面接官に研修は必要?初めての面接対策にオススメの施策とポイント3つ

選考辞退

企業に必要な人材を誤りなく見極めることが面接官の大きな役割ですが、ターゲット人材の入社への動機付けとなる役割も担います。面接官を担当する社員には、それらの役割を十分果たせるだけの面接スキルを身に付けてもらう必要があります。そこで今回は、面接官の研修について、その必要性やそこで身に付けてもらいたいスキル、成果の出る研修にするためのポイントなどを紹介します。

目次

面接官に研修は必要?
面接官に必要なスキル
 コミュニケーション能力
 人を見極める力
 好印象を与えるスキル
面接官の研修例
 座学研修
 ロールプレイング
 本
面接官の研修を実施する際のポイント
 面接のタブーを教える
 ハロー効果に注意する
 評価軸をすり合わせる
まとめ

面接官に研修は必要?

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総務省主催の「自治体2040構想研修会」では、今後2040年にかけて生産年齢人口(15~64歳)は、前年度比ベースで減少が加速すると予測されています。また、帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2020年7月)」では、新型コロナウイルスの影響で人手不足割合は減少しているものの、「人手不足によって倒産に追い込まれるケースも増加傾向にある」としています。

生産年齢人口の減少による人手不足が慢性化するなか、企業が生き残るには、優秀な人材の確保が最重要課題です。優秀な人材を確保できなければ健全な事業の運営ができないばかりか、既存社員への負担が大きくなり、従業員エンゲージメントや労働生産性の低下にもつながりかねません。

そういった意味で、面接官の力量は、企業全体の業績にかかわってくる重要なもの。しかも面接は企業が一方的に応募者を選ぶ場ではなく、自社を応募者に選んでもらう場でもあります。面接官には、自社に必要な人材を見極める力と、その人材の入社の動機付けになるような引き寄せる力の両方が求められます。

初めて面接官を担当する社員はもちろん、すでに何度か面接官を務めている社員も、研修を受け、面接のスキルを高めてもらうことが重要です。

面接官に必要なスキル

面接官に求められるスキルとはどのようなものでしょうか。前述のとおり、面接は企業が一方的に応募者を選ぶ場ではなく、応募者に自社を選んでもらう場でもあります。一昔前のように「選んでやる」といった姿勢では、応募者に自社を選んでもらえる面接にはなりません。

「選ぶ」ではなく「選ばれる」……。ニューノーマル時代の面接官には、次のようなスキルが求められます。

コミュニケーション能力

面接は、企業と応募者のお見合いの場とも言えます。お見合いを成功させるには、当然コミュニケーション能力が求められます。面接の場でいうと、「応募者から選考の判断材料になる情報を十分に引き出し、応募者がここで働きたいかどうかを判断するための情報を十分に提供できる」能力が必要です。ただし、そのために失礼な質問を投げかけたり、応募者が興味のない会社の過去の栄光などを長々と述べたりするようなことをしてはいけません。相手が気持ちよく話せる雰囲気づくりをしたり、相手が知りたい情報を簡潔に話したりするなど、相手の立場に立った心配りも円滑なコミュニケーションのための大切な要素です。

人を見極める力

応募者とのやり取りを通して、採用するかどうかを判断するのに十分な情報を引き出し、その情報から応募者の本質を誤りなく見極めることのできるスキルです。言い換えれば、相手のやる気や能力などを把握するのに適切な質問ができる「質問力」、相手の話の内容だけでなく、話し方や態度、ちょっとした仕草などから相手の人柄を見通す「観察力」といったところが大切になります。

好印象を与えるスキル

好印象を与えるスキルというと、何か特別なことをしなければいけないと思うかもしれませんが、髪や服装など身だしなみを整えるといった当然のマナーを守ることがまずは大切です。また、相手がリラックスして本音を語れるような雰囲気作りも心がけたいところ。話すときは相手の目を見て話す、相手の話を聞くときは、うるさくない程度にうなずきながら耳を傾けるといった態度が、応募者によい印象を与えるでしょう。

面接官の研修例

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では、実際どのような研修が考えられるでしょうか? 一般的には、必要な知識をインプットするための「座学研修」と、実際の面接場面を想定した「ロールプレイング」の両方を行うことになります。ただし予算や日程の関係で、そこまで本格的な研修を実施できないといったケースもあるでしょう。その場合は、本を配って各自で学習してもらうといったことも考えられます。それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。

座学研修

座学研修では、「面接官の心構え」「面接の流れ」「効果的な質問方法」「評価方法」など、面接官として知っておくべき基礎知識を、講義形式で学んでもらいます。

面接官の心構え

面接の目的を確認し、その目的を達成するために必要な面接官の心構えを学んでもらいます。面接は企業を選んでもらう場でもあること、面接官が応募者に与える印象が、その入社の意思に大きく影響すること、自社への入社意思を高めてもらうためにも、守りたいマナーなどについてしっかり伝えます。

面接の流れ

応募者の入室を促す言葉がけからアイスブレイク、質問や説明、クロージング、送り出しまで、面接の流れを覚えてもらいます。応募者に人柄や能力を把握するために質問すべき内容や上手な質問の仕方、NG質問、また、応募者が自社への入社を判断するために提供すべき情報、応募者に好感を持ってもらえる説明の仕方なども併せて伝えます。

