採用歩留まりとは?低下要因と歩留まり率を上げる5つの対策

選考辞退

採用活動では、応募数、選考(書類選考、筆記試験、面接など)に進んだ人数、内定数、そして実際に入社となった人数をきちんと把握し、コントロールする必要があります。この記事では、そもそも「採用の歩留まりとは何か」「なぜ歩留まりの低下が発生するのか」といった事柄に関する対策法をご紹介していきます。

目次

採用歩留まりとは?
 採用歩留まりの計算方法
 採用歩留まり項目
歩留まり低下が起こる要因
 他社の内定が速かった
 掲載内容と乖離があった
 社風が合わないと感じた
 家族から入社ブロックを受けた

採用歩留まり率が低下しやすい項目
 書類選考合格から一次選考希望率の低下要因
 一次選考希望数から選考実施率の低下要因
 面接実施数から内定率の低下要因
採用歩留まり改善への対策5つ
 【1】スピーディーな連絡と日程調整
 【2】入社の動機付けを行う
 【3】企業理解を深めるイベントの開催
 【4】クロージングをかける
 【5】プロの手を借りる
まとめ

採用歩留まりとは?

採用における歩留まりとは新卒一括採用の場で用いられることが多く、採用における各フェーズに進んだ人数の割合を指します。中でも、内定率を上げることに注力される方は少なくないでしょう。

採用歩留まりの計算方法

採用歩留まりでは、応募から選考(書類選考、面接など)、内定、内定承諾まで、すべての過程において歩留まり率を計算します。

計算方法は、「選考通過数」÷「選考対象数」×100=「歩留まり率」です。

例えば、内定承諾数5人・内定数が10人だった場合には、「内定承諾数(5人)」÷「内定数(10人)」×100=「歩留まり率(50%)」となり、内定を出した人のうち、50%が内定承諾をしてくれたことを意味します。

<押さえておきたい歩留まり率>

内定率=内定者数÷受験者数
受験者数に対して内定者数が何人出たのか、という採用において最も重要な指標。
採用計画を立てる際の最終的な目標値となる。中途採用における平均値は75~80%。

受験率=受験者数÷エントリー数
採用目標を達成するために必要なエントリー数の目標値を立てる際に役立つ数値。通常20~30%が平均値。

面接通過=面接通過者数÷面接試験受験者数
面接を受けた候補者数から逆算し、面接受験者が何名必要なのかという目標値を決めるのに役立つ。通常30~40%が平均値。

途中辞退=途中辞退者数÷受験者数
例年の実績などから予測する数値。通常は20~30%が平均値。(多くの企業が計算していない項目だが、辞退者は優秀層であることが多いため実はかなり重要)

内定辞退=内定辞退者数÷内定者数
自社の採用力を測る数値。内定の出しの考え方や企業のブランド力等によって変動する。
中途採用における平均値は22%。

(画像参照元:曽和利光(2018)『人事と採用のセオリー』P145より)

採用歩留まり項目

まずは、下記項目のように採用フローを全て書き出し、それぞれの項目での人数を把握すると良いでしょう。

  • 求人ページ閲覧数
  • 応募数
  • 書類選考数
  • 書類選考通過数
  • 一次面接希望者数
  • 一次面接通過者数
  • 二次面接希望者数
  • 二次面接通過者数
  • 最終面接合格者数(内定数)
  • 内定承諾数

上記は、求人メディアに掲載した場合の一例となります。人材紹介会社を利用している場合には、求人ページ閲覧数がなく、応募数は推薦数となります。また、書類選考の前後に適性検査を実施する場合にはその項目も入るでしょう。

このように各項目における割合を計算し、歩留まり率を出すことによって、自社の応募者の状況やどの過程で歩留まりが低下しているか、といった採用の課題がクリアになります。また、歩留まり率の改善をしっかり行うことで、採用力向上に直結しますので、選考が進むタイミングなどで、随時数値を更新しておくと良いでしょう。

