「似たような人」ばかりを採用して大丈夫?「アンコンシャス・バイアス」を意識しよう

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なかなかいい人材に出会えない……期待して採用した人材が、実はなかなかフィットしない……売り手市場で採用が難しくなっている昨今、そんな悩みを抱えている中小企業の経営者は多いでしょう。しかし、厳しい状況のなかでも自社にあった採用戦略を展開し、成功している中小企業は多く存在します。ここでは、採用選考において無意識にやってしまいがちな「アイコンシャスバイアス」の意味とその対策についてお話します。

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「自分は大丈夫」と思っていませんか?なかなかぬぐい切れない偏見

人は誰しも過去の環境や経歴・文化などに基づいて無意識に偏見をもっており、完全になくすことは難しいもの。この無意識の偏見を、「アンコンシャス・バイアス」と呼びます。ダイバーシティの推進や男女格差の解消が進むにつれて、それらを阻む要因の1つとして、近年日本でも注目されています。

Googleやユニリーバなどのグローバル企業では、数年前から社員研修の中にアンコンシャス・バイアスもテーマとして導入し、対応に乗り出しています。

この「アンコンシャス・バイアス」、普段はなかなか意識することがありませんが、これによって採用がうまくいっていない可能性もあります。もう少し詳しく中身を見ていきましょう。

採用シーンでありがちなアンコンシャス・バイアス

アンコンシャス・バイアスは、様々な無意識の偏見の総称です。ここでは、採用シーンでありがちなパターンについて、例とともに見ていきましょう。

第一印象に左右される「確証バイアス」

「確証バイアス」とは、自分の意見や価値観の正しさを証明する情報だけを無意識的に集めてしまい、反証となる情報は無視または排除しようとする傾向を指します。みなさんも、一度自分の中で、「こうに違いない!」と思うとそれを補強するような情報ばかり探したり、目に入ったりしてしまうことがないでしょうか?

この「確証バイアス」の傾向が強まると、物事を客観的・多面的に捉えられなくなり、自分の見たいようにしか世界が見られなくなってしまいます。

例えば面接の場で、身なりや姿勢など第一印象で優秀そうだと感じると、無意識にそれを補強する材料ばかりを集め、反対の印象を持たせることには触れないことがあります。いざ採用してみたら、面接時の印象ほど実務レベルが高くなかった、というケースは確証バイアスのせいかもしれません。

一部の特徴にひっぱられてしまう「ハロー効果」

「ハロー効果」とは、ある対象を評価するときに、目立つ特徴に引きずられて、他の特徴に対して歪んだ見方をしてしまう傾向のことです。目立つ特徴が高評価の場合は「ポジティブハロー効果」、逆に低評価の場合は「ネガティブハロー効果」と呼びます。

例えば、候補者の出身大学によって、「高学歴だから仕事もできるだろう」「聞いたことのない大学だから、あまり期待できないかもしれない」と、色眼鏡をかけてしまうことがあります。本来の対象である求職者本人ではなく、他の要素に評価が引きずられるのは採用シーンでは避けたい事態です。

自分と似た人を高く評価してしまう「類似性バイアス」

「類似性バイアス」とは、自分と似ている人を高く評価する傾向のことです。求職者が自分と同じ学校・企業・出身地など、面接官と共通点があった場合、好感を覚えて良い評価をつけることを指します。しかし、共通点があるからといって、その候補者が自社に合うか、成果を上げられるかは分かりません。共感と評価は別物であると認識しておきましょう。

性差別にも、無意識の偏見が多い

ここまで挙げてきたアンコンシャス・バイアスは、性差別の中にも顕著に現れます。自社内でも性差別が起きないように注意している企業がかなり増えてきていますが、無意識の偏見によって気づかずに差別していることもよくあります。ここでは、2つの差別について見ていきましょう。

1つ目に、「敵対的差別」があります。これは言葉の通り、対象の性別に対して敵対心をいだいた考えから生じます。例えば、「子育てや家事は女性の仕事なので、働く女性が男性と肩を並べるのはおかしい」、「女性なのに、丁寧さがない。ガツガツしているのはおかしい」「女性はすぐ感情的になるから嫌だ……」などが挙げられます。また、男性に対して、「男性なのに、育休をとるのはおかしい。制度があっても使わないものだ」、「男性なら組織の中で上を目指すのは当たり前。出世したくないなんて、男らしくない」「若手の男性社員が会社の飲み会で上司より先に帰るなんてありえない。最後まで付き合うものだ。」という考え方も同様です。

2つ目は、「慈善的性差別」です。これは、本人としては相手を思いやっているつもりでも、その背景に無意識な性別に対する偏見がある場合に起きます。例えば、育児中の働き方に対する希望は人によって違うはずなのに、「ママ社員は育児で大変だから、難しい仕事やマネジメントはしたくないだろう、早く帰してあげよう!」といった考えや、結婚したばかりの男性に、「家庭をもったんだからバリバリ働きたいだろう。チャンスをあげよう」といったものが含まれます。

いずれも、差別行為を受ける本人たちの意思とは関係なく、一方的に押し付けられてしまうものです。

また今回は、「生物学的な男女」に対する性差別の例を書きましたが、「LGBT」(セクシャル・マイノリティ)の人たちに対しても、無意識的に差別をしていることがあるかもしれません。性の多様性が認められつつある現在だからこそ、フラットな視点を養いましょう。

アンコンシャス・バイアスを意識できているかが大きな違い

無意識の偏見について、例をいくつか挙げてきましたが、思い当たるものはあったでしょうか。

無意識に醸成されたものだからこそ、いきなり完全に取り払うのは難しいもの。しかし、「自分はこういう偏見を抱きがちだ」ということを知るだけで大きな一歩です。

例えば、採用の場面において「自分に似た考えの人を高く評価してしまう」というアンコンシャス・バイアス(類似性バイアス)には注意が必要です。しかし、まだ社員数が少なく、人材を育成する余裕がないベンチャー企業であれば「意識的に」類似性を持つ人たちが集まることでパワーを発揮することも多くあります。ビジョンと事業に共感し、同じような考え方と判断基準で行動する人たちが一体化することで、事業をつくって拡大していくことにのみ集中できます。

その後、成長期・安定期…と会社のフェーズが変わっていく中で、多様な職種・職能をもった人材が必要になったり、あるいはこれまでと社風や方針を180度変えるイノベーションが必要になったりしてきます。このタイミングでは、これまでの評価軸を見直し、客観的に会社の状況を捉えて、採用要件を定義し直す必要があります。

「今は創業期なので、類似性を持つ人材が必要なのだ」と認識しているのであれば、経営者が「自分と似ている」という点を高く評価するのは問題ありません。

しかし、会社のフェーズが変わっていっているのに、経営者がそれに気づかず、これまでのあり方や成功体験に固執してしまうことは問題です。もし、「そろそろ多様性を重視した採用が必要かもしれない……」と感じはじめているなら、採用担当者や自分自身をはじめとして、アンコンシャス・バイアスに関する研修を受講してみてもいいでしょう。そして、改めて採用要件を見直しましょう。

まとめ

採用するうえでは、「色眼鏡」を外して多面的・客観的に考えることが重要です。いま行っている採用の評価は、自社のフェーズや状況を踏まえて、戦略的につけている評価でしょうか?これまで、無意識のうちに高評価・低評価をつけて、失敗した経験はありませんか?いま一度、振り返ってみましょう。

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