評価方法

人間はつい、何事も好き嫌いで判断しがちです。しかし、面接官が好き嫌いで応募者の採用・不採用を判断していては、偏った採用になってしまったりミスマッチが生じてしまったりする恐れがあります。評価項目や評価基準を明記したシートに沿って客観的に評価する方法を説明します。

ロールプレイング

募集職種や応募者の年齢、経験など、できる限り具体的に条件を設定し、面接官役と応募者役に別れて、実戦形式で行います。

設定した条件を念頭に、応募者の緊張をほぐすためのアイスブレイクから、求める人材かどうかを判断するための質問、入社の動機付けになるような自社についての情報提供といったところを、実際の面接の要領で進めていきます。

一般的にはその様子を講師や上司がチェックし、現在の問題点や改善策をアドバイスする流れになります。質問や説明の内容のチェックも大切ですが、面接官の態度や話し方が、応募者へ好印象を与えそうかどうかといった視点でのチェックも必要です。

予算や時間的な問題で、受講対象者を集めての本格的な研修が難しい場合もあるでしょう。そういう場合は、面接官が持っておくべき知識を学べる本を配布するのも、一つの方法です。

可能であれば、面接官の心構えや面接の流れ、効果的な質問、評価基準などをまとめた独自のテキストを用意するのが理想的。そこから学んだ知識を実際の面接の場でそのまま活かしやすいため、おすすめです。

なお、面接官の心得や具体的な面接の仕方など、面接官向けの知識を網羅的に紹介する市販本はあまり見られません。しかし、さまざまな採用手法や採用基準、望ましい質問例などを紹介した本は比較的多く出版されています。オリジナルのテキストの用意が難しい場合は、そういった市販本を利用するのもいいでしょう。

面接官の研修を実施する際のポイント

面接官の研修を実施する際に気を付けたいポイントがいくつかあります。面接のポイントというと「応募者の本質を見抜くポイント」に焦点がいきがちですが、面接官がしてはいけないタブーや抑えておきたい注意点があります。主なものを3つ紹介します。

面接のタブーを教える

面接では、面接官がしてはいけないタブーがあります。例えばマナー違反になるようなだらしない服装や髪形、周囲を不快にさせるような態度や行動は当然タブーです。

そんなさまざまなタブーのなかでも、特に研修で触れておく必要があるのは、「タブー質問」です。タブー質問というのは、下記に挙げているような、厚生労働省が示す「公正な採用選考の基本」ガイドラインから逸脱したり男女雇用機会均等法に抵触したりする恐れのある質問です。

  • 出生地は?
  • 尊敬する人物は?
  • ご結婚ご出産されても仕事を続けますか?

深く考えずについうっかりしてしまいがちな質問がタブーである場合もあるため、研修でしっかり押さえておく必要があるでしょう。

タブー質問についてはこちらの記事でも、詳しく紹介しています。ぜひご参照ください。

ハロー効果に注意する

ハロー効果とは、一つの目立つ特徴によって、その全体を評価してしまう現象のことを指します。後光を意味する英語の「halo」が語源です。ハロー効果には、良い特徴にフォーカスを当てて全体を評価するポジティブハロー効果と悪い点にフォーカスを当てて全体を評価するネガティブハロー効果の2種類があります。

面接に当てはめると、例えば応募者の出身大学が高偏差値といったことに影響され、他のことも過剰に評価してしまうのがポジティブハロー効果、その人の年齢が他の応募者より少し高いだけで他の人より長くいてもらえないだろう、体力的に厳しいだろうと判断してしまうのがネガティブハロー効果にあたります。

ハロー効果はビジネスにおいて有効な場合もありますが、面接の場では、注意が必要です。良い人材をみすみす逃してしまったり、使えない人材を採用してしまったりといったことになりかねません。

評価軸をすり合わせる

人は「好き」「嫌い」「快」「不快」といった感情で物事を判断する傾向があります。採用活動を行う際も、特にルールを決めずに選考を面接官に任せると、同じような人材に偏ったり、ミスマッチが生じてしまったりする恐れがあります。そのため想定する人物像や人柄、スキルなどを面接官の間で一致させて研修を実施すると、採用活動のゴールが理解しやすくなります。

以上のタブーや注意点を研修で伝えるだけでなく、実際の面接の場での失敗を回避するために、タブー質問の例を記載したシートや、客観的に評価するための評価シートを配布しておくと安心です。

まとめ

面接官の印象が応募者の入社意向に影響するケースが少なくなくありません。そんな重要な役割を担う面接官の面接スキルの向上のために、検討したいのが研修です。面接官の研修は、面接に関する基本的な知識を学ぶ座学研修と、実際の面接のように勧めるロールプレイングの組み合わせが一般的です。面接官自身が自信を持って面接に臨めるよう

  • NG質問を含めて面接のタブーを伝える
  • ハロー効果に注意する
  • 評価軸をすり合わせる

といった点に注意して、成果の上がる研修を実施しましょう。

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今回は採用活動において重要な位置づけである面接を成功させ、
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