「試用期間」を分かりやすく解説!注意点や目的も解説

母集団形成

「試用期間あり」と記載された求人をよく見かけます。一般的には「お試し期間」という捉え方をされることが多いのではないでしょうか。

本採用に至らない場合や期間中の労働条件などトラブルのもとになりがちな雇用慣行であることから、使用者側・労働者側ともに正しく理解しておくことが必要です。この記事では試用期間を運用するために必要な知識を解説します。

目次

試用期間とは本採用にするか判断する期間
試用期間を設定する効果は?
試用期間として設定する日数は?
試用期間を取り入れる際の注意点
まとめ

試用期間とは本採用にするか判断する期間

Happy young couple meeting with a broker in her office leaning over the desk to shake hands, view from behind the female agent

試用期間は使用者が労働者を雇い入れる際、自社の職務を遂行できる能力や資質があるかどうかの適性を判断するための期間とされています。

雇い入れようとする労働者の能力や資質以外にも、採用のための選考手続きだけではわからない、人物や勤務態度、職場への適応性などを実際の業務のなかで見極めることを目的としています。

労働者を雇い入れる際には使用者と労働者の間で雇用契約を交わしますが、一旦労働契約が行われると、解雇するためには制限が課せられます(解雇権濫用法理)。

試用期間を設ける場合であっても通常の雇用契約と変わりありません。しかし、採用時点で使用者側が労働者の適性を判断することが難しく、採用後に適性がないと判断された場合に、労働者を解雇できなくなるリスクが使用者側に存在します。

そのために、本採用が決定するまでの期間については、解雇が認められる条件を広いものとしているというのが試用期間の法律的な考え方です。

ほとんどの企業が試用期間を設定している

独立行政法人労働政策研究・研修機構が2012年に行った調査「従業員の採用と退職に関する実態調査」では、86.9%の企業が試用期間を設けているとしています。

図表2-3-1:採用された従業員への~

業種別では、いずれも8割を超える企業が試用期間を設けているとしています。

従業員規模別では従業員規模が大きいほど試用期間を設定している割合が高く、300人以上の企業では9割を超えています

正社員以外にパートアルバイト・契約社員にも設定できる

パートやアルバイト、契約社員などにも試用期間を設けることについて無期雇用の正社員の場合と変わるところはありません。

しかし、最初にパートやアルバイト、契約社員として採用し、能力や適性が認められれば正社員に登用する、または、有期雇用や紹介予定派遣といった期限の定めのある雇用契約を試用期間と同様な目的で設定するといったケースがあります。

このような場合は本採用の約束の有無や可能性、期間中の雇用条件の違いなどについて、雇入れ時点で労働者に対して十分な説明が行う必要があります。

研修期間とは業務遂行に必要な事を学ぶ期間

研修期間も試用期間と同じく入職時に設定されることが多いものです。研修期間は業務遂行のための教育・訓練を目的としたものであり、本採用や解雇の判断のための行われるものではない点で異なるものです。

しかし、新卒一括採用に試用期間を設ける場合などのように、試用期間が入職のための最低限の知識や技能を身につける研修期間の意味合いを持つ場合や、配属や職種を決定するための期間として活用されている実態があります。

試用期間を設定する効果は?

前述のとおり、試用期間を設ける目的は、使用者が適性のない労働者を抱え込んでしまうことを避けることです。これは使用者にとってだけでなく、労働者側にとってもミスマッチを回避するという点でメリットがあります。

スキルや適性の見極めができる

試用期間は雇い入れる労働者が業務遂行可能な能力や適性があるかどうかを判断すると同時に、それを本採用後の配属を行うための判断材料として活かすことにも繋がります。

試用期間中だと本採用と比べて解雇がしやすい?

