動のゴール(KGI)を決める
 【2】KGIを元に必要条件を洗い出す
 【3】必要条件を「数字」で設定する
採用KPIの運用方法
 KPIに合わせた環境づくり
 職種/役職/状況に応じて見直す
 短期間のPDCAサイクルを意識
採用KPIの運用ポイント
 リアルタイムかつ継続的に計測を行う
 課題に対する対策を明確にする
まとめ


採用KPIとは?

戦略的に採用活動を行い、採用を成功させるためには採用KPIが欠かせません。まずは、採用KPIとは何か?KGIとの違いは何か?なぜ採用KPIを設定する必要があるのかについて、解説いたします。

意味・定義

KPIとは「Key Performance Indicator」の略で「重要業績評価指標」を指します。日本語にすると難しく感じますが、簡単に言うと「最終目標の達成度を評価するための数値」です。

採用活動における採用KPIを具体的に表現すると、2021年度の採用目標10名を達成する(KGI)ために「候補者を100名集める」「一次選考を50人行う」といった内容になるでしょう。指標を数値化することで行き当たりばったりの採用ではなく、定期的に進捗率をウォッチし、採用計画に沿った採用活動を実現します。

KGIとの違い

採用KPIとKGIの違いを表した図

KPIとKGIの違いについて混同される方も少なくありませんが、KGIは「Key Goal Indicator」の略称で最終目標を具体的な数値に落とし込んだものです。

KPIとの違いは上図の通り。KGIが最終ゴールであるのに対し、KPIはKGIを達成するための目標です。一般的にKGIから施策を考えるように言われていますが、この図表の通り最終目標を達成するためにはどうすれば良いか?を逆にたどって考えると分かりやすいでしょう。

<考え方の一例>
 「採用目標人数が5人だとすると、10人には内定通知を出す必要がある」
 「内定通知が10人だとすると、最終選考には20人必要だな」
 「最終選考を20人やるとすると、一次選考には40人は必要だな」
 「一次選考を40人やるには、候補者数を80人は担保しなければならないな……」

と、このように逆算して計算するのです。ここで注意しなければならないのは、感覚ではなく実績に基づいた数値を客観的に試算することです。

なぜ採用KPIが必要なのか

採用KPIの設定は、期限内に「求める人材」を「必要な人数」採用するために行われます。

例えば「一次選考通過者は〇〇人」という具体的な指標を設定してみましょう。このような具体的な指標を立てることによって、どうすれば〇〇人達成できるのか?といった施策を立てやすくなります。また、達成できなかった際は施策の見直しを行い、現在の打ち手に対する改善策を立てやすくなるでしょう。

3ステップで解説!採用KPIの設定方法

採用KPIは目標の数値を設定すればいいだけではありません。根拠に基づいた数値を設定するための方法を、3つのステップに分けて説明します。

【1】採用活動のゴール(KGI)を決める

KGIとは、「Key Goal Indicator」の略で「重要目標達成指数」のことです。つまり、「今年の新卒採用で10名採用する」「営業職を3ヶ月以内に3名採用する」「海外営業で〇〇交渉を難なくこなせるスキルがある人を採用する」といった最終目標、採用活動のゴールが採用KGIになります。

主に採用人数を設定することが多いですが、人材の質も同時に設定しておいたほうがいいでしょう。特に、即戦力となる経験者の採用を目的とした中途採用の場合には、人材の質の重要度も高まるため、KGIとして設定することになります。

採用KPIは採用KGIを達成するための指標なので、まずは最終目標であるKGIを具体的に設定する必要があります。

【2】KGIを元に必要条件を洗い出す

採用KGIに採用人数を設定した場合、その採用目標を達成するために必要な条件を洗い出します。これまでの採用活動の状況を振り返り、そもそも母集団が足りていないのか、面接通過率が低いのかなどを数値化して課題点を見つけます。

KGIに人材の質を設定している場合も同様に、採用ステップなどを振り返り必要条件を洗い出します。それらが見つかれば、課題を解消するために、採用SNSをはじめたり、選考フローにカジュアル面談を追加したりするなど必要な施策も見えてくるでしょう。

