転職者に即戦力化を期待する企業は多いですが、実際に入社してすぐ活躍する優秀人材を採用できる企業は一部と言えます。
では、その差はなぜ生まれるのでしょうか?「中途採用者が使えなかった」「即戦力人材が採用できない」と課題をお持ちの企業に向けて、その理由や探し方をご紹介いたします。
中途採用における即戦力とは?
「即戦力になる人」と「即戦力にならない人」を見分ける方法
中途採用した人材が即戦力にならない4つの原因
転職者を早期に活躍させるための3つの対策
採用人材を即戦力化する方法とは?5つのステップ
まとめ
中途採用における即戦力とは、募集ポジションにおいて必要とされる知識・経験を持ち合わせた、自社で活躍してくれる人材のことを指します。新卒採用に比べると、圧倒的に研修やアフターフォローといった工数がかからない事から、最近は中途採用に力を入れる企業が増えています。
一般的な中途採用は、不足要員に対する補充目的の採用であることから、同期などの仲間がおらず孤立してしまう転職者は少なくありません。企業側も「ビジネス経験を積んできた経験者だから」と放置しがちなのが課題と言えるでしょう。
事実、中途採用において「研修」や「フォロー」は欠かせません。
転職者は「求められるスキルや経験を持っているので、私は活躍できます」とアピールする傾向にありますが、実際は就業先の企業ごとにやり方やルールがあることに注意しなければなりません。
本来は、「これまで学んできた事」が何で、今後求められる事に対して「いかに実現させることができるか」プロセスを交えてアピールし、企業側はそれをしっかり評価しなければなりません。
例えば営業職一つとっても、法人営業と個人営業では大きく内容が異なってきます。新規獲得をミッションとする場合もあれば、既存顧客の育成をミッションとする場合もあるでしょう。同じ職種の募集でも、会社によって業務範疇も違えば、仕事の進め方や目指すものが異なることは往々にしてあることを忘れないようにしましょう。
それでは、即戦力になる人材とそうでない人材はどう見分ければ良いのでしょうか?ならない人の特徴を押さえておきましょう。
<即戦力にならない人の特徴例>
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このように、即戦力化しない人材には共通した特徴が見られます。もちろん一概には言えませんので、上記のように「自社が求める人材像にそぐわない人」を言語化し、除外できると良いでしょう。
求職者へ面接でウソをついた経験があるかを問うネット調査に依ると、約半数(50/100人)がウソをついているという結果に。
転職経験が多い人や数十社受けているような転職者は、面接慣れしていることから優秀人材と見誤ってしまう可能性も高くなります。
このような見立て違いを防ぐために有効なのが、「構造化面接」です。事実を深掘りするのでウソがつけない、評価基準が統一できるといったメリットがあります。以下の記事で構造化面接の具体的な質問方法をテンプレートでご紹介していますので、ぜひご活用ください。
「即戦力としての活躍を期待していたのに、成果がなかなか上がらない」
こういったお悩みを抱える人事担当の方は少なくないでしょう。それでは一体、どのような原因・理由があるのでしょうか。パターン別に解決方法と合わせてみていきましょう。
前職のやり方を引きずってしまい、新しい職場でのやり方になじめない人もいます。これは転職者を受け入れている多くの企業が抱える課題・お悩みであるとも言えるでしょう。
特に、日本企業では中途採用者に対する研修を怠りがちな風土があります。まずは、「前職のやり方を棄却し、新しいやり方を受容することに時間がかかるのは当たり前」だと心得ましょう。そして、自社での仕事の進め方や自社では使う事のない前職での作業を教え、再構築する手助けをしましょう。
研修の種類も、仕事をしながら教える「OJT研修」や短期で集中的に知識を身に付けることができる「OFF JT研修」、ネット環境があれば学ぶことができる「Eラーニング研修」などさまざまなパターンがあります。新型コロナウィルスの流行によって、出社を控えている企業もあると思いますので、このような手法をミックスしながら研修を構築されると良いでしょう。
同業界・同職種からの転職者の場合、業界知識やツールの使い方といった業務遂行能力を持っているにも関わらず、仕事がテキパキとこなせない……ということがあります。こういった場合、現場でも「経験者だから」という前提を持ってしまい、ケアを怠りがちになる傾向にあります。
しつこいようですが、たとえ自社と親和性の高い業界・職種出身者であっても、会社ごとのやり方に慣れるには時間がかかります。たとえ経験者であっても、まずは気兼ねなく質問できる体制をきちんと整え、気長に見守るようにしましょう。それでもスピードが上がらないという場合は、作業効率を下げる障壁となっている箇所を探りにいくのも対応策の一つです。
中途採用の場合、募集ポジションに対する採用人数が1人だけといったケースも多いかと思います。「社会人なのだから自分自身でうまくやってくれるはず」と期待したいところですが、多くの人にとってすでに出来上がった組織に馴染むという作業は容易ではありません。
自然と行われている会社も少なくないようですが、配属部署の同僚はもちろん、人事担当者や直属の上司など、定期的かつ積極的に関わることを心掛けてください。歓迎ランチ会や飲み会なども効果的です。
気にかけていることを行動で伝えていきましょう。
学歴にも職務経歴にも一点の曇りもなく、面接でも「できます!」、「やったことがあります!」と自信満々だったのに、いざ仕事をさせると、何一つまともにできない。採用人材が本当に“能力が低い人材”だったという残念なパターンもあります。
まずは、求める人物像を現場と共有し、マッチする人材かどうかを面接で確認する体制を整えましょう。
