「なかなか良い人材が応募してこない。応募が来ても、条件を満たしていない人や転職歴が多いジョブホッパーばかりで採用に繋がらない」と悩んでいる人事担当者もいるのではないでしょうか。しかし、近年は「ジョブホッパーというだけで敬遠するのはもったいない」という考え方も出てきています。では、採用対象になり得る「優秀なジョブホッパー」と、「ダメジョブホッパー」をどのように見極めればよいのでしょうか。この記事で解説いたします。
そもそも「ジョブホッパー」とは?
「ジョブホッパー」の定義 日本での「ジョブホッパー」の印象
「優秀なジョブホッパー」と「ダメジョブホッパー」を見極める
優秀なジョブホッパーとは?
┗キャリアアップ型
┗スキルアップ型
ダメジョブホッパーとは? ダメジョブホッパーを見極める質問例
優秀なジョブホッパーを採用するメリット
【1】適応能力が高い
【2】成長意欲が高い
【3】柔軟性が高い
念入りな書類選考・面接が何より大事
まとめ
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転職を繰り返す行為を英語で「ジョブホッピング(job-hopping)」といい、転職を繰り返す人を「ジョブホッパー」といいます。明確な定義はないものの、半年~2、3年未満で転職を繰り返し、4~6回程度の転職経験がある人を「ジョブホッパー」と呼ぶことが多いようです。ちなみに、20代のうちに2、3回の転職経験があると「転職回数が多い人」というレッテルを貼られることもあるかもしれませんが、このような人は「ジョブホッパー」には含まれません。
終身雇用制度が定着していた日本では、一つの会社を勤め上げるのが美徳とされてきました。ゆえに短期間で退職した人を「脱落者」とみなすケースも多く、ジョブホッパーに対する印象もあまりよくないようです。例えば、以下のようなマイナスのイメージを持たれることもあります。
ジョブホッパーに対するマイナスのイメージ
プライドが高い | ⇒ | 注意したら怒って辞めそう | ⇒ | 長期勤続が見込めない |
忍耐力がない | ⇒ | 面倒な仕事を依頼したら放り出しそう | ||
こだわりが強い | ⇒ | 素直にアドバイスを聞かなそう | ⇒ | マネジメントしづらそう |
人間関係に難がある | ⇒ | 周囲との協力が難しそう |
確かに、マイナスのイメージを具現化するような「ダメジョブホッパー」も、多数存在します。しかし、「ジョブホッパー」と聞いただけで最初から敬遠するのは、良い人材に出会うチャンスを自ら放棄しているようなものかもしれません。「優秀なジョブホッパー」の例を挙げてみましょう。
短期間で実績を残せるので、他社から次々と声がかかる。チャレンジ精神が旺盛なので、積極的に転職している。ひとつの会社にこだわるという思想がそもそもない。
例えば、家庭の事情で早いうちから働き始めたが、年収アップを目指し、積極的に転職している人など。各職場で資格取得に励み、スキルアップに余念がない。
このように、一口に「ジョブホッパー」といっても、積極的かつ前向きに転職を重ねる優秀なジョブホッパーも存在しています。これらのタイプは別名「キャリアビルダー」と呼ばれることも。また、当初は漫然と転職を繰り返すジョブホッパーだったとしても、途中から自分のキャリアの軸を見つけ、計画的にキャリアを積み重ねてきた人もいるかもしれません。表面上の転職回数だけで判断せず、応募者ごとにバックグラウンドやキャリアプランをしっかり確認するようにしましょう。
ダメなジョブホッパーは、「行動力が高い」「仕事に対するこだわりが強い」といった人が多いため、プライドが高く、本人のストレス耐性に問題がある場合が多いと言えます。このような人は取り扱いが難しいため、できれば事前に見極めたいところです。
「ストレス耐性を上手に見抜く6の質問|高い人の特徴や見極め方法等」では、そもそも、ストレス耐性とは何か?をはじめ、高い人・低い人の特徴、面接で見極めるための質問方法までご紹介しています。耐性の低い人を活躍させる方法も押さえていますので、ぜひご活用ください。
続いては、そんな「ダメジョブショッパー」を見極める際に有効な質問をご紹介いたします。回答内容を精査し、ダメジョブショッパーor優秀なジョブホッパーなのかを見極めましょう。
▼在籍期間や退職理由に懸念・違和感がある場合
【質問例】●●社を●カ月or●年で退職されていますが、退職理由を教えていただけますか?
