母集団形成 - 中途採用サクセス

母集団形成9種|ソーシャルリクルーティング等、最新手法の活用法

作成者: 中途採用サクセス編集部|2020年09月02日 22:30:00

募集をしても、全く人が集まらない……採用活動のスタート段階から頭を抱えている人事担当者もいるのではないでしょうか。人が集まらないのは、母集団形成の方法が適切でないからかもしれません。

そこで今回は、母集団形成を成功させる施策や、母集団形成の代表的な9種類の方法とそのメリット・デメリットを紹介します。

目次

そもそも母集団形成とは?

人材業界における母集団形成とは、採用する候補となる人を集めることを指します。「母集団」と聞くと、大人数集めるといったイメージを持たれる方もいるでしょう。しかし、こと人材業界においては、自社が求める人材像に当てはまり、かつ自社に興味を持ってくれる候補者を、適切な人数集めることといった意味で使用されています。

そもそも「母集団」という言葉は統計学で使用されてきた言葉です。本来は「私たちが知りたい、しかしその規模ゆえに現実には知ることのできない大元の集団」を指しており、「候補者群形成」といった言葉の方が正しいのではという指摘もあります。

引用資料:「母集団」という言葉について|服部ゼミナール

しかしながら、この記事ではこういった指摘を一旦置かせていただき、一般的に使われる「母集団形成」という言葉を使って、採用成功の秘訣について解説させていただきます。あらかじめご了承ください。

中途採用の母集団形成を成功させる3つの施策

母集団形成を成功させるための施策を3つまとめました。一つずつ紹介していきます。

1.採用ターゲットを明確にする

前述した通り、母集団形成においては、自社が求める人材像に当てはまる候補者を集めることが重要となります。それには、まず「自社が求める人材像」、つまり採用ターゲットを明確にする必要があります。

この採用ターゲットの明確化においては、募集ポジションで必要なスキルや能力といった要素はもちろん、年齢、性別、学歴、志向性など「え!そんなことまで?」と思われる内容も、詳細に明文化しておくと良いでしょう。また、経営側と現場の求める人物像にずれがないよう、しっかりすり合わせておくことも忘れず行っておきましょう。

最近はマーケティングの考え方を取り入れた採用ターゲティングの手法もありますので、以下の記事をご参照ください。

関連記事:採用ブランディングとは?中小企業がやるべき理由と3つの成功事例

関連記事【最新版】中途採用の流れ 徹底解説(採用計画~求人掲載~面接)

2.ターゲットに適した「うまみ」を用意する

採用ターゲットを明確にしたら、ターゲットから自社に興味を持ってもらうための自社の「うまみ」を用意しなければいけません。うまみは「給与」かもしれませんし、「やりがい」かもしれません。あるいは「ワークライフバランス」、「居心地のいい社風」、「充実した福利厚生」などかもしれません。

他社と比べて採用ターゲットが魅力だと感じてくれそうな要素を積極的にアピールしましょう。なお、うまみどころかそもそも仕事内容に魅力がない……という場合は、下記の記事を参考に、アピールの仕方を工夫するといいでしょう。

関連記事:離職防止のため人事ができる3つの対応―キーワードは「やりがい」!

関連記事応募が来ないのは「仕事内容が魅力的じゃない」せい…?マイナスをプラスに変換する方法

3.ターゲットに効率よく届く母集団形成の方法を選択する

ターゲットに響くようなメリットが用意できたら、効率的かつできるだけ多くのターゲットにそのメリットを届けなければなりません。

最近はインターネットの普及によって、「Wantedly(ウォンテッドリー)」や「LinkedIn(リンクトイン)」といったソーシャルリクルーティングや、「Indeed(インディード)」などのアグリゲーション型求人検索エンジンの登場により、これまでの人材獲得方法ではなかなか人が集まらない……といったことも増えてきています。

このような状況下で自社に適切なものを選ぶためには、それぞれのメリット・デメリットを理解し、適切なものを選ぶことが大切です。但し、最新のものや流行している採用手法が決して自社に最適な手法とは限りません。ぜひこの部分をしっかりと心に留めて、最適な手法を選択していただきたいと思います。この方法に関する詳細は、後述いたします。

最新版!母集団形成9種の方法とメリットとデメリット、活用方法

現状、母集団形成の手法として、以下の9種類の方法が挙げられます。それぞれのメリットとデメリットを紹介しますので、自社に合ったものを選択する際の参考にしてください。