【3】必要条件を「数字」で設定する

必要条件を洗い出したら、数値化する必要があります。例として、母集団を増やすために採用SNSを始めるのだとしたら、「いつまでに何名にフォローされる」。また、「面談を設定して、面接通過率を〇%にする」というように、具体的な数値をKPIとして設定しましょう。

<採用KPIの管理例>
フロー 20年実績 20年CV率 21年目標 21年目標CV率 21年実績 21年実績CV率
候補者群 400 450 450
集合面接 200 50% 360 80% 350 77.8%
個人面接 80 40% 120 33.3% 145 41.4%
適性検査 50 62.5% 60 50% 75 51.7%
最終面接 25 50% 30 50% 35 46.7%
内定通知 20 80% 25 83.3% 18 51.4%
内定承諾 5 25% 10 40% 10 55.6%
(酒井利昌(2019).『いい人財が集まる会社の採用の思考法』P183を参考に編集部にて作成)

採用KPIの運用方法

採用KPIを設定しても、運用できなければ意味がありません。採用KPIの運用方法やポイントを3つに分けて説明します。

KPIに合わせた環境づくり

採用活動において、重視するものを明確にすることはとても大切です。なぜなら、応募者の質なのか、母集団の数なのか、面接設定率なのか……など、重視するものに合わせて採用活動の環境を整える必要があるからです。例えば、母集団形成に重点を置く場合には、採用条件の再設定や求人媒体の見直しなど強化すべきポイントが変わります。

職種/役職/状況に応じて見直す

採用KPIは、職種や役職、そのときの状況に応じて見直す必要があります。KPIを設定して、いざスタートしたらうまくいかない……ということもあるでしょう。その際に、ただただ設定したKPIを追うのはKGIの達成にもつながりません。現状を見極めたうえで柔軟に行動を変化させ、必要に応じてKPIを修正することも視野にいれましょう。

短期間のPDCAサイクルを意識

採用KPIは、短期的なPDCAサイクルを意識することで精度を高めることができます。実際にKPIに基づいて採用活動を進めることで、課題や問題の発見につながります。そして、解決するためのアクションを起こすというサイクルを繰り返すことで、精度の高い採用活動が実現できるでしょう。

採用KPIの運用ポイント

採用KPI

「採用KPIをより良くしたい」「改善したい」際に役立つポイントを3つに分けて解説します。

リアルタイムかつ継続的に計測を行う

KPIは継続的な計測が重要です。またリアルタイムで反映し、最新状況を把握しておく必要性も。採用活動のどの工程がどの程度の達成状況なのか把握できるようKPIシートを作成する等して、管理しましょう。

なお、募集ポジションが多くなればなるほど数値管理が大変になりますので、採用管理システムなどを活用し、一元管理できるようにしておきましょう。

課題に対する対策を明確にする

採用KPIの改善には、課題に対して明確な対策をとることが重要です。例えば、「応募者の質を高めたい」という課題があったとします。

この場合、対策として考えられるのは、

  • 採用ターゲット層が活用するメディアを選定する(し直す)
  • 求人広告の表現を採用ターゲットに響く内容に修正する
  • 選考方法や面接内容を見直す

などです。

このように、課題に対してどのような対策をとるのかを明確にし、具体的な策を講じることが大切です。

採用KPIをうまく運用できない場合には

採用KPIの運用には、正確な数字を把握し、KPIに合わせて環境を整える必要があります。もし、「日々の採用業務に追われているため、採用KPI管理にまで手が回らない」とお悩みの際には、採用代行会社にオペレーション業務などをアウトソーシングするのも一つの方法でしょう。

以下の記事では、採用代行を使うべき企業の特徴や採用代行会社12社の料金やサービスをご紹介しています。採用KPIを効率的に運用し、自社の採用活動の成功につなげる参考になれば幸いです。

まとめ

採用活動のゴールは採用KGIと呼ばれ、「営業職を3ヶ月以内に3名採用する」といった最終目標のことを指します。この目標を達成するための具体的な指標が、採用KPIです。「採用SNSのフォロワーを100人以上にする」というように、数値化して具体的にするのがポイントです。

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