ある程度ビジネス経験を積んできた転職者ですが、dodaの調査に依ると、内定承諾から入社までに不安を感じたことがある人は転職経験者の8割以上にも上ることが分かっています。不安要素が分かっていれば、受け入れる企業としても対策がとれるもの。ここでは、そんな転職者が感じる不安を軸に企業側が行うべき対策をご紹介します。
前述の調査に依ると、多くの転職者が感じる不安要素として挙がったのが「人間関係やカルチャーフィット」でした。新卒採用はインターンシップや説明会などで会社の雰囲気を少なからず知る手段がありますが、中途採用はそうはいきません。
対策として検討していただきたいのが、懇親会(ミートアップ)の開催です。「面談」などと称されると候補者も構えてしまいますので、募集ポジションのメンバーに協力を仰いで気楽な交流会を実施すると良いでしょう。
(パーソルキャリア株式会社「内定承諾後も不安だらけ? 転職者が入社前後に感じる不安と企業への要望を大調査」より)
中途採用の場合、在職中の人も少なくないため不要な連絡は控えているという採用人事の方は少なくないでしょう。しかし、転職者の多くが新しい環境に対して不安を抱えています。内定~入社までは事務処理の期間ではなく、転職者の不安を払拭する期間として手厚いフォローを心がけましょう。
例えば、現場社員の業務を知るために交流会を設け、ざっくばらんに候補者の疑問点や不安要素を潰すことができる時間を設けたり、身に付けておいて欲しい知識に関する資料を配布する等したりして、スムーズに現場に入れるようフォローアップすると良いでしょう。
入社前に感じる不安要素として次に挙がっていたのが「自分自身のスキルがフィットしているのかどうか客観的に分からなかった」という点です。たとえ同業種・同職種での転職でも、企業が変われば仕事の進め方やルールが変わることが多いため、なかなか能力を発揮できない転職者も少なくありません。
このような課題を解決するために対策していただきたいのが、入社後のフォローアップ制度強化です。入社後の懸念要素を聞き出す上司との「1ON1面談の実施」や「メンター制度」、「入社後の教育カリキュラムの説明」、「オフィスツアー」なども有効です。ぜひご検討ください。
中途採用した人材が能力を発揮できない理由は多々ありますが、「では仕方ない」ではすまされないのが人事の実情です。どうすれば活躍できるフィールドを用意できるのか、考えてみましょう。
本人へのヒアリングを行い、「なぜ思ったような成果を出せないのか、それについて心当たりはあるか」を聞き出しましょう。本人も原因がわからず、困っているケースもあります。そんな時には、周囲にも気づいたことはないか問い合わせてみましょう。人間関係が原因の場合には、配置換えも視野に入れたほうがいいかもしれません。
なお、人事担当者の方からしてみると、事前にこのようなミスマッチが起こらないよう、採用前に見極めたいものですよね。最近は「コンピテンシー面接」によって、応募者のウソを見抜き、本質的な素養を見極めることも可能です。入社後活躍のイメージができる、安定的な評価軸を持つことができるといったメリットもありますので、こちらも導入を検討されると良いでしょう。
現場の上司と相談し、期待値とのズレを共有しましょう。例えば、ミッションに対する結果が思わしくない、そもそも期待値(目標)が高すぎる、周囲との連携がうまくいっていない等、原因がどこにあるのかをしっかり把握しましょう。
もしかすると、会社側が望んでいることと現場でギャップが生じているかもしれません。本人の様子や周囲の反応などもあわせてヒアリングしましょう。
ビジョンを共有し、この先のステップや課題を洗いだしたら、目標設定を行いましょう。現状力を発揮できていないので、最初のハードルは気持ち低めのほうがいいでしょう。また、月ごとや週ごとなど、ゴール設定の期日は短めにしておいたほうが早めのフィードバックができます。本人の状況や課題次第で少しずつ期日を長くしていき、最終的に会社がイメージする成長曲線や成果とマッチさせます。
目標達成できなかった場合のペナルティ(部署異動や配置変換など)も視野に入れて共有しておくとよいでしょう。
ビジョンを共有し、この先のステップや課題を洗いだしたら、目標設定を行いましょう。現状力を発揮できていないので、最初のハードルは気持ち低めのほうがいいでしょう。また、月ごとや週ごとなど、ゴール設定の期日は短めにしておいたほうが早めのフィードバックができます。本人の状況や課題次第で少しずつ期日を長くしていき、最終的に会社がイメージする成長曲線や成果とマッチさせます。
目標達成できなかった場合のペナルティ(部署異動や配置変換など)も視野に入れて共有しておくとよいでしょう。
目標設定した後は、経過観察をしましょう。「即戦力として期待したのに、かえって手間がかかる」と感じるかもしれませんが、フィールドを整えてあげることで期待通りの活躍をしてくれるかもしれません。
なお、最近は実際に会ってリアルに双方の感情や想いを共有することが難しくなっていることと思います。SkypeやZOOMといったオンライン面接と電話面談との違いについて気になる方もいると思いますので、状況に合わせて使い分けましょう。
今回の記事では……
・経験者≒即戦力ではない
・ツール導入も視野に入れ、効率的かつ定量・定性的に評価する体制を整える
・研修やフォロー制度を用意することを忘れない
・ミートアップやカジュアルな食事会などの開催も検討する
上記内容をお伝えしてきました。
「経験者だから……」と放置することなく、せっかく転職して自社に入社してくれた人材が長く働ける環境を整えていただければと思います。
【完全保存版】ストレス耐性、地頭、コミュニケーション力……
こういった多くの中途採用を行う企業が人材に対して求める能力・素質を見極める上で 使える本気の質問77個をまとめました。 採用ミスマッチ防止や即戦力人材の採用にお役立てください。 |
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