求人サイト

求人サイトに自社の概要や募集要項などを掲載して母集団形成を目指す、古くからよく利用されている方法です。

メリット
  • 幅広い地域の求職者からの応募が期待できる
  • 求職者側から見てもスタンダードな転職活動の方法であるため、多くの求職者に見てもらえる可能性がある
デメリット
  • 検索条件の絞り込みでマッチングしなければ、求職者に情報を見てもらえない
  • 採用に至らなくても費用が発生する

なお、求人情報専門の検索エンジンIndeedは、アカウント開設や掲載する原稿の作成、求職者との日程調整などを自社で行う場合は、採用まで進んだ場合でも費用は発生しません。下記の記事もご参照ください。

活用方法
  • サイト登録者へのスカウトメール送信機能によるダイレクトリクルーティング
  • 求職者にとって魅力的なワーディング、定期的なブラッシュアップで効果を高める
  • 応募が入った際のスピーディーな対応

人材紹介サービス

自社の希望の人材像を人材紹介会社に伝え、登録者の中から人材を紹介してもらう方法。古くから利用されるメジャーな採用手法です。

メリット
  • あらかじめ自社の希望する条件と登録者の希望する条件がマッチングした人を候補者として紹介してもえるため、ミスマッチが少ない
  • 採用が決まるまでは費用が発生しない
  • 非公開での求人募集が可能
デメリット
  • 採用に至った場合、成功報酬として内定者の想定年収の30%や35%など、高めの手数料が発生する
  • 登録者のなかからの紹介となるため、希望の人材がいない可能性がある
活用方法
  • 自社が欲しい人材を紹介会社へしっかり伝え、連携を取る
  • 推薦があった時はスピーディーに対応を行う

人材紹介サービスの特徴についてさらに詳しく知りたい場合は、下記の記事もご参照ください。

関連記事:【人事担当者永久保存版】「人材紹介会社」の種類・メリット&デメリット・活用法

ソーシャルリクルーティング/SNSの活用

ダイレクトリクルーティングにおける採用手法の一つで、SNSを介して採用を行う方法。代表的なものとして、「Instagram(インスタグラム)」や「Facebook(フェイスブック)」、「Twitter(ツイッター)」などが挙げられます。

最近は、「Wantedly(ウォンテッドリー)」 を代表とするSNS拡散型求人RPサイトと、「LinkedIn(リンクトイン)」を代表とするビジネスSNSと呼ばれるビジネスモデルが登場し、さらに裾野が広がっています。

メリット
  • 多くの転職潜在層にリーチすることができる
  • コストダウンが狙える、従来の人材サービスと比較しても費用対効果が高い
デメリット
  • 日本においてビジネスSNSがメジャーではないため、大手企業の人材が少ない
  • 外資系、ベンチャー、IT、人材系などある程度リテラシーのある人しか存在しない
  • 更新性高く情報を発信し続ける必要がある
活用方法
  • 求職者との相互コミュニケーションで企業へのファンを増やす
  • 定期的に情報更新を行う
  • 情報の取り扱いには注意し、社員単独の判断で行わない
引用文献:「採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ」|著者:黒田正行、佐藤雄佑

アグリゲーション型求人検索エンジン

旧来のリクルーティングビジネスは、成果報酬型や前課金制などの高額なサービスが主流でした。

そんななか、ソーシャルリクルーティングなどと同じく低価格帯に参入してきたのが、「Indeed(インディード)」を代表とする「アグリゲーション型求人検索エンジン」です。インターネット上の求人情報をアグリゲーション(集約)して、このサイト経由で応募を集めます。

メリット
  • 圧倒的な求人数を誇り、利用者数が多い
  • 世界トップレベルのSEO技術により、求人検索時はほぼ上位表示される
  • 予算設定が自由にできる(クリック単価制)
  • サイトを経由して自社採用ページへ飛ばすことが可能
デメリット
  • Indeed独自のルールで原稿を表記する必要性があり、手間がかかる
  • 魅力度の低い求人はクリックされない
活用方法
  • 定期的にブラッシュアップを行う
  • サイト独自のルールに従って求人広告を作成する
  • 求人原稿数を増やす
  • 効果を見ながら単価設定を行う
関連記事:Indeedの「簡単応募」で採用決定を出すには?

