人材獲得~定着に悩む企業は少なくありません。採用ミスマッチはどうして起きてしまうのでしょうか。今回は、そんな採用ミスマッチが起こることによるリスクや起こってしまう原因、防ぐ方法について解説いたします。
採用ミスマッチによるリスク
【採用ミスマッチを防ぐ方法】事例と防止方法
双方のニーズから探る、採用ミスマッチが起こる原因
まとめ
せっかく時間や労力を費やして採用した人材が、退職してしまう事によるリスクは計り知れません。意図しない退職による損失額は180万円程にも上ると言われています。具体的なリスクを確認しましょう。
人手不足によって受ける影響を見てみましょう。業種別に調査した結果に依ると、「売上機会の逸失」「残業時間の拡大」「納期遅れなどのトラブル」など、企業成長に大きく影響することが分かっています。
人材採用にはお金も時間もかかります。求人原稿の作成、スケジュール調整~面接実施、選考ジャッジ、入社後のフォロー・研修……等、一般的にはさまざまな工程で複数の社員が工数を割いています。
せっかく時間をかけて採用・入社した社員が退職してしまった際の既存社員へのダメージは小さくありません。慢性的なミスマッチは、現場の疲弊感にもつながるため、最悪の場合、既存社員が離職するリスクもあると考えましょう。
採用ミスマッチによって失われるものの代表にお金が挙げられます。せっかく採用した社員が早期離職してしまうと、採用にかかったコストが水の泡になってしまうため、何としてでも防ぎたいところです。
エン・ジャパンによると、採用経費や在籍費、教育研修費などを合わせ、社員一名が入社後3ケ月で離職した場合の損失額を187.5万円と試算しています。
採用ミスマッチによるリスクはお分かりいただけたかと思います。それでは、どのように防げば良いのでしょうか?事例と合わせて防止方法をご紹介いたします。
こういった話はよく聞きます。
前職のイメージを引きずっているケースや、会社としての共通認識が異なるケースも見受けられます。イメージの相違で労働意欲が減退してしまうと、企業にとっても本人にとってもマイナスにしかなりません。双方認識が異ならないよう、意見のすり合わせをしっかり行いましょう。
書類を渡すだけではなく、労働時間やみなし残業の有無、給与にまつわる部分は読み上げたり再度確認を促したりしましょう。また、転勤や待遇についての考えも企業によって大幅に異なるので、すり合わせをしておいたほうが安心です。
「中途採用の給与の目安がわからない」という場合には、転職サイトの平均年収ランキングや賃金構造基本統計調査を参考にすることもできます。詳しくは下記の関連記事をご覧ください。
同じ商材を扱っている会社でも、「お金になるならとにかく売る」というスタンスなのか、「顧客のためを思って、ときには売らないこともある」というスタンスなのかで、仕事への取り組み方は大きく変わります。「慣習を大事にする」のか「新手法を受け入れる」のか、「結果重視」なのか「過程重視」なのか……なども同様です。
もともと顧客の中長期的展望に沿った提案営業をしてきた人が、いきなり「とにかく売りまくれ!」と命じられても結果は出ないでしょうし、場合によっては大きなストレスにもなります。企業文化が異なれば、業務スタイルやコミュニケーション方法、ワークライフバランスに対する考え方なども異なるので、その人が持っているスキル・経験が発揮できなくなることもあり得るのです。
こういう場合、「自社の文化や考え方に合う人・合わない人」をあらかじめリストアップしておき、求人票や採用ホームページなどにも反映しておきましょう。人材紹介会社を利用する場合や求人サイトの取材を受ける際に、担当者に伝えておくことも大切です。
特に不安な点があれば、面接時に「当社はこういう考え方ですが、〇〇様はどうですか?」と思い切って聞いてしまうのもひとつの手です。
企業文化にはマッチしても、既存社員との人間関係が原因で実力を発揮できないという人もいます。例えば、部下に裁量権をゆだねるタイプの上司と働いていた人が、部下の日々の行動をきっちり管理監督する上司の下で働くことになれば、窮屈に感じられるでしょう。
