自社が求める人材像を言語化した人材要件。まずは、正しい設定方法を理解することが採用活動の成功につながると言えます。本記事では人材要件が必要な理由をはじめ、人材要件の設定方法や運用のポイントについて解説いたします。
人材要件とは?
人材要件で設定する項目
【3STEP】人材要件の作り方・フレームワーク
【1】業務を洗い出す
【2】ターゲットに求める条件を設定する(人材要件)
【3】期待行動を明文化して紐づける
人材要件を作成する際のポイント
覚悟して工数を割く
意欲・可能性も加味した総合的判断を
人材要件が必要な理由
1)経営戦略に一貫性がでる
2)早期離職/ミスマッチ防止
3)再現性の高い採用活動が実現できる
まとめ
人材(人財)要件とは、募集ポジションまたは企業全体として、求める要素を言語化したものを指します。自社の理念や戦略を踏まえ、求めるスキルや経験を明確にした諸条件です。
具体性が高く、誰もが想像できるレベルまで言語化することが理想的です。人材要件を明確に言語化することで、面接官による解釈や評価のブレを防ぐことができます。
「ペルソナ」と混同される方もいますが、人材要件はターゲット像を。ペルソナは人材要件をもとに、より詳細な人物像を表現したものです。まずは、この違いを押さえておきましょう。
募集職種において必要となる必須条件(場合によって歓迎条件)。ターゲットレベル。
実在するような人物が想像できるレベルまで人材像を作成したものがペルソナ。
それでは人材要件において決めておくべき項目はどのようなものがあるのでしょうか?作り方を見る前に、下記の項目をまずは洗い出してみましょう。
<人材要件に必要な項目> ・職務経験 ・持っているスキル、能力 ・性格(協調性、誠実性、外向性、開放性、ストレス耐性) ・志向や成長意欲 ・期待する行動 |
上記のような項目を3要素(MUST・必須、WANT・持っておいて欲しい、BETTER・より良い)で洗い出しておきましょう。
具体的な3つの手順・項目で設定できるフレームワークをご紹介しましょう。
人材要件を設定する際のポイントは、担当する業務内容(事実)を洗い出すことです。
募集ポジションの業務詳細を把握することによって、人材像が明確になるのでぜひ行っていただきたいと思います。
具体例でご説明しましょう。以下は、実際に私が勤めていた求人媒体を取り扱う会社の営業職で作成した業務詳細表です。ここで重要なのは、業務内容と併せて職場環境や風土といったカルチャーも洗い出すことです。自社で行う際も、大カテゴリー(概要)に対して小カテゴリー(詳細)を紐づけると分かりやすいのでオススメです。
続いて、【1】で洗い出した業務・カルチャーを実践できる人材要件を明文化しましょう。
以下の例をご覧ください。例えば、「ネガティブな対応をとる顧客は少ないが、課題解決の難易度は高い」が業務詳細の場合、人材要件としては「相手のニーズ・課題を引き出すためのヒアリング力、コンサルティング能力」が必要が要件となります。
このように、実際の業務詳細(事実)に沿って人材要件を設定することで、詳細かつリアルな人材要件の設定が可能となり、ミスマッチの少ない採用を実現することができます。
意外とやっている企業が少ないのが、「期待行動」を明文化するということです。
期待行動とは、人材要件を満たしている人が実践できる行動をつなげる作業です。
実例に沿って、【1】担当業務や企業カルチャーを洗い出すと【2】ターゲットに求める条件を決定する、で作成した内容をもとに人材に期待する行動を紐づけてみましょう。
客観的な採用理由や根拠がないと、属人的な採用活動になってしまいます。しかし、直感的な部分を無視してしまうと優秀な人材を見逃す可能性も……。ここではそんな人材要件の作り方のポイントをご紹介します。
多くの企業で採用業務と兼務しているため工数が足りないという問題を抱えています。「本当は育成や組織活性にも手をつけたいけど、時間やパワー不足で着手できいていない」という声が聞かれます。
しかし、最初の人材要件がずれることによって、早期離職や採用ミスマッチによる現場疲労といった大きな問題に発展することは多いにあります。前述の手順で自社の人材要件を作成し、事実に基づいた評価ができる体制を整えましょう。
万が一、採用活動に十分な時間を割くことができないという場合は、採用アウトソーシングを検討するのも一つです。採用に関する知見を持つプロが業務を代行してくれるだけでなく、採用計画~内定者フォローまで包括的にサポートしてくれるものもあります。以下の記事で代行業者について解説していますので、参考になさってみてください。
スキルや人物を客観的に判断することは大切ですが、本人の意欲や可能性を無視する必要はありません。一見すると、スキルや経験などは要件に当てはまっていても、本人の意欲がなければ仕事を続けることが難しくなってしまいます。自社への志望度や働く姿勢、社風とのマッチ度なども評価の対象として、包括的に判断しましょう。
但し、見た目や話し方の印象に引きずられて評価をしてしまう担当者もいるでしょう。このような無意識の偏見を「アンコンシャス・バイアス」と呼びます。防止するためには、無意識→意識へと変え、正しい評価基準を整える必要があります。現場社員が面接にあたる場合などは事前にトレーニングすることで防ぐことが可能です。以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参考になさってください。
総務省の「自治体戦略2040構想研究会(第6回)」によると、2015年と2030年を比較した場合、就業者数は225万人減少することが予測されています。現在は新型コロナウイルスの影響により、有効求人倍率は1.04倍(2020年10月時点)に下がっていますが、転職市場は常に流動的です。
人材獲得競争が激化するこのような状況下において、人材要件をしっかり定義しておくことは重要です。その理由を3つご紹介いたします。
(画像引用元:総務省「自治体戦略2040構想研究会(第6回)」P3より)
企業経営を円滑に進めるには「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源を確保する必要があります。その中でも「ヒト」は、その他の経営資源を扱える唯一の資源です。「ヒト」が経営の良し悪しに影響するとも言われ、組織が求める条件やビジョンに当てはまる人材が必要です。それゆえ、採用活動は経営戦略の一つと言っても過言ではないでしょう。
経営戦略をベースに人材要件を作成すると、戦略に一貫性が出ます。経営戦略と人材要件が連動すると、求職者は企業の方向性をくみ取ることができ、入社後のイメージがしやすくなります。
採用活動の課題としてよくあげられるのは、早期離職と入社後のミスマッチです。時間とコストをかけて採用した人材がすぐに離職してしまうのは、企業としても大きな痛手となります。
人材要件を明確にしておくと、経営戦略に沿った自社が求める人材に出会うことができるので、早期離職とミスマッチの防止になります。
人材要件を設定する際は、スキルや経験、志向性を洗い出して条件設定します。そのため、人材要件が具体的であればあるほど主観的な判断がなくなり、面接官同士の評価のズレを軽減することに役立ちます。主観要素が排除されることにより、客観性の高い評価や再現性の高い採用活動の実現につながるでしょう。
こちらの記事では、面接担当者による評価のズレを防ぐ構造化面接についてご紹介しています。構造化面接の定義や導入すべき企業、実際に使える質問例などがまとめてありますので、面接で評価のズレを防ぐ際の参考になれば幸いです。
日本の労働人口減少に伴い、人材の獲得競争はさらに激しくなるでしょう。自社が求めるターゲットを明確にして、客観的な判断で優秀な人材を採用することが重要です。今回ご紹介した人材要件の設定や運用のポイントを参考にしながら、今後の採用活動にお役立てください。
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