フレックスタイム制とは?向き/不向きの職種や基本を分かりやすく解説します

母集団形成

多様な働き方が求められる現代で徐々に導入する会社が増えているフレックスタイム制。厚生労働省が推進する働き方改革でも、フレックスタイム制の導入がしやすいよう、労働時間の調整を行うことができる期間の延長がされました。この記事では、フレックスタイム制の基本やメリットデメリット、実際の導入事例をご紹介します。

目次

フレックスタイム制の基本を解説
フレックスタイム制のメリット・デメリット
フレックスタイム制が向き・不向きの職種
フレックスタイム制の注意点
フレックスタイム制の企業事例
まとめ

フレックスタイム制の基本を解説

まずはフレックスタイム制の基本を知っておきましょう。

労働時間を従業員が自らが調整できる制度

フレックスタイム制は、従業員が労働時間を自分で調節できる制度です。これまで、勤務時間は会社が固定の時間を指定するのが当然とされてきました。しかし、フレックスタイム制では、従業員自らが日々の始業時間・終業時間・勤務時間を決めることができます。そうすることで、業務と日常生活の調和をはかり、より効率的な労働をしてもらうのが目的です。

フレックスタイム制では、一定の期間の中であらかじめ決められた総労働時間分の勤務をこなす必要があります。例えば、1ヶ月で160時間といった形で、あらかじめどの期間にどれぐらいの時間勤務するのかを契約して決めておきます。

コアタイムやフレキシブルタイムを設定すると良い

フレックスタイム制のイメージ

(引用元:厚生労働省「フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き」より)

フレックスタイム制の問題点として「自由にしすぎては従業員同士でコミュニケーションがとれなかったり、必要な打ち合わせができなくなるのでは」と懸念する人事は少なくありません。

そこで知っておきたいのがコアタイムとフレキシブルタイムです。コアタイムは必ず勤務しなければならない時間、フレキシブルタイムは出社や退社が自由な時間です。会議や打ち合わせはコアタイムに設定し、他は自由にするなど、幅広い運用ができます。

この二つを組み合わせることで、柔軟性を持ちながら効率的に業務を進めることができます。

裁量時間労働制や変形時間労働制との違い

フレックスタイム制と混同されがちなのが裁量時間労働制や変形時間労働制です。それぞれどのような点が違うのか見ていきましょう。

裁量労働制は、「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の二つがあり、それぞれ適用できる業務が限定されています。対してフレックスタイム制は業種や業務の縛りがないため、誰にでも適用することができます。また、裁量労働制は「この時間ならばこの程度の業務ができるだろう」という見込みであらかじめ給与が決められています。そのため、労働時間を超過しても残業代は出ないケースがほとんどです。フレックスタイム制では、総労働時間を上回った場合、その時点で残業代が発生します。

変形時間労働制は、繁忙期と閑散期が明らかな場合に労働時間を調節できる制度です。フレックス制も変形時間労働制の一つに入りますが、変形時間労働制の場合は1週間・1ヶ月・1年と期間が定められています。繁忙期の労働時間を見越して、閑散期に休暇を多くしたり労働時間を短くするといった調整ができるのが変形時間労働制です。

フレックスタイム制のメリット・デメリット

フレックスタイム制を導入するメリット・デメリットを、ご紹介します。

メリット:柔軟な働き方ができる

フレックスタイム制を導入する最大のメリットは、従業員が柔軟な働き方をすることができるようになる点です。育児や介護など固定の勤務時間では両立できなかった家庭の仕事と会社の業務を両立できるようになるため、これまでは家庭の事情で退職していた人材を企業に留めることができます。

デメリット:他部署との連携が難しい

フレックスタイム制のデメリットとして、他部署との連携が難しい点があります。特にコアタイムを事業部ごとにわけている場合に起きやすい問題です。こちらは、コアタイムを統一したり、時間帯を重ねることで回避できます。

フレックスタイム制が向き・不向きの職種

フレックスタイム制には、向いている職種とそうでない職種があります。どういった職種が向いているのか、また向いていない職種は何か知っておきましょう。

WEB系やIT系の職種デザイナー・エンジニアなどが向いている

フレックスタイム制に向いているのは、時間や場所を問わずに働けるWEB系やクリエイティブ系の職種です。タスクと締切を決めておけば個々の技量で取り掛かることができるため、双方にとってもメリットがあると言えます。

サービス業のように実店舗で勤務する職種は不向き

実店舗での勤務が必要なサービス系や工場で一斉に作業する必要がある製造系の職種では導入が難しい面があります。店舗では営業時間が決まっているため、必然的に勤務時間もそれに準じたものになります。また、工場では作業をする際に人員の確保が必要です。勤務時間がバラバラになりがちなフレックスタイム制には向いていないと言えるでしょう。

フレックスタイム制の注意点

フレックスタイム制を実施する上での注意点を解説します。

従業員の労働時間を把握すること

人事の立場で重要なのは、従業員の実務時間をしっかりと把握することです。フレックスタイム制では、あらかじめ定められた労働時間を一定期間の中で消化する必要があります。この定められた労働時間から大きく逸脱していないか、多くても少なくても問題になりますので、よく確認をしましょう。

勤務時間を超過した場合は残業代を支給する事

フレックスタイム制では、残業代を支払う必要があります。一定期間内で定められた労働時間を超過した場合には、残業代を支給しましょう。

フレックスタイム制の企業事例

フレックスタイム制の導入事例をご紹介します。

事例1:時差出勤と時短勤務の併用でオーバーワークを激減

三井物産株式会社では、社員一人一人が生活の上での責務を全うした上で仕事の業績をあげる「ライフワーク・マネジメント」の考え方を推進し、2017年には時差出勤と時短勤務の併用を可能にしました。また、オフィス外でも会社支給のパソコンで業務ができるモバイルワーク制度も導入。利用した従業員の7割が効率性・生産性の向上を実感しています。

事例2:一人一人が違う勤務スタイルで離職率28%から3%に

サイボウズ株式会社では、離職率が28%になった2005年から独自の働き方改革を実施。2018年にはフレックスタイム制度をさらに自由にした働き方宣言制度を導入しました。これは従業員一人一人が自分の勤務スタイルを宣言し実行するもので、ライフワークバランスの充実を目指した制度です。他にも副業可など新しい施策を次々と打ち出し、現在では離職率は3%前後に落ち着いています。

事例3:コアタイムのないスーパーフレックス制度で海外との時差勤務が可能に

アサヒビールホールディングスでは、コアタイムのないスーパーフレックス制度を導入。これにより、海外との時差にあわせて勤務時間が超過していた社員も、拘束時間を気にせずに勤務できるようになりました。また、通常のフレックスタイム制度も導入。スーパーフレックス制度とあわせてフルタイム従業員の85%が利用しています。

まとめ

フレックスタイム制度は勤務時間をある程度自由にできるため、従業員にとって生活と仕事のバランスが取りやすくなる制度です。生活が安定することで生産性の向上にも期待ができます。自社にとってどのような勤務スタイルが相応しいのか、一度考えてみてもいいでしょう。

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