採用広報とは?導入目的やメリット、他社成功事例を紹介

母集団形成

候補者や転職潜在層に対する広報活動は「採用広報」と呼ばれ、多くの企業が試行錯誤しながら実践しています。本記事では、採用広報が注目されている理由や目的をはじめ、採用広報の手法やトレンド、成功させるためのポイントについてご紹介します。自社に合った採用広報について知識を深め、優秀な人材の採用につなげましょう。

目次

採用広報とは?
採用広報の目的
採用広報によるメリット
採用広報の手法
成功するためのポイント
採用広報の成功事例
まとめ

採用広報とは?

採用広報とは、自社求人に人を集めるための手段の一つとして、自社について広く知ってもらう活動を指します。広義では、パンフレットや自社ホームページ、ソーシャルメディアなど、求人広告以外の媒体を活用した全ての情報発信も採用広報に該当します。

ポイントは自社が求める人材に対して、届けたいメッセージが届けられるかどうかです。報という言葉の通り、多くの人に自社の事を知ってもらうことができるため、転職しようと考えていなかった転職潜在層にもアプローチすることも可能です。

採用広報の目的

ターゲット人材を採用するために欠かせないのが採用広報です。いま一度、採用広報を行う目的を見直しておきましょう。

3つのA
(画像引用元:青田努(2019).『採用に強い会社は何をしているか』P22より)

転職潜在層へのアピール(Attention)

採用広報の目的とも言えるのが、転職潜在層へのアピールです。

採用広報を通じて、まだ転職を考えていない潜在層へアプローチし、自社を知ってもらうことで転職を意識させたり、転職を考えた際に思い出してもらったりすることで、候補者集めへとつなげることが可能です。

ターゲット人材を集める・惹きつける(Attract)

次に重要となるのが、集めた候補者を惹きつけることです。

ターゲット人材の視点に立ち、どういった内容であればメリットだと感じてもらえるかを考え訴求することが重要です。ここで重要なのは、ターゲットの視点に立ち、具体的事実によって表現することです。理想を言えば、他社との差別要素も入れられるとベストでしょう。

benefit

求職者ニーズに応える(Apply①)

採用市場は過渡期にあります。

例えば、これまで主流だった流入経路であるコーポレートサイトやメルマガなどのオウンドメディアに追加して、Instagram、TwitterといったソーシャルメディアやIndeedなどの求人検索エンジンなどが追加されたと感じる方も少なくないでしょう。このような求職者側のITリテラシーや情報感度の向上など、時代に応じたツールへの対応は急務と言えます。

また、各種ツールの発展により、簡単に企業の口コミや情報を得ることができる時代になりました。「職場の雰囲気」や「企業文化」といったリアルな情報を重視する求職者が増えていることをふまえ、信頼性の高い情報を伝えることも意識していただきたいと思います。

応募意欲を高める&ミスマッチを減らす(Apply②)

ターゲット人材の応募意欲を高めて応募促進へとつなげるのに有効なのが、企業に対する理解促進です。会社概要や事業内容、目指す姿、職場の雰囲気など、事前にしっかり理解してもらい自社を「認知」し、正しく「企業理解」してもらうことで、入社意欲を高めることができます。

また、事前に企業の実情を理解してもらって不安・懸念要素を払しょくすることで、応募障壁を無くし、最終ゴールの応募へとつなげることもできるでしょう。

このような戦略的な採用活動の一つが採用ブランディングです。前述した通り、求職者のITリテラシーが向上し、誰もが気軽に情報発信できるツールが増加したことから、優秀人材の獲得に苦戦する企業を中心にこの採用ブランディングに着手し始めています。応募者を増加させるといったメリットがありますので、ぜひ以下の記事も併せてご確認ください。

採用広報によるメリット

◎応募者数が増える

東証一部上場企業ですら、母集団形成に苦戦する企業も出てきている昨今。採用広報によって自社の認知度を高め、応募してくれる人材を増やす≒ターゲットの母数が増えることは、採用効率を高め、採用の可能性を高めると言えるでしょう。