さらに、報連相のタイミングや、商談時の立ち振る舞い方、飲み会での言葉遣いなどから、「この人(このチーム)とは合わないな」と感じてしまうこともあります。そうなれば、仕事にも良くない影響が出るのは必至です。
入社前に、直属の上司・同僚となる人との面談を設定しましょう。カジュアル面談などが最適でしょう。必ずしもその上司や同僚が合否の判断を行う必要はありませんが、「一緒に仕事できそうか」は確認してもらいましょう。求職者にも「実際にこの人たちと働くことになります」と伝えておき、反応をみることをおすすめします。
また、現場と人事担当者がしっかり連携し、求人原稿に実際の社風をしっかり反映させることも大切です。
履歴書や職務経歴書、面接内容など慎重かつ総合的に判断をしたのに、「期待していたスキルを持ち合わせていなかった」「現場が求めるスキルとずれていた」といったことは往々にしてあります。
特に選考シーンにおいて求職者はアピールに力を入れるため、実力との乖離が生じることはあります。
まずは事前に社内の現場メンバーと打ち合わせをして、「どんな業務を」「どのように」こなせる人が必要なのかを具体化しましょう。そのうえで「だからどんな人を採用すべきなのか」を言語化する必要があります。
また、面接でもただ「〇〇はできますか?」と質問するのではなく、具体的な業務レベルにまで落とし込んだ質問をする必要があります。例えば「Excelはできますか?」ではなく、「ExcelでVLOOKUP関数やピボットテーブルを用いたクロス集計はできますか?」といった具合に質問するといいでしょう。
話をしていて「ターゲット像とずれているな」と感じたら、求人内容をターゲット層に届くよう改善することで求めていた人材を採用できることもあります。詳しくは下記の関連記事をご覧ください。
勤務態度や普段の生活面などに問題点が多く、会社が求める仕事ができていないという人もいます。例えば「スキルはあるのに、遅刻・欠勤が多いため同僚や取引先の信頼を失う」「書類不備や手続きミスが多く、周囲がフォローしなければならない」といった具合です。
もちろん、多くの人は指摘することで改善できますし、業務の定型化(誤字脱字が起きないような書類のテンプレート化など)による対策も立てられます。しかしごくまれに、どれだけ指摘しても改善する気配がない人や、周囲がフォローしきれないケースが存在するのも事実です。
などの質問を投げかけてみましょう。これだけで判断することはできませんが、「寛容な態度で対応する」といったような返答がきた場合には、本人もルーズである可能性があるので、ヒントのひとつになります。
また採用担当者は、選考過程でのちょっとした違和感も大事にしましょう。
など、「ちょっとおかしいぞ?」という違和感が生じたときには、より慎重に選考するのもひとつの手です。
即戦力になると見込んで採用した社員が、なかなか活躍してくれないケースもあります。本人の能力不足の場合もありますが、会社が本人のサポートを十分できておらず、環境が整っていないせいで起こる場合もあります。
いくら経験者であっても、入社後はその企業の「新人」です。業務の方法や企業文化に馴染めず、実力が発揮できないケースは少なくありません。
社内に溶け込めていないなら、積極的に声をかけてみる、年の近い人にメンターになってもらうなど、環境面を調整し、力を発揮できるよう工夫しましょう。詳しくは下記の関連記事をご覧ください。
せっかく内定を出したのに、入社前になって辞退する人が相次ぎ、募集が埋まらない……なんてこともあります。また一から採用を再開しなければならず、時間もお金も無駄になってしまいます。
内定を辞退するということは、自社よりも魅力的な他社が選ばれたということです。なぜ他社を選んだのか、辞退した理由を思い切って聞いてみるのも一つの手です。答えてくれるかどうかは応募者次第ですが、自社の採用活動で不足している点が見えてくるかもしれません。