歩留まり低下が起こる要因

この歩留まり率を上げることに苦戦する担当者の方は、少なくないでしょう。なぜ歩留まり率の低下は起きてしまうのか、考えられる要因を見ていきましょう。

他社の内定が速かった

面接スケジュールの決定が遅れてしまったり、選考フローが長かったりすると、併願している他社が先に内定を出した事で人材を奪われてしまいます。応募者は、「早く転職したい」と考える人も多いため、先に内定を出した企業に入社を決める可能性が高いと心得ましょう。

掲載内容と乖離があった

求人原稿で把握していた内容と面接で聞いた内容に乖離があることによって、応募者が離脱することは往々にしてあることです。もちろん、悪い事をあからさまに求人原稿に打ち出す必要はありませんが、実態とかけ離れた事柄を記載しないように気を付けましょう。また当然ながら、面接官にも情報共有し、内容に乖離がないよう注意しましょう。

特に、求職者は「仕事内容」や「勤務時間」「勤務地」「休日休暇」といった項目に敏感ですので、事前に原稿内容や面接官の資料と相違がないかチェックしておくと良いでしょう。

社風が合わないと感じた

最近はインターネット上で、退職者や実際活躍する社員が書いた各企業のリアルな口コミを見ることができる時代になりました。転職者もネットで「〇〇株式会社 口コミ」と検索を行い、入社する企業のリサーチを行っていますので、こういった口コミに依って求職者が「自分は合わないかも……」と感じてしまう可能性は高いと言えるでしょう。

また、意外に多いのが「面接官の対応が悪かった」ことによる企業イメージの低下です。いくら求人原稿に「風通しがよくて意見が言いやすい環境」と記載があったところで、面接官が高圧的な態度を取っていては説得力がありません。企業として選んでもらうための対応を心がけましょう。

家族から入社ブロックを受けた

新型コロナウイルス等の影響もあり、B to Bビジネスで一般消費者に名前が知られていないような中小企業は、求職者本人が入社したくても家族や親せきに反対されてしまう可能性が低くありません。扶養家族がいる場合だとなおさら確率としては高まると心得ましょう。

採用歩留まり率が低下しやすい項目

採用歩留まりには波があり、歩留まり率が低下しやすいタイミングがあります。どのタイミングで歩留まり率が低下しやすいのか、傾向を把握しておきましょう。

書類選考合格から一次選考希望率の低下要因

最近は1人あたりの転職活動量が増加するとともに、気になる企業に手当たり次第応募している人や、軽い気持ちで応募する「ぬか喜び応募」が増えています。このような応募者は初期の応募段階から書類選考合格の際に、辞退してしまいます。よって、書類選考後の一次面接に進む率が低下します。

一次選考希望数から選考実施率の低下要因

「面接日は設定したが当日来なかった」「面接前に辞退の連絡がきてしまった」といった、面接日程を設定してから当日までの間に辞退する応募者・ドタキャンも少なくありません。
要因としては、応募者側の問題が多いことが予想されますが、自社で改善できる点もあります。後述の改善点を確認しておきましょう。

面接実施数から内定率の低下要因

面接で感じた会社の雰囲気や面接官の対応によって、辞退する求職者は多いです。社内の採用に関わる人全てに、自社の採用状況や面接マナーを共有し理解してもらう努力を怠らないようにしましょう。

今後も良い人材の獲得競争は激化が見込まれています。企業>求職者という意識を捨て、求職者に選ばれる企業となるにはどういった対応が最適なのかを考え、実行しましょう。

採用歩留まり改善への対策5つ

赤と紫 円サイクル 図解チャート

採用歩留まりの改善に効果的な、5つの具体的対策をご紹介します。自社の歩留まりが低下している項目をしっかり見極め、改善に努めましょう。

【1】スピーディーな連絡と日程調整

日程調整や質問に対する対応が遅いことによって応募者が不安・疑念を抱き、他社へ流れていってしまうことも。常にこの点を心に留め、連絡・日程調整は迅速に行いましょう。特に、以下の点を心がけると良いでしょう。

