建設業界が人手不足に陥る3つの原因と対策│支援制度や成功事例も

母集団形成

建設業界の人手不足は深刻で、採用に課題を抱えている企業も多いでしょう。建設需要が高まる中、人材を確保するためにどのような対策をしていけばよいのか。この記事では、人手不足に陥ってしまう理由や原因をはじめ、採用成功につなげる解決策や事例をご紹介していきます。

目次

建設業界が人手不足に陥る3つの理由・原因
 1)過去の職人離れが波及している
 2)若手人材の獲得が困難
 3)労働生産性の低さ
建設業界の人手不足対策
 【1】労働環境の改善
 【2】業務効率化をはかる
 【3】雇用窓口を広げる
 【4】ICT化を進める

中小建設事業者への支援制度
 雇用管理制度助成コース
 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース
 作業員宿舎等設置助成コース
人手不足に悩んだ建設業の成功事例
 成功事例①:現場に遊び心を取り入れた広告塔でイメージアップ|株式会社 松井建設
 成功事例②:地方を逆手に取り移住やIターンを打ち出して母集団形成|有限会社 小松組
 成功事例③:女性の働きやすさを整備して雇用を確保|有限会社 原田左官工業所
まとめ

建設業界が人手不足に陥る3つの理由・原因

建設業界が人手不足に陥ってしまう理由・原因として挙げられるのが、下記3つです。

1)過去の職人離れが波及している

リーマンショック後、工事量の減少から建設業界では職人が業界を去る動きが多く見られました。そのため、景気が回復して建設需要が回復した現在も、職人数が不足することに陥っています。10年以内に60歳以上の技術者が定年を迎えることから、中長期的な担い手の育成が課題だと言えるでしょう。

(出典元:総務省「労働力調査」H30年平均より国土交通省が推計した図表より)

2)若手人材の獲得が困難

現在でも建設業界は力仕事や残業が多く、3K(きつい・汚い・危険)のイメージを持つ人が少なくありません。特に、若手人材については入職者が依然少ない状況です。国土交通省の試算によると、2025年度には47万人~93万人が不足する予測に。若手層が持つイメージを払拭できるよう、業界全体で取り組む必要があると言えるでしょう。

(出典元:国土交通省「建設産業の現状と課題」より)

3)労働生産性の低さ

下図は米国を100として、日本における産業の労働生産水準を表したものです。建設業においては対米国比8割と、生産性向上の遅れが目立っています。

なお、トンネルなどはこの50年間で最大10倍に生産性が向上しましたが、土木やコンクリート工についてはほぼ横ばい。丁張りや足場設置などに時間を要しており、まだまだ向上予知があると言える状況です。


(出典:国土交通省「我が国の産業別の労働生産性水準(対米国比、米国=100)(出典:通商白書2013)」より)

建設業界の人手不足対策

建設業界の人手不足は厳しい状況です。しかし、労働環境の改善や機械・システムの導入などで少しずつ解決の糸口が見えてきています。具体的な対策をご紹介しましょう。

【1】労働環境の改善

人材採用はもちろん、長期的な定着を目的とした、下記のような労働環境の改善は必須だと言えるでしょう。

・業務の汎用化(属人化を減らす)
・適切な工事期間の設定
・賃金水準の引き上げ
・週休2日モデル工事の拡大

近年は、国土交通省が建設業の業務負荷を軽減するために「建設キャリアアップシステム」(CCUS:Construction Career Up System)という取り組みも始まっています。これは、就業者の保有資格や就業履歴等をシステムに登録して見える化することで、事業者の業務負担軽減につなげようという取り組みです。

このような包括的な労働環境の改善によって、少しずつですが業界内でも改善の動きが見られています。

【2】業務効率化をはかる

建設業界でもIT技術が導入され、最近では省人化と業務効率化が進んでいます。3Kのイメージが強い業界ですが、作業負担を大幅に軽減するアシストスーツや現場でマニュアルなどを見ながら作業できるメガネ型のウェアラブル端末など、先端技術も活用され始めています。

今後は、ドローンによる測量やICT建機による施工など、大型の機械も導入されていくでしょう。各企業がこのような技術を積極的に取り入れ生産性向上と業務効率化に取り組むことが重要です。

【3】雇用窓口を広げる

人手不足への解決策として、雇用の窓口を広げることも一つです。特に外国人材の受け入れは、国を挙げて行われてきました。東京オリンピック施設の建設需要に伴い、技能実習を修了した外国人材の活用が推進され、建設業に従事している外国人労働者の数は2017年には5万人以上となり、過去10年間で6倍以上に増加しています。

また、労働環境の改善や業務の効率化によって、女性の雇用も視野に入れることができます。今までは日本の男性が採用ターゲットでしたが、今後はターゲットを広げていくことが大切です。

【4】ICT化を進める

世の中のデジタル化の流れに漏れず、建設業界でもいま「情報通信技術(Information and Communication Technology)」による業務効率化や品質向上が求められるようになっています。そして、建設業界で生き残る上で重要なのは、少ない人数で多くの仕事をすることだと言えるでしょう。

こういった課題解決の一手として有効なのが、建設ICTです。
図面管理や報告書の作成をインターネット上で行うことはもちろん、海外では3Dプリンタで建物や橋梁を建設する技術が確立されている時代です。