⇒質問ポイント:完全なる自己都合や人間関係・仕事上のトラブルで退職したのではないかどうかを探る質問。素直に自分都合と回答する人は少ないため、理由に対してさらに質問を重ね、深掘りして真意を確かめることを心がけましょう。
(回答例:キャリアアップのため⇒深掘り例:なぜその会社では成し遂げることは難しかったのですか?)
▼キャリアの一貫性を測る
【質問例】あなたの今後のキャリアビジョンを教えてください。
⇒質問ポイント:これまで築いてきたキャリアの一貫性を測ります。キャリアアップや納得感の低い回答は注意しましょう。
▼失敗・挫折経験に対する姿勢を見る
【質問例】仕事における失敗経験と、どのように乗り越えたかを教えて下さい。
⇒質問ポイント:大小問わず誰しも失敗や挫折経験は持っているものです。仕事に対する真剣度や取り組み姿勢、ストレス耐性を見る質問です。そもそも経験自体がない、経験年数に対して内容が薄い場合等は注意しましょう。
▼プライドの高さや柔軟性を見る質問
【質問例】他の人と意見が競合した際はどうされますか?
⇒質問意図:ダメジョブホッパーは仕事に対するこだわりが強く、プライドが高い傾向にあります。「自分の考えがいかに正しいかを説明します」といった回答の場合は注意が必要でしょう。
キャリアアップやスキルアップ、会社都合といった致し方ない理由に依る転職であれば、優秀なジョブホッパーを採用する検討余地は大いにあると言えるでしょう。ここでは、採用メリットをご紹介いたします。
たとえ同じ職種での転職であっても、企業ごとで仕事の進め方やルールは異なるものです。社風や職場環境も違うでしょう。
実は、中途採用において「採用人材が即戦力化しない」と悩む採用担当者は少なくありません。「前職のやり方を引きずっている」「周囲に馴染めない」というのがその理由です。就業時間が長くなればなるほど、想像以上にその会社のやり方に染まる(洗脳される)ものです。
こういった観点から、さまざまな会社で経験を積んでいるジョブホッパーは、職場への適応能力が高く、扱いやすい人材と言えるでしょう。また、このような即戦力化についてお悩みであれば、その理由や解決策について以下の記事で解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
優秀なジョブホッパーの場合、自らのキャリアストーリーを持っており、そのイメージに基づいて転職を行っています。そのため、しっかりとした実績を残しながら、進んできた人材が多く、向上心を持ちながら仕事に取り組んでくれるでしょう。
変化することを恐れずに転職を繰り返してきたジョブホッパーは、柔軟性が高い傾向にあります。さまざまな会社のやり方や社風、職場環境を経験しているため、新しい事柄に対しても柔軟に取り組んでくれるでしょう。
応募者が「優秀なジョブホッパー」か「ダメジョブホッパー」なのかを見極めるためには、書類選考の際、先入観を排除して履歴書や職務経歴書を熟読し、応募者の経歴をしっかりとイメージすることが重要です。
また、面接の際には、
といった質問を投げかけて深掘りし、納得できる転職理由があるのか、キャリアの軸はあるのか、などを見極めましょう。
応募書類をざっとチェックしただけで「確実に採用NG」と判断できるケースもあるかもしれませんが、転職理由や経緯が合理的であると感じた場合には、一旦、前向きに検討してみる価値はあるでしょう。迷った場合には、面接の機会を設け、応募者から直接話を聞いてみると良いでしょう。
ジョブホッパーというだけで、しっかり応募書類を確認せず、採用対象から外した経験がある人もいるかもしれません。しかし、応募者のなかには、キャリアアップのために転職を重ねた優秀な人材がまぎれている可能性もあります。応募者が「優秀なジョブホッパー」か「ダメジョブホッパー」なのか、人事の目を磨いてしっかり見極めましょう。
とはいえ、人材の見極めには相応の手間と時間がかかります。例えば、「キャリコネ転職 丸投げプラン」には、キャリアコンサルタントが応募者に対して事前にヒアリングし、スクリーニングを行うサービスも含まれています。社内の人事のリソース不足で手が回らないような場合には、このような外部サービスの利用を検討してみてもよいでしょう。
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