解雇は使用者側から雇用契約を解約することにあたり、「合理的な理由」と「社会通念上の相当性」がなければ解雇は無効とされます。

試用期間も雇用契約関係は成立しているため、労働者に適性がないと判断した場合に使用者が本採用しないことは解雇にあたり、使用者が定めた試用期間は労働者を解雇(雇用契約を解約)する権利を持った状態にされているというのが法律の上での考え方です。

試用期間を経て使用者が労働者を解雇する権利にも「合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が求められるわけですが、通常の解雇と比べて試用期間の解雇はその理由が広く認められやすいという点が解雇する権利にあたる部分です。

認められる本採用しない(解雇の)理由としては以下のようなものがあります。

● 採用時に予見できなかった能力不足や健康問題、経歴詐称など
● 職務遂行能力の欠如
● 勤務態度不良(問題行動の繰り返し、注意・指導に対して改善の余地がない、それによる業務への影響)
● 職務適性不良

上記に対して、能力や技量など習得することが必要なものについては、指導や訓練の妥当性が問われ、その上で能力や適性に著しい不足が見られた場合に解雇が認められます。

業務上のミスや勤務態度などに対し、適切な指導・注意が行われたか、それに対して改善の見込みがあるかどうかといった点が問題となります。

手続きの面では、使用者が解雇する場合、使用開始後14日以内であれば、通常の解雇に必要とされる解雇予告が不要です。

14日を超えた場合には通常の解雇と同じく、解雇する労働者に対して少なくとも30日前に解雇予告を行う必要があり、それをしない場合は解雇までの日数分の解雇予告手当を支払う必要があります。

試用期間として設定する日数は?

試用期間の長さについて法律で制限されるものはなく、使用者が自由に設定できるものとされています。

図表2-3-6と7

独立行政法人労働政策研究・研修機構「従業員の採用と退職に関する実態調査」によると、正規従業員の試用期間について、新規学卒者の場合は「3ヶ月程度」66.1%、「6ヶ月程度」18.3%、「2ヶ月程度」8.3%であり、中途採用の場合は「3ヶ月程度」65.7%、「6ヶ月程度」16.5%となっています。

新規学卒者と中途採用者の試用期間の長さに差は見られず、どちらも「3ヶ月程度」が全体の6割、「6ヶ月程度」が2割弱と考えることができます。

試用期間を取り入れる際の注意点

試用期間を設ける場合は雇用契約を結ぶ際に、その内容を書面で労働者に提示することが必要であり、就業規則のなかの記載事項として定められています。

就業規則には、試用期間の長さ、労働条件、試用期間を延長する場合の条件と期間、本採用に至らない場合には解雇する旨等を記載します。

試用期間中の給与は最低賃金を下回らない事

試用期間中の給与は労働条件の一つであり、雇用契約書・就業規則に明記すれば、本採用後の給与と異なることについて問題はありません。都道府県別最低賃金を下回る場合は原則として違法となりますが、下回ることができる特例が定められています。

特例が認められるのは、本採用後の賃金が最低賃金と同水準であること、本採用後の賃金より著しく低く設定する慣行があることが条件であり、最大6ヶ月間、減額率の最大が20%までと決められています。減額する場合には都道府県労働局長への申請と許可が必要です。

解雇や期間延長には労働者との合意が必要?

使用者が試用期間を経て合理的な理由を持って本採用しない(解雇する)場合には、試用期間満了時に解雇することができます。雇入れ時に試用期間の内容を含めて労働者と合意の上で雇用契約が結ばれていれば、解雇することに労働者側の合意は必要ありません。

試用期間を延長する場合には、労働者側の同意を得るか試用期間雇用契約に試用期間の延長があることを明示する必要があります。延長期間に定めはありませんが、その長さが社会通念上妥当な期間であることと、延長するに足る合理的な理由が求められます。

保険の加入条件を満たせば加入する事

試用期間中の雇用契約が本採用後と変わるものではないことから、試用期間の労働条件が加入要件を満たしていれば社会保険の加入も必要です。

まとめ

試用期間という雇用慣行は、これまで使用者・労働者双方の利害や権利の保護などを巡っての裁判の判例をもとに、その枠組みが形作られてきた経緯があります。解約権が留保された雇用契約というのも判例から通説とされているものです。

本採用を前提とした雇用契約である以上、お試し期間として安易に考えることはできない性質のものであり、適切な運用と手続きが必要です。

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