志望動機がイマイチだなと思っても、落とすのはちょっと待って!

母集団形成

大半の人事担当者は、書類選考や面接において「志望動機」をチェックしているでしょう。しかし、志望動機がイマイチだからといって即座に不採用にしてしまうと、優良人材を逃してしまうケースもあります。売り手市場で、なかなか応募者が集まらない昨今。志望動機のチェックについて改めて考えてみることにしましょう。

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「志望動機」ってそもそも重視すべき?

少し視点を変え、面接の場面を恋愛に置き換えてみましょう。合コンで出会った人が、「話が合いそう」と近くに来てくれたとします。そんな初対面の相手に対して、「私(俺)のことが好きなの? どうして?」なんて質問する人はいないでしょう。

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面接でも同じこと。書類選考や1次面接の時点で「なぜ弊社を志望したのですか?」と聞いたとしても、理想的な答えが返ってくることは少ないのです。特に、メディアに取り上げられることがほとんどない中小企業で、公式サイトでもあまり情報を公開していない場合、求職者は情報の収集がしづらいもの。納得感のある志望動機をまとめる難易度は非常に高いのです。志望動機がしっかりしていなくても、「これだけ多い企業の中から候補に入れてくれたのだ」と前向きに考えるべきでしょう。

そのため、特に書類選考での志望動機は「あまりチェックしない」くらいの心持ちでも良いでしょう。そもそも、エージェント経由やサイト経由に限らず、近年は志望動機なしで応募できるケースが増えています。志望動機が書かれていない、あるいは使いまわしのように見える志望動機でも、あまり気にする必要がない時代ともいえるでしょう。

ただ、面接のときに語られる志望動機には、「NG」と判断できるものがあります。ここからはNGパターンとOKパターンの事例を見ながら、境目を探っていきます。

面接における志望動機のNG例

まずは「さすがにNG」と考えられる志望動機を、根拠を交えてまとめました。確認してみましょう。

「エージェント/友人に勧められた」以外に理由がない

他の動機もあるなら問題ありませんが、書類選考に通った後に自分で志望動機を改めて考える主体性がないようなら、NGの可能性大。また、面接に来ているのに、オブラートに包めないというのも問題でしょう。

自らの権利の行使しか考えていない

「福利厚生に惹かれたから」「休みが多いから」「残業が少ないって書いてあったから」などを志望動機として挙げ、特にその他の志望理由もない場合、自らの権利の行使しか考えていないということ。入社後にミスマッチが起きやすいでしょう。

大きな勘違いをしている

例えば、求人広告に「マザーズ上場」と書いた場合、「上場」という言葉だけでよく調べもせずに大手企業だと思い込む求職者も。そうすると、志望動機でも「安定的なところに惹かれました」「影響力の大きな仕事ができると思って」といったズレた内容が挙がってきます。この場合、やはりミスマッチが生じるのでNG。企業側は気づいた時点でしっかり修正しましょう。

なお、修正したうえで改めて求職者が別の理由をもとに自社を志望するなら、再検討していいでしょう。

サービスや商品を確認してもいないのに「好き」「共感した」と言う

製品についてあまり理解していない、あるいはサービスを使ったこともないのに「ビジョンに共感しました」「御社のサービスが好きだからです」といった志望動機を挙げる求職者は要注意。例えば、Webディレクターの求人なのにも関わらず、Webサイトを見てもいないという場合はNGに分類すべきです。

ただし、業界未経験の人も応募可能とした求人などで、特殊な業界の理解しづらいサービスを提供している場合は、この限りではありません。

面接における“意外と”OKな志望動機の例

続いては、「意外とOK」な志望動機をみていきましょう。一見NGに思えても、一度立ち止まって再検討しておきたいところです。

的外れな課題解決策を挙げる

「自分の経験を活かし、〇〇のような課題解決に貢献できると考えました」といった志望動機を挙げる志望者もいるでしょう。その際に挙げられた課題解決案が、「すでにやって失敗したアプローチだな」「ズレてるな」「そういうフェーズじゃない」と思うこともあるはず。しかし、少なくとも試行錯誤して動機や課題解決案を見出した誠意ややる気は評価したいところです。

ただし、「経験年数にしては明らかに知識が足りない」「マネージャークラスなのに考えが幼すぎる」などと判断される場合には、NGの要因のひとつになります。

「他社が第一志望だが……」と正直に言ってしまう

「他社が第一志望です」と言われると、即座に落としたくなる人事担当者も多いかもしれません。これに関しては応募者の態度にもよりますが、理論的かつ優先順位の理由付けに納得できる場合、落としてしまわないほうがいいでしょう。また、もし「いや、この人はうちのほうが合っているぞ」「勘違いしているな」と思ったら客観的な視点を交えて軌道修正することで、相思相愛にもっていくことができるかもしれません。

具体性に欠けている

「私の能力をいかせると思いました」など、淡泊で具体性に欠ける志望動機を言われると、思わず落としたくなるでしょう。しかし、ここが人事担当者の腕のみせどころ。どういった能力なのかを深堀りすると、意外にもマッチしている要素を発見することがあるものです。頑張って引き出そうとしても何もでてこない場合は、きっぱりとNG判定しても構わないでしょう。

まとめ

人事担当者が応募者に対して、明確な志望動機を求めたい気持ちはわかります。しかし、これだけ求人過多の時代に「ここしかない!」という強い思いで自社に応募してきてくれる求職者はごく稀だということを知っておく必要があるでしょう。「志望動機がピンとこない」という理由だけで即座に落とすのではなく、採用側が動機を掘り下げるようなアプローチを行うことも重要です。

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