  • 応募があった際は、24時間以内に返答する
  • 合否の連絡は遅くても3日以内に行う
  • 面接の1〜2日前にリマインド連絡を行う(特に、就業中の人は多忙のため、面接日時を忘れてしまうこともあると心得る)
  • 応募者からの面接調整は柔軟かつ迅速に行う(可能な限り、当日または翌日には対応しましょう)
  • 応募状況によって、要件緩和や選考フローの短縮といった柔軟な対応を行う
  • 人手不足や他の業務が多忙の際は、採用管理システム、採用代行サービスなどを活用する

【2】入社の動機付けを行う

応募者の対応に追われることで忘れがちなのが、入社意欲を高める「動機付け」です。特に、候補者と直接やり取りをする際は心を配るようにしましょう。中でも、面接などの選考フェーズにおいて動機付けを行うことは非常に重要です。

中途採用においては、下記の様な内容を伝えると良いでしょう。
・将来のキャリアイメージ
・身に付けることができる能力・スキル
・裁量権
・社内外における評価
・働き易さ

このような内容を伝えて入社後のイメージをリアルにしてもらい、「この会社で働いてみたい!」という高揚感を高めることが重要です。

【3】企業理解を深めるイベントの開催

前述でご紹介した通り、最近はインターネット上の口コミをうのみにして「自分はこの会社に合わないかもしれない」と辞退するケースも少なくありません。

インターネット上の口コミにその都度対応することは難しいですが、少なくとも企業として「このような事を言う人もいるが実際はこうだ」といった事を伝えることはできます。

最近は転職者に対して、社内見学会やランチ会を通して実際に企業風土を知ってもらう機会を設ける機会も増えています。こういったリアルな視点で理解してもらう努力を行うことも重要と心得ましょう。コロナ禍でリアルイベントが難しいという場合は、オンライン説明会やオンラインランチ会なども検討すると良いでしょう。

【4】クロージングをかける

クロージングとは、内定承諾をしてもらうために企業側が候補者に対して積極的に働きかけることを指します。「ぜひ採用したい!」という人材がいたら、クロージングをかけましょう。

クロージング方法は下記3つのパターンがありますので、自社に合わせて行うと良いでしょう。

1.オファー面談(雇用条件のすり合わせ)を行う
2.カジュアル面談で本音を引き出し、不安を払拭する
3.候補者の志向性に応じて、自社で実現できることを伝える
  志向例)安定性、社会的意義、地位など

【5】プロの手を借りる

自社内で施策をしても効果が出ない場合、採用のプロである採用代行(RPO)の手を借りることも視野に入れましょう。採用代行は自社の採用業務をアウトソースできるので、採用担当の負担を軽減しつつ歩留まり率をアップさせることもできます。

こちらの記事では、採用代行(RPO)を使うべき企業の特徴や採用代行でできる業務、採用代行会社12社の料金や特徴をご紹介しています。採用代行を取り入れる際の参考として頂ければと思います。

まとめ

応募者のうち、実際に内定承諾(入社)となった率をみる採用の歩留まりは、採用力向上に直結する重要なデータです。どの項目で歩留まり率が低下しているかを見極め、選考フローの見直しやスピーディーな対応、丁寧な連絡を行うといった改善策を試みましょう。

採用に不慣れな現場面接官必見!
良い人材を採用するための直前チェック7つ

面接直前チェック7中途採用において、募集ポジションの現場リーダーやマネージャーが面接を担当することは少なくありません。面接経験が浅い人や久しぶりに対応するといった場合、面接としてふさわしくない態度を取ってしまい、応募者の志望度を下げてしまったり企業イメージを損なってしまったりする可能性も……。

ある調査によると、面接の内容で志望動機が上がったという応募者は約8割も存在することが分かっています。

今回は採用活動において重要な位置づけである面接を成功させ、
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