「面接官の態度が悪かったため」「求人広告と面接での話が違ったため」「年収などの希望条件に折り合いがつかなかった」といった事は辞退理由としてよく聞かれるものです。辞退の意思を伝えてきた際に、「もし不安があるのであれば、一度お話しする機会を作りませんか?」と引き止め、ざっくばらんに話をしてみるのもよいでしょう。
入社前と後のギャップにより、すぐ辞めてしまう人も多くいます。せっかく得た人材をすぐ失うことほど、お互いにとって不幸なことはありません。
入社前に意識のすり合わせや確認をする企業は多いと思いますが、入社後のフォロー体制の整備までは手が回っていない場合も多いのではないでしょうか。入ってくれたらそれで終わり……ではなく、せっかく採用した人材が辞めないように、入社後のフォローも積極的に行いましょう。
採用活動は採用して終わりではありませんが「入社後フォローまで手が回らない」という採用担当者の方も少なくありません。1業務単位や採用活動全体をサポートしてくれる採用代行(RPO)もありますので、工数が割けない場合は検討してみると良いでしょう。
なぜ、採用ミスマッチは起こってしまうのでしょうか。企業側、求職者双方のニーズをヒントに、原因を紹介いたします。
採用活動において、自社で活躍してくれるターゲット人材の設定は非常に重要です。そもそも、求める人材像を言語化できていない場合、感覚的な採用活動となっている可能性があるので要注意でしょう。
また、「求める要件が多いので、あえて掲載していない」という場合は、社内での共通認識化に努めましょう。経営層、人事、現場担当者全員の目線合わせが出来ていない場合、選考段階でずれることによりミスマッチにつながります。
採用基準≒評価基準が明確でないと、人によって評価にばらつきが生まれる可能性が高くなります。現場担当者は「いまいち」だったのに、社長は「素晴らしい」と評価してしまう……など、現場ニーズとの乖離が起こり、ニーズにそぐわない人材を採用しているかもしれません。
例えば、Googleでは構造化面接を取り入れることによって、面接担当者によって評価がぶれないよう明確な選定基準を設定しています。明日からでも使える質問テンプレート付きですので、ぜひご参考になさってください。
特に、中途採用で起こりがちなのが「転職者≒即戦力」という誤ったイメージです。たとえ、同業界・同職種からの転職者であったとしても、その会社ならではのやり方で働いてきた人が新しいやり方に慣れるまでには、最低でも半年以上はかかると考えましょう。こういった考え方や環境がない場合、転職者が孤立して早期離職につながる可能性が高くなります。
入社する前は、事務仕事だけだと聞いていたのに、「入社したら、あれもこれもと業務を振られて事務以外の仕事もやっている」なんて事は珍しい話ではないでしょう。人を集めるために良い点しか述べないという事は求職者の誤解を生み、ミスマッチにつながります。包括的な表現や自社の課題を隠す事は、誤解を生みやすいため注意しましょう。
職場の人間関係や働く環境について、文章で理解するのは難易度が高いと言えます。当たり前ながら、求人広告は魅力的な要素しか出さない傾向にあります。そのため、入社まで会社の雰囲気や同僚と接する機会がない場合、ミスマッチへとつながる可能性があると心得ましょう。
例えば、日当たりの良い場所なのか、社員同士の会話はあるのか……など、働く環境は実際足を運んで初めて分かるものです。コロナ禍においてなかなか難しい会社も多いかと思いますが、ミスマッチを防ぐためにも動画や見学会などによって、知ってもらう工夫をしましょう。
採用ミスマッチは、求職者側と企業側双方の側面から考える必要があります。特に、中途採用において「転職者≒即戦力」という考え方は誤っているとご認識いただきたいと思います。採用計画~入社後の定着に至るまで、今回ご紹介した観点を参考にしていただき、見直す機会としていただければ幸いです。
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