未経験OKの中途採用をする場合の注意点
母集団形成昨今の人材不足で、即戦力の採用はどこも熾烈な獲得競争になっています。それならば……と間口を広げて「未経験OK」の求人募集を検討している人事担当者も多いのではないでしょうか。
しかし、応募者数が増えたとしても、自社のターゲット像とミスマッチな人材ばかりでは、採用につながりません。「未経験OK」を掲げる際には、どんな点に注意したらよいのでしょうか。
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「未経験」の基準を定める
一口に「未経験」といっても、以下のとおり、意味にかなりの幅があります。
分類 | 強み | 会社の期待値 | |
業界未経験 | 営業職、事務職、技術職等の職種は変えずに、別の業界へ転職してくる人 | 募集職種に必要な特性やスキルを身に付けている | スキルに期待 |
職種未経験 | 金融業界、サービス業界、IT業界等の業界は変えずに、別の職種へ転職してくる人 | 業界特有の知識やノウハウを身に付けている | 専門知識に期待 |
業界・職種ともに未経験 | 正社員経験がある人(第二新卒など) | 基本のビジネススキルやマナーを身に付けている | ポテンシャルに期待 |
正社員経験がない人 | 特定の業界・企業に染まっていないため、社風になじみやすい |
ポテンシャルに期待(一から人材育成が必要) |
まず、採用したいと考えているターゲットには、「どのような業務をどの程度任せたいのか」を考え、採用要件や採用基準を定めます。そのうえで、どこまで未経験でもOKなのかを判断し、具体的に求人票に記載しましょう。
明確な基準を最初に設定しておかないと、「やっぱりスキルは必須かも」「業界の常識は必要だな」など、即戦力募集と同じような採用基準になってしまい、結局一人も採用できなかった……という最悪の事態も起こりかねません。どこまでハードルを下げれば応募数が増えるのか、転職市場から採用見込み数を出すことによって、どこに照準をあてるか考えるヒントとなります。
マニュアルや研修プランを準備する
未経験者を採用すると決めた場合、1日も早く現場で活躍してもらうために、入社後の教育研修の整備が何よりも大切です。そのためには、事前の準備が欠かせません。
マニュアルの整備
社内にマニュアルなどの資料が整っていないようであれば、配属予定部署と話し合って準備しておく必要があります。
マニュアルを作成する際には、通常の作業手順に加え、その作業の意味合いや背景等も載せておくと業務理解が深まるでしょう。さらに、業務担当者やその役割についてもまとめておくと、新入社員も自身の立ち位置がわかり、業務上でも役立ちます。
研修プランの策定
研修制度が未整備の中小企業の場合、新入社員への研修は上司や先輩社員からのOJTで行われることが多いでしょう。しかし、研修担当者が自身の業務で多忙なため、OJTまで手が回らなかった……という失敗談もよく耳にします。
そのような事態に陥らないよう、研修プランを立てる際には事前に社内全体でよく話し合い、研修担当者がOJTに十分な時間を割けるように業務を調整しましょう。
既存社員の制度に問題がないか見直す
採用活動を行う場合、新入社員にばかり目を向けがちですが、忘れてはいけないのが既存社員のケアです。例えば、ベテラン社員が通常業務に加えてOJTを任されることで大きな負荷がかかり、心身ともに疲れ果てた末、離職……というような事態は絶対に避けなければなりません。
前述の通り、研修担当者に過度な負担がかからないように社内での業務調整をすること。それに加えて「研修手当」をつけるなど、既存社員のモチベーションアップにつながるような社内制度の見直しも随時行っていきましょう。
まとめ
即戦力募集から「未経験OK」の求人募集に切り替えることで、応募者数は増加するかもしれません。しかし、それが自社のターゲット像とはミスマッチな応募者ばかりだったら、せっかくハードルを下げても採用活動は失敗に終わる可能性が高くなります。このようなミスマッチを防ぐためには、何をもって「未経験OK」とするのか、譲れないポイントは何なのか、といった明確な採用基準を定めておくことが重要です。
また、入社後は新入社員に対する研修がポイントになるため、しっかりと事前準備をしておく必要があります。その際、フォローすることになる既存社員へのケアも忘れずに行うようにしましょう。
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