多くの人事担当者が悩む「不採用通知を出したいけど、どういった点に注意すれば良いの?」「模範的な内容が知りたい」といった疑問やご要望にお応えするべく、本記事では採用を断る際の注意点や例文を紹介。応募者の気持ちに寄り添った断り方や、選考後も応募者との関係を良好に保つポイントを押さえ、円満な「お断り」をしましょう。
不採用を伝える際の3つの心得
<ポイント1> 応募への感謝を示す
<ポイント2> 伝えるタイミングに気を付ける
<ポイント3> 応募書類等は丁寧に取り扱う
メールで断る際の注意点と例文
メールで断る際の注意点
└<メール> 例文
郵送で断る際の注意点と例文
郵送で断る際の注意点
└<郵送> 例文
電話で断る際の注意点と例文
電話で断る際の注意点
└<電話> 会話例
【Q&A】よくある質問
不採用者とのつながりを大切に
まとめ
慎重に取り行いたい不採用通知。具体的にどのような点に注意し、どういった気持ちでのぞめば良いのでしょうか?細かな注意点を含めた3つの心得をご紹介します。
不採用の際に企業イメージを悪化させる企業は少なくありません。まずは、応募者が自分自身の貴重な時間を使って、応募してくれたことに感謝をしましょう。その上で、企業としても真摯に精査・選考を行い、十分に検討を重ねた上で結論を出したという姿勢を伝えることが重要です。
一般的に選考結果を伝えるのは、1週間以内が適正だと言われています。但し、応募者によっては他社の選考を待ってもらっていたりする場合も。下記のような内容を想定に入れ、対応しましょう。
応募書類は個人情報を含む重要書類です。法律上の保管義務はありませんが、大事な書類をお預かりしているということを念頭において取り扱いましょう。最近は個人情報に神経質な方も増えていることを想定し、事前に「返却」or「破棄」といった形で、応募者に示すのがベストでしょう。
不採用通知は「書面を郵送するのが適切な対応ではないか?」と悩む人事担当者の方もいるかもしれませんが、最近はメールで済ませる企業がほとんどで、一般的な方法になってきています。但し、対応の際は以下の点に注意しましょう。
件名:【選考結果のご連絡】企業名 |
〇〇△△様 この度は弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。 ○○様の応募書類をもとに社内で慎重に検討しました結果、 ◯◯様のお人柄やこれまで培われたご経験は大変魅力的ではございましたが、 末筆ではございますが、〇〇△△様の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。 ─────────────────── |
最近は郵送で不採用通知を送ることは珍しくなってきていると言えますが、いま一度注意点を振り返りましょう。
応募者から「手元に届かない」と連絡があった場合に、すでに発送済みであることを証明するために必ず写しをとっておきましょう。
応募者の手元に確実に届けるために、紛失や誤配のない方法で送付します。対面手渡しの「簡易書留」や、手軽にポスト投函ができ追跡番号で確認可能な「レターパック」など自社にあったサービスを選択しましょう。
〇〇△△様 選考結果のご通知 拝啓 この度は弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。 ○○様の応募書類をもとに社内で慎重に検討しました結果、誠に残念ながら 大変恐縮ではございますが、何卒ご了承賜りますようお願いいたします。 末筆になりますが、〇〇△△様の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。 敬具 株式会社○○○○ |
郵送の場合もメールと同じくシンプルに用件を伝えるようにします。他の文例を参考にしたい場合には、例文サイトを活用しましょう。
電話で選考結果を伝える場合、応募者から質問などをもらう可能性があり、メールや郵送の時よりも気を遣う必要があります。以下の注意点を念頭に置き、失礼のない対応を心がけましょう。
応募者に電話をかける時間帯にもマナーは必要です。応募者の就業時間帯を避けるなどの気配りをし、不在時には再び連絡する旨の伝言を残しておきましょう。
電話での会話は証拠が残らないため、後から「言った・言わない」の問題が発生しないよう、電話の内容を文面でも残しておきましょう。
【企業名】の採用担当△△です。○○様の携帯電話でお間違いありませんか? ただ今、お時間よろしいでしょうか? この度は弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。 社内で慎重に検討しました結果、残念ながら採用を見合わせていただくこととなりました。 〇〇様の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。 |
電話の場合、応募者との会話になります。一方的に用件をまくしたてて切ることがないよう、丁寧な会話を試みましょう。また、面接のためご来社頂いている場合等は、「先日はお忙しい中、弊社までご足労頂き誠にありがとうございました」といった形で、上記内容と併せてお礼を伝えましょう。
不採用通知を出す際は慎重に実施する必要があり、手間がかかるものです。採用業務に追われる中、一人ひとり丁寧に対応するのは非常に工数もかかります。そんな場合は、採用代行(RPO)・採用アウトソーシング会社へ業務を委託するのも一つの手です。代行会社の中には、一部分だけ引き受けてくれるものや、採用業務を丸っと委託できるサービスも。
不採用通知はもちろん、スカウトメールのみの配信など1タスク単位でアウトソーシングも可能ですので、ぜひ採用代行(RPO)サービスも検討されると良いでしょう。詳細は以下の記事をご覧ください。
Q:不採用の理由を聞かれた場合、答えなければなりませんか?