リファラル採用

社員から、即戦力となってくれそうな友人や知人を紹介してもらう方法。

大手企業と競合することがないので、知名度の低い企業やベンチャー企業でも、優秀人材を獲得することができる可能性があります。

メリット
  • あらかじめ企業側は候補者の人柄を知ることができ、候補者は企業の雰囲気をイメージすることができるため、ミスマッチを回避しやすい
  • コストが抑えられる
  • 大手と競合することなく優秀人材の獲得が狙える
デメリット
  • 社員の人脈によっては候補者の数が限られてしまう
  • 結果によっては、紹介してくれた社員の自社への信頼感やモチベーションに影響する可能性がある
活用方法
  • 自社の社員への周知、協力依頼を行う
  • 人材要件を明確にし、社員と経営層で認識の違いがないようにする
  • スカウト活動における食事会の補助や報奨金制度を検討する
関連記事:「リファラル採用」とは?スムーズに進める方法やメリット、今後の予測

自社の採用サイト

自社のホームページ上などで採用サイトを立ち上げて採用活動を行う方法。求人サイトなどとは異なり、文字量や掲載内容に制約がないため、希望するコンテンツが制作できます。

メリット
  • 採用コストを抑えることができる
  • 求人サイトのように掲載できる情報量に制限がないため、より多くの情報を載せられる
  • もともと自社に興味を持っている求職者にアプローチできる可能性が高い
デメリット
  • 制作工数がかかる(人的、費用、時間面でのコスト)
  • 知名度が高い企業でない限り、サイト単独で十分な数の候補者を集めることは困難
活用方法
  • 他の採用手法とも組み合わせて活用することを前提とする
  • コンテンツ自体の魅力度を高める
  • 求職者がスムーズにアクセスできる導線設計にする

Web説明会

オンライン上で会社説明会を開催して採用活動を行う方法。新型コロナウィルス(COVID-19)流行の影響もあり、WEB説明会の導入を行う企業が続々と増えています。

メリット
  • 従来の説明会では必要だった会場の費用や会場までの移動の費用などを削減できる
  • 会場までの移動、準備・後片付けの時間や手間を節約できる
  • 遠方に居住している求職者にも参加してもらいやすい
デメリット
  • 内容に興味を持ってもらえなければ、途中で退席される可能性がある
  • 求職者の反応が見えにくい
  • 人柄やその人が持つ雰囲気などを捉えづらい
  • 機材を取りそろえる必要があり初期投資費がかかる
  • 見せ方の工夫や撮影テクニックが必要
活用方法
  • 録画配信型は一方通行になりがちなので、ライブ配信など双方向コミュニケーションも検討する
  • 臨場感を持たせるようコンテンツ内容の工夫をする(情報を盛り込みすぎない等)
関連記事:オンライン面接って実際どうなの?導入のメリットとは

合同説明会(転職フェア/マッチングイベント)

どちらも転職を希望している人を対象に開催される企業の合同説明会に出展して採用活動を行う方法。

マッチングイベントの方が求職者も条件に合致している方が対象として参加しているため、小規模になります。現在コロナ下において次々と開催中止になっているため、今後はオンライン化や縮小傾向が予想されます。

メリット
  • 求職者と直接会ってコミュニケーションが図れる
  • 知名度の低い企業で他の方法ではアピールするチャンスすら得られなくても、声をかけて求職者に直接アピールすることが可能
デメリット
  • 参加企業が多い説明会では知名度の低い企業は埋もれやすい
  • 採用に結び付かなくても通常数十万円から数百万円単位の出展費用がかかる(マッチングイベントは比較的リーズナブル)
活用方法
  • オンライン化を検討する
  • 小規模なものは企業判断とされているため、状況をみて開催する
  • 企業理解、事業理解を説明会なしに行えるよう、自社ホームページの充実を検討する

Web動画CM

あまりメジャーではありませんが、インターネット動画配信サービスやSNSの動画機能などを利用してCMを流して行う採用方法。採用ブランディングの一環として実施されます。

メリット
  • テレビに比べてリーズナブルなコストでCMを流せる
  • 多くの人の目につきやすいため、転職潜在層にもアプローチが可能
  • 情報の伝達速度が速い
  • 若年層と言われる20~30代の就職・転職にアクティブな層へアプローチできる
デメリット
  • テレビCMほどではないがコストがかかる
活用方法
  • 採用課題や求める人材像を明確化し、ターゲット設定を行う
  • 地域や年齢、興味関心に至るまで、セグメントを絞って配信する
  • 何をメッセージとして伝えたいのかを明確化する

まとめ

母集団形成を成功させるには、まずは希望する人材層を明確にし、そのターゲットとなり得る人にとっての魅力を用意することから始めなければいけません。

そして、自社の特性やターゲットを考慮して、さまざまな母集団形成の方法のなかから最適なものを選ぶ必要があります。その母集団形成の方法も年々変化しています。

自社にとってより効率の良い方法はないか、こまめにチェックし続けていくことも大切でしょう。

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