【人事対談企画 PART①】大きな声では言えない人事のお悩み事と解決方法

母集団形成

IT企業で活躍する人事担当者3名にご協力いただき、採用業務において抱える課題やお悩み事について対談していただきました。今回はPART①として、中途採用の採用手法や採用まわりのストレス、採用単価を抑えるために取り組んでいる事について、ご紹介いたします。

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<取材対象者プロフィール>
・金谷仁美さん:IT業界の企業において人事労務に9年間従事。採用まわりはもちろん、給与計算や教育なども担当するマルチプレイヤー
・石田由貴さん:デジタルマーケティング支援を行う株式会社メンバーズ(メンバーズ ユーエックスワンカンパニー)で人事を務める。人事1年目にして、採用業務や組織開発など幅広い業務を担当
・Sさん:Webメディアや業務アプリ開発を手掛けるITベンチャーで人事を務めるSさん、人事1年目。採用全般から労務、広報に至るまで担当している

Q:御社の中途採用手法を教えてください。

金谷さん:ビズリーチやGreen等の転職サービスを活用したダイレクトリクルーティングと、人材紹介エージェントを利用しています。人材紹介エージェントは正式契約しているのが10社、その他を含めると20社以上ありますかね。

石田さん:当社では、DODA(デューダ)、エン転職、type(タイプ)、Indeed(インディード)、Wantedly(ウォンテッドリー)、engage(エンゲージ)など、幅広い媒体を活用しています。

Sさん:金谷さん同様、ビズリーチ、Greenを活用しています。また、最近は広報という観点で、LinkedIn(リンクトイン)を利用し始めました。

Q:皆さん、メディアミックスで採用媒体を駆使されていますね。理由は何でしょう?

金谷さん:元上司がエージェントマネジメントの得意な方だったので、引き継ぎのタイミングでこの契約社数でしたね。

石田さん:私も同じで、媒体は引き継いだ時から活用していたものですね。Wantedlyは自分が担当になった時から注力し始めて、質の高い人材からの応募が来ている状況です。媒体は1カ月何十万円とコストがかかりますが、Wantedlyは採用単価を抑えられるので良いですよ。

但し、待っていたら応募が来るということはありません。「ストーリー」という機能を活用し、社員インタビューや社内イベントについて最低でも月1回は記事をアップしています。社風を伝えることや認知拡大が目的ですが、工数はかかります。

Sさん:当社はとにかく知名度が課題なのですが、広報がいないので人事である私が広報活動も兼ねている状況です。知名度がないからか人材紹介会社からの連絡も遅く、プライオリティは正直低いと感じることも少なくありません。ですので、さまざまな媒体を駆使して知名度を高めるよう頑張っているところです。

Q:なるほど。採用媒体や採用ツールが多くなると、やり取りが煩雑になりませんか?

石田さん:当社では、採用管理システムを活用しています。候補者情報の登録や日程調整を主導して下さる担当者の方がいらっしゃるので、自分はウォッチするだけなので、選考に集中できています。

金谷さん:当社も同じです。求人のやり取りは採用管理システムを活用しており、日程調整も専任でやり取りを行ってくれる外部企業へ委託しています。なので、運用まわりはそこまで大変ではないですね。

Sさん:うちはまだそのフェーズまでいっていないので、私自身で日程調整なども行っている状況です。さまざまな業務を併行しなければならないので、若干大変だと感じることはありますね……。

Q:採用まわりのストレスは何ですか?

石田さん:そもそもの応募数が少ない、ターゲットからの応募が少ない、ということでしょうか。応募がないことには選考も進められないので、なんとか母集団を形成しなければ、という課題は常にありますね。

金谷さん:中途採用ならではと思うのですが、一番はやはり日程調整でしょうか。特に、企画、営業系の職種と、マネージャー以上は相互に多忙なので面接を組むのに骨が折れます。ですので、全て一元管理できるのが理想形ですね。

Sさん:SNSや採用ホームページの更新、外部取材の対応、紹介会社との定例会などなど、やることは膨大にあります。私自身は忙しくしていることが楽しいのですが、ストレスという観点で言うと先ほど言った通り人材紹介エージェントの対応が遅い点ですね。紹介までに3、4日経て上がってくることもあったりするので、ここは自社としての課題と捉えています。

Q:他にもありますか?

金谷さん:そうですね。やはり、母集団形成でしょうか。会社自体もベンチャーで流動的なので、週次で要件が変わるといったこともあります。求人掲載後に要件が変わることもあるので、正直大変です。

石田さん面接時にその人のスキルやパーソナリティを引き出す、という部分ですかね。ストレスというわけではないですが、やはり面接時は緊張されているので、本来の自分を出し切れない人も多いと思います。ですので、いかに限られた時間の中でその人の本質を出してあげるか、という事は意識しています。

Sさん:うちも同じですね。本来の良さを引き出すのは面接官である採用担当者の仕事だと思いますので、アイスブレーキングを採り入れながら、できるだけリラックスした雰囲気を心がけています。ストレスではありませんが、気を遣う部分ですよね。

Q:要件が流動的なのは大変だと思いますが、どのように対応されているのですか?