A:不採用理由を共有することは義務ではありませんので、答える必要はありません。
但し、「不採用理由について教えてくれない」といった理由でネガティブなイメージを持たれるのも本意ではないと思いますので、「会社規定により回答できない」ことを伝えましょう。それでも食い下がるような方がいれば、他の候補者の方と比較・検討した上での選考結果である旨を説明しましょう。
法律上、回答義務はありませんのでそれ以上の事を説明する必要はありません。
Q:メールで不採用通知を出していますが、不採用理由を聞かれた場合のメール返信方法を教えてください。
A:前述の通り、法律上回答義務がありませんので回答するのであれば以下が良いでしょう。
当社規定により不採用理由については回答いたしかねます。 誠に申し訳ございませんが、ご理解・ご了承いただけますと幸いです。 |
Q:不採用通知を郵送する場合、社判は必要ですか?
A:必要ありません。
Q:求人広告に記載していなかった理由でお断りしても良いでしょうか?
A:お断りすること自体は法律違反ではありませんが、おすすめはできません。
大前提、応募者に対して当該理由を開示することは避けましょう。
「やっぱり採用しておけばよかった…」。過去の応募者の中には不採用にしたことを後悔するような、優秀な人材もいたのではないでしょうか。そんな人事担当者のために「採用を断った後も、応募者と接点を持ち続ける方法」をご紹介します。
「タレントプール」とは、「将来的に採用する可能性がある人材をデータベース化すること(採用を断った応募者の連絡先を残しておき、接点を保つこと)」をいいます。
例えば、急にポジションが空いてしまい、「あの時の応募者のスキルが役に立つかもしれない。もう一度採用を検討したい」となったときに、再び連絡が取れるようにするのが目的です。ただし、個人情報を残すには、個人情報保護の観点から事前に応募者の了承を得る必要があります。
このような候補者の管理に便利なのが、「採用管理システム」です。タレントプール機能をはじめ、進捗のサマリ表示機能や活動レポートの作成等、各社便利な機能がありますので併せて検討されると良いでしょう。無料で利用できるものもありますので、自社の目的に応じて選択すればコストダウンや採用活動の効率化につなげることが可能です。
前述したタレントプールにおいて効果的なのが、個別メッセージによるアプローチです。こういった企業から候補人材に対する個別のアプローチを「ダイレクトリクルーティング」と呼びます。
TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアや、ビジネスSNSと呼ばれるLinkedIn(リンクトイン)などは気軽に連絡を取り続けることができるためオススメです。候補人材の近況を知ることができるため、タイミングを見てアプローチするきっかけを得ることも。
また、タレントプールとしての機能だけでなく、新規で人材を探す際にも有効な手段の一つでもあります。導入の際は、まず「自社の課題が何なのか?」を明確化してから取り組む必要があります。このような導入手順や押さえたいポイント、メリット・デメリットについては、以下の記事をご参考になさってください。
応募者に「不採用」を通知することは、人事担当者にとっても心苦しいことでしょう。「なるべく手早く済ませたい」、逆に「できるだけ先延ばしにしたい」、そんな悩ましい業務かもしれません。
しかし、志望企業から不採用通知を受け取る応募者の気持ちを第一に考えることが重要です。自社に応募してくれたことへの感謝を示し、誠意をもって対応することで、わだかまりの残らない「断り方」ができるはずです。
また、今回は不採用になった応募者も、将来的に「顧客、同業者、採用候補者」などの形で関わることが出てくるかもしれません。それらの可能性も想定し、応募者との関係を少しでも良好に保てるよう、丁寧な対応を心がけましょう。
即使える!採用担当者向け
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