◎採用ミスマッチが減る

自社がどのようなビジョン・ミッションのもと、どのような事に取り組んでいる企業たるかを理解してもらう採用広報活動は、自社の社風にそぐわない人材を除外することができるため、採用ミスマッチが減ると言えるでしょう。

◎転職潜在層を捕らえることができる

先述した通り、採用広報は広く自社について知ってもらう機会となるため、転職を検討していなかった「転職潜在層」を捕らえることも夢ではありません。

採用広報の手法

採用活動として用いられる広報手法は多様化しています。本記事では、現在の採用活動において多く取り入れられている手法をご紹介いたします。

1.ソーシャルメディア

ソーシャルメディアは、採用広報で近年広く活用されているトレンドの手法です。無料かつ気軽に実施できるツールだと「Twitter」「Instagram」「Facebook」などが挙げられるでしょう。

例えば、Instagramは写真・動画・ストーリー機能を使用した採用広報や企業ブランディング、詳細なターゲット層へ広告を出してアプローチしたい場合はFacebookというように、各社の特徴を活かした採用広報を展開すると良いでしょう。

但し、一般ユーザーの投稿も多いため企業の投稿が埋もれやすく、プライベートで利用するユーザーも多いことから、ビジネス目的の投稿は嫌われる可能性も否めません。

2.ビジネス特化型ソーシャルメディア(LinkedIn,Wantedly)

LinkedIn(リンクトイン)を代表とするビジネス特化型SNSとも呼ばれるビジネスソーシャルメディアは、近年ユーザー層を伸ばしているツールの一つです。当初は、ITベンチャーや外資系を中心とした一部の優秀人材のみが利用するイメージがありましたが、最近は知名度の高い大学の学生がスカウト待ちで利用するなど、そのユーザー層を拡大し続けています。

Wantedlyは労働条件ではなく、企業のビジョンやミッションに重きをおいたサイト構成になっているため、自社の社員とのマッチ度が高い人材からの応募が期待できるといった声も聞かれます。

一方、LinkedInha採用担当者が自社への惹きつけ目的で活用しているケースも多く、今後の成長も期待できることから今始めておくと良いツールの一つだと言えるでしょう。LinkedInでやるべき事や投稿内容のヒントについては以下記事をご参照ください。

3.オウンドメディア

コーポレートサイトや採用ページなど、自社で運営するWebサイトをオウンドメディアと呼びます。
最近は「note(ノート)」というサービスを活用し、採用広報を展開する企業も増えています。しかし、オウンドメディアは知名度の低い企業にとって流入数を増やすことに苦戦する傾向があるため、自社に最適かどうかを見極める必要があるでしょう。

例えば、ソーシャルメディア等と併用することで、知名度が低くてもソーシャルメディアからオウンドメディアに誘導して多くの流入を獲得している企業もあります。自社で運用しているため自由度も高く、掲載料などもかからないというメリットが特徴です。工数の余地がどの程度あるかによって導入は判断されると良いでしょう。

4.ウェビナー

新型コロナウイルスの流行により急激に広がったウェビナー。採用活動以外でも、営業のリード獲得やカスタマーリレーションシップを目的に利用する企業が増えています。中でも、Zoom(ズーム)はQ&Aやチャット機能が充実しており、利用する企業も少なくありません。

安定したインターネット環境下で視聴しなければならないといった制約はありますが、無料かつ受動的に視聴ができるため、ユーザー視点でも利用ハードルが低い点がメリットです。

5.動画投稿

YouTube(ユーチューブ)を用いた動画投稿も最近トレンドな採用広報の手法です。一度動画を作成してしまえば、録画された動画を閲覧してもらうことになるため、手間もかかりません。但し、コンテンツ内容の企画や設計、内容の充実度もシビアに問われるため、第三者の意見を聞きながら進めると良いでしょう。

6.求人メディア

採用広報では、転職サイトなどの求人系メディアもまだまだよく活用される手法です。

ペイドメディアと呼ばれる「企業が費用を支払い広告などを掲載してもらう手法」に分類される求人系メディアは、掲載課金型と成果報酬型があります。ターゲット層が多く活用するメディアを選ぶことで、簡単に多くの候補者に情報を届けることができます。

