募集をしても、全く人が集まらない……採用活動のスタート段階から頭を抱えている人事担当者もいるのではないでしょうか。人が集まらないのは、母集団形成の方法が適切でないからかもしれません。
そこで今回は、母集団形成を成功させる施策や、母集団形成の代表的な9種類の方法とそのメリット・デメリットを紹介します。
人材業界における母集団形成とは、採用する候補となる人を集めることを指します。「母集団」と聞くと、大人数集めるといったイメージを持たれる方もいるでしょう。しかし、こと人材業界においては、自社が求める人材像に当てはまり、かつ自社に興味を持ってくれる候補者を、適切な人数集めることといった意味で使用されています。
そもそも「母集団」という言葉は統計学で使用されてきた言葉です。本来は「私たちが知りたい、しかしその規模ゆえに現実には知ることのできない大元の集団」を指しており、「候補者群形成」といった言葉の方が正しいのではという指摘もあります。
しかしながら、この記事ではこういった指摘を一旦置かせていただき、一般的に使われる「母集団形成」という言葉を使って、採用成功の秘訣について解説させていただきます。あらかじめご了承ください。
母集団形成を成功させるための施策を3つまとめました。一つずつ紹介していきます。
前述した通り、母集団形成においては、自社が求める人材像に当てはまる候補者を集めることが重要となります。それには、まず「自社が求める人材像」、つまり採用ターゲットを明確にする必要があります。
この採用ターゲットの明確化においては、募集ポジションで必要なスキルや能力といった要素はもちろん、年齢、性別、学歴、志向性など「え!そんなことまで?」と思われる内容も、詳細に明文化しておくと良いでしょう。また、経営側と現場の求める人物像にずれがないよう、しっかりすり合わせておくことも忘れず行っておきましょう。
最近はマーケティングの考え方を取り入れた採用ターゲティングの手法もありますので、以下の記事をご参照ください。
採用ターゲットを明確にしたら、ターゲットから自社に興味を持ってもらうための自社の「うまみ」を用意しなければいけません。うまみは「給与」かもしれませんし、「やりがい」かもしれません。あるいは「ワークライフバランス」、「居心地のいい社風」、「充実した福利厚生」などかもしれません。
他社と比べて採用ターゲットが魅力だと感じてくれそうな要素を積極的にアピールしましょう。なお、うまみどころかそもそも仕事内容に魅力がない……という場合は、下記の記事を参考に、アピールの仕方を工夫するといいでしょう。
ターゲットに響くようなメリットが用意できたら、効率的かつできるだけ多くのターゲットにそのメリットを届けなければなりません。
最近はインターネットの普及によって、「Wantedly(ウォンテッドリー)」や「LinkedIn(リンクトイン)」といったソーシャルリクルーティングや、「Indeed(インディード)」などのアグリゲーション型求人検索エンジンの登場により、これまでの人材獲得方法ではなかなか人が集まらない……といったことも増えてきています。
このような状況下で自社に適切なものを選ぶためには、それぞれのメリット・デメリットを理解し、適切なものを選ぶことが大切です。但し、最新のものや流行している採用手法が決して自社に最適な手法とは限りません。ぜひこの部分をしっかりと心に留めて、最適な手法を選択していただきたいと思います。この方法に関する詳細は、後述いたします。
現状、母集団形成の手法として、以下の9種類の方法が挙げられます。それぞれのメリットとデメリットを紹介しますので、自社に合ったものを選択する際の参考にしてください。
求人サイトに自社の概要や募集要項などを掲載して母集団形成を目指す、古くからよく利用されている方法です。
なお、求人情報専門の検索エンジンIndeedは、アカウント開設や掲載する原稿の作成、求職者との日程調整などを自社で行う場合は、採用まで進んだ場合でも費用は発生しません。下記の記事もご参照ください。
自社の希望の人材像を人材紹介会社に伝え、登録者の中から人材を紹介してもらう方法。古くから利用されるメジャーな採用手法です。
人材紹介サービスの特徴についてさらに詳しく知りたい場合は、下記の記事もご参照ください。
関連記事:【人事担当者永久保存版】「人材紹介会社」の種類・メリット&デメリット・活用法 |
ダイレクトリクルーティングにおける採用手法の一つで、SNSを介して採用を行う方法。代表的なものとして、「Instagram(インスタグラム)」や「Facebook(フェイスブック)」、「Twitter(ツイッター)」などが挙げられます。
最近は、「Wantedly(ウォンテッドリー)」 を代表とするSNS拡散型求人RPサイトと、「LinkedIn(リンクトイン)」を代表とするビジネスSNSと呼ばれるビジネスモデルが登場し、さらに裾野が広がっています。
引用文献:「採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ」|著者:黒田正行、佐藤雄佑 |
旧来のリクルーティングビジネスは、成果報酬型や前課金制などの高額なサービスが主流でした。
そんななか、ソーシャルリクルーティングなどと同じく低価格帯に参入してきたのが、「Indeed(インディード)」を代表とする「アグリゲーション型求人検索エンジン」です。インターネット上の求人情報をアグリゲーション(集約)して、このサイト経由で応募を集めます。
関連記事:Indeedの「簡単応募」で採用決定を出すには? |
社員から、即戦力となってくれそうな友人や知人を紹介してもらう方法。
大手企業と競合することがないので、知名度の低い企業やベンチャー企業でも、優秀人材を獲得することができる可能性があります。
関連記事:「リファラル採用」とは?スムーズに進める方法やメリット、今後の予測 |
自社のホームページ上などで採用サイトを立ち上げて採用活動を行う方法。求人サイトなどとは異なり、文字量や掲載内容に制約がないため、希望するコンテンツが制作できます。
オンライン上で会社説明会を開催して採用活動を行う方法。新型コロナウィルス(COVID-19)流行の影響もあり、WEB説明会の導入を行う企業が続々と増えています。
関連記事:オンライン面接って実際どうなの?導入のメリットとは |
どちらも転職を希望している人を対象に開催される企業の合同説明会に出展して採用活動を行う方法。
マッチングイベントの方が求職者も条件に合致している方が対象として参加しているため、小規模になります。現在コロナ下において次々と開催中止になっているため、今後はオンライン化や縮小傾向が予想されます。
あまりメジャーではありませんが、インターネット動画配信サービスやSNSの動画機能などを利用してCMを流して行う採用方法。採用ブランディングの一環として実施されます。
母集団形成を成功させるには、まずは希望する人材層を明確にし、そのターゲットとなり得る人にとっての魅力を用意することから始めなければいけません。
そして、自社の特性やターゲットを考慮して、さまざまな母集団形成の方法のなかから最適なものを選ぶ必要があります。その母集団形成の方法も年々変化しています。
自社にとってより効率の良い方法はないか、こまめにチェックし続けていくことも大切でしょう。
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