金谷さん:採用の優先度が変わるだけであれば、人材紹介会社に共有します。要件自体が変わってしまう場合は、どうしてその要件にするのかを確認した上で、出稿媒体の変更なども含めて検討を行うようにしています。基本的には、発生ベースで随時対応するという感じです。

Q:採用業務は膨大な業務量だと思いますが、皆さん効率性はどのように担保されていますか?

金谷さん:当社は従業員数が多くなく、新卒採用も行っていません。そのため、全体的にそんなに工数はかかっていないと思います。

中途入社者向けにジェネラルな教育は実施しているのですが、効率化という観点だと、セッティングや研修内容だけは人事で行い、内容に応じて担当者をアサインするようにしています。経理であれば経理担当者を、情報セキュリティであればISMS担当者を……といった具合にそれぞれのスペシャリストに協力してもらうことで、専門的な内容をインプットしてもらいつつ人事の工数削減にも繋げています。あとは、うまく人材紹介エージェントを活用するようにしていますかね。

石田さん:求人広告の代理店を挟んでいるので、基本は代理店とのやり取りなんです。その他は自分で運用しているので、効率性という点での問題はないかもしれないですね。

Sさん:うちも同じくですね。他者を挟んだ方が効率化が失われることは往々にしてあると思っています。自分で手を動かしているので、割と効率性は担保できているかもしれません。

Q:人材紹介エージェントを上手く活用するテクニックがあれば、教えて下さい。

金谷さん:例えば求人票の作成なども、エージェントに自社の要件を伝えて求人票の叩きを作ってもらって、修正して他社にも共有する……とかです。テクニックとまでは言いませんが、プロに任せるところは任せてしまう方が効率的だし質も担保できますので。

Sさん:確かにそうですね。

石田さん:当社では人材紹介を活用していませんが、勉強になりますね。

Q:人材紹介会社の腕にもかかってきますね。どのようにエージェントは選んでいますか?

金谷さん:一番「相性の良い」エージェントに依頼をしています。当社では、スキルマッチはもちろん、カルチャーマッチも重視しているので、その辺りを理解して下さっている会社がベストだと考えています。

Sさん:当社では人材事業も手掛けているので、自社で培った知見を活用させていただいています。
人材紹介エージェントに求めるところは、スピード感ある対応、自社が求める人材像に対する理解、候補者フォローを軸に選社していますね。

石田さん:当社では人材紹介エージェントの利用はありません。

Q:なるほど。その他にエージェントの選社軸はありますか?

金谷さん:ビズリーチさんは「求職者によく検索されているキーワード」といった資料を提供してくれる等、自社の採用活動に貢献してくれるサービスを提供されているなと思います。本質的に採用活動のサポートを行ってくれる会社さんは、やはり選ぼうと思いますよね。

Sさん:特にはないですが、やはり対応のスピード感ですね。あとは、自社が伝えた事を何度も聞いてくるようなエージェントさんは基本的に選ばないようにしているかも…

Q:優秀人材の獲得に苦戦して採用単価が上がってしまう企業は少なくないと思われますが、採用単価を抑えるために取り組んでいることはありますか?

金谷さん:特に取り組んではいませんが、強いて言えばリファラル採用でしょうか。会社として、会食費のサポートや、報奨金制度も用意して取り組んでいます。

石田さん:無料で利用できる採用媒体の活用、Wantedlyの活性化、リファラル採用ですね。

Sさん:当社もリファラル採用にはかなり力を入れています。報奨金制度もかなり大金をかけてやっていると思います。無料の媒体は手間がかかるので着手できていませんが、今後取り組みたいとは考えています。

Q:リファラル採用は社員の理解や協力が肝心ですが、何かやっていらっしゃる事はありますか?

石田さんちょうどいま、リファラル経由で1名採用ができそうなんです。
とはいえ、紹介キャンペーンやリファラル採用に関するアンケート、また、周知活動は行っているものの、紹介が少ないことが課題です。リファラル採用は「自社に誇りを持っている」とか、「自社のことを好き」だからこそ紹介して頂けるという考えがあるので社内の制度やコミュニケーションもより活発にしていく必要があると感じています。

金谷さん:全社会などで、社長をはじめ、人事、マネージャー陣からも警鐘を鳴らすようにしています。面接でもお伝えしているので、中途採用者にはリファラル採用の重要性は浸透していると思います。

Sさん:当社でもリファラル採用について人事からメールで全社員に告知したり、報奨金制度を整備したり……と制度を整えています。ただ、制度はあるものの実際に活用されているかは微妙なところです。石田さんもおっしゃられていましたが、リファラル採用は大前提に自社への愛社精神がないと成り立たたないものだと思いますので、今後もやるべきことは沢山ある状況です。

 

色々と教えていただきありがとうございます!
採用担当者の方が感じる課題や対策方法、今後取り組みたい内容についてよく分かりました。

来週はPART②として、「求人サービスや人材紹介に対する不満」「採用成功のためにやっている事」等についての対談記事をご紹介いたします。

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※会話の中で登場した「リファラル採用」や「Wantedly」については関連記事をご参照下さい。

関連記事:リファラル採用とは?促進化させる方法、押さえるべき3つのこと

関連記事:ダイレクトリクルーティングとは?中途採用向けツール11社を紹介

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