このような広告運用を行っている転職メディアであれば、導入余地はまだまだあるでしょう。

成功するためのポイント

ターゲット人材を明確化する

ターゲット設定が出来ていないとメッセージもぼんやりとするものですよね。

こと人材採用において重要要素と言える、人材要件の明確化。頭の中でイメージは出来ていても、いざ言語化して表現しようとなると難しいものです。ぜひ、採用広報活動をスタートする前に明確化しておきましょう。

こちらの記事で、人材要件の重要性や設定方法、運用におけるポイントについて解説しています。経営戦略に一貫性が出る、早期離職の防止につながる、採用活動の再現性が高まるといったメリットがありますので、ぜひ事前に取り組んでおきましょう。

自社の魅力を言語化する

前述した項目と同様、自社について広報する上で自社について知っておくことは非常に需要な要素です。

大切なのは、ターゲットに届くメッセージに落とし込めているかどうか。リアルかつ信頼性の高い情報を意識しつつ、下記ポイントを押さえながら、自社の魅力を言語化していただきたいと思います。

  • ターゲットに響く内容である
  • リアルにイメージしやすい(例:インタビュー、ブログ)
  • 数字などを交えた信頼性ある情報である(例:育休取得率74%)
  • 良い事だけでなく、課題や今後の展望も含める

参考記事応募が来ないのは「仕事内容が魅力的じゃない」せい…?マイナスをプラスに変換する方法

運用できるツールを選択する

「実際に採用広報に取り組んでみよう!」と意気込んだところで、その業務に工数が割けないとなると本末転倒です。

例えば、ブログやSNSなどのツールは更新性が重要となるため、何年も更新されないと意味がありません。また、求人系メディアは他の求人に埋もれる可能性もあるため、差別化が難しいと言えます。

こういった課題感をお持ちであれば、採用代行(RPO)の導入を検討されるのも一つです。詳細については、こちらの記事をご覧ください。依頼できる業務や導入によるメリット・デメリット、オススメの採用代行会社も厳選してご紹介しているので、ご参考になさってください。

採用広報の成功事例

実際に成功している採用広報の事例を3つご紹介します。どのような手法で成功しているのか、自社に取り入れられる内容がないか探してみてください。

成功事例1:ベルフェイス株式会社/SNSの運用で採用単価3割減

 

人事広報担当者がTwitterを活用し、カジュアルな投稿を開始。見た人に親近感を抱いてもらえることを目的に制作しました。工夫したポイントは2点。1つはBtoB事業を手掛ける自社に対する固いイメージを払拭すること。もう1つは、SNSの運用を継続的に行うこと。カジュアルな投稿の方が担当者自身にとって向いていたため、投稿を続けることができたそうです。

結果、月8名ほどがTwitterのDM経由の応募になり採用単価が3割減に。情報発信するメリットを実感する社員も増えたことで、さまざまな視点からリアルな会社を伝え角度の高い採用につながっています。

成功事例2:株式会社メルカリ/オウンドメディア「mercan」で採用ブランディング

 

オウンドメディア「mercan」を「コンテンツプラットフォーム」と呼び、「はたらく人」の情報を毎日発信。メルカリに興味を持ち選考を受ける人、転職潜在層など立場によって求める情報は異なるため、記事ごとにターゲットを絞ってそれぞれにマッチするテーマを企画しています。

その結果、2019年2月時点で月間約30万PVを実現するなど大成功。さまざまな職種の「はたらく人」の紹介を通じ、自社が大切にしている価値観を発信することで採用ミスマッチ防止にもつながっています。

まとめ

採用広報とは、採用を行う企業が候補者や転職潜在層に対して行うさまざまな広報活動のことです。採用広報の手法は多様化していますが、SNS・求人系メディア・オウンドメディアを活用している企業が多く、どの手法を採用するかはターゲット層や目的にあわせて選ぶ必要があります。成功事例などを参考に、自社にあった採用広報をスタートさせて採用要件に合う人材の採用につなげましょう。

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