3Dプリント住宅

(画像引用元:3DP id.arts「欧州初の2階建て3Dプリント住宅」)

こういったICT技術を活用することは、人手不足を緩和する一手となるだけでなく、労働者のストレス緩和などにも繋がると言われており、今後ニーズの高まりが予測されます。

中小建設事業者への支援制度

人手不足に苦しむ中小建設事業者向けに作られた「人材確保等支援助成金」をご紹介しましょう。

雇用管理制度助成コース

◆目標達成助成
若年層及び女性の入職率を達成した企業に対して支給される助成金。

 第1回:57万円<72万円>
 第2回:85.5万円<108万円>

◆登録基幹技能者等の処遇向上支援助成
事業者において重要な役割を担う登録基幹技能者の賃金テーブル or 資格手当を増額した場合に支払われる助成金。

 1人あたり年額6.65万円<8.4万円>又は3.32万円<4.2万円>(最長3年間)

若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース

◆事業主経費助成
コース名の通り、若年層及び女性の入社意欲を高め、長期的に働きたいと感じさせる制度を整えた事業に支払われる助成金。

 中小建設事業主:支給対象経費の3/5<3/4>
 中小建設事業主以外の建設事業主:支給対象経費の9/20<3/5>

作業員宿舎等設置助成コース

◆作業員宿舎等設置助成
被災三県(岩手県、宮城県、福島県)にある工事現場に関し、作業員の宿舎、賃貸住宅、作業員施設といった居住・生活できる環境を用意した事業者に対して助成。

 支給対象経費の2/3

◆女性専用作業員施設設置経費助成
建設工事を施工主から受注し、自社で施工管理する建設工事現場に女性専用の作業員施設を貸借した場合に支給。

 支給対象経費の3/5<3/4>

※<>内の金額は生産性要件に依る。
※詳細は厚生労働省の「建設事業主等に対する助成金」をご確認ください。

上記の他にも、若年層や女性を一定期間トライアルで採用した場合の助成金や訓練・実習支援制度もありますので、併せて確認されると良いでしょう。

人手不足に悩んだ建設業の成功事例

人手不足に悩んでいる建設業界でも採用に成功している企業があります。今回は3つの成功事例をご紹介します。

成功事例①:現場に遊び心を取り入れた広告塔でイメージアップ|株式会社 松井建設

松井建設は、土木工事やダンプ運送・クレーン作業などをおこなう茨城県の会社です。労働環境の改善として、現場に遊び心を取り入れた施策を行っています。

「若者に敬遠されがちな建設業界のイメージアップにつなげたい」という社長の想いから、Tシャツブランド「OJICO」とコラボレーションして、ユニークなデザインのクレーン車をつくりました。このクレーン車が広告塔となり、地元の新聞にも取り上げられ、採用広報として若年層にもアプローチできているようです。

参考元:株式会社 松井建設|私たちについて>遊び心が詰まったクレーン車。

成功事例②:地方を逆手に取り移住やIターンを打ち出して母集団形成|有限会社 小松組

小松組は、岡山県の公共事業を請け負う従業員8名の小さな会社です。同社がある西粟倉村は、人口1500人ほどの小さな村ですが、積極的に他県からの移住者を受け入れる取り組みをしています。

そこで、同社は大阪で開催された合同会社説明会に参加し、移住やIターンを希望する人たちに直接PRをおこないました。その結果、若年層を中心に100名以上の求職者がブースに来場し、有益な母集団形成に成功しました。

参考元:有限会社 小松組|本気の採用 春の陣

成功事例③:女性の働きやすさを整備して雇用を確保|有限会社 原田左官工業所

原田左官工業所は、東京都に本社を置く左官工事を請け負う会社です。人手不足対策として、30年前から女性の雇用を促進しています。女性の働きやすい制度や設備を整え、建設分野での女性活躍の先駆けとして複数のメディアでも取り上げられています。

また、自社HPでも「女性職人活躍中」というオリジナルページをつくるなど、対外的なPRに注力しています。2014年には、同社の女性社員が建設業女性の代表として、当時の安倍首相を表敬訪問しています。このように、労働環境の改善や雇用の窓口を広げることにより採用を成功させてきました。

参考元:有限会社 原田左官工業所|女性左官職人活躍中

このように採用難と言われる建設業界においても、環境を整備し、間口を広げることで採用成功に至っているケースも増えてきています。

しかし、この記事を読んでいる企業の中には「これ以上条件を良くすることはできない」と悲鳴を上げているご担当者もいらっしゃることと思います。そんな場合は、採用のプロである採用代行業者へ任せるのも一つの手です。採用計画や候補者集めをはじめ、選考活動や内定者フォローまで依頼できる業者もいます。

「認知度が低い」「工数が割けない」といった採用代行業者を導入すべき企業の特徴をはじめ、業者を選ぶ際のポイントやおすすめサービスを厳選してご紹介しています。ご参考になさってください。

関連記事:採用代行(RPO)・採用アウトソーシング13社の特徴・料金を比較

まとめ

日本の労働人口の減少に伴い、建設業界の人手不足はさらに厳しくなるかもしれません。しかし、労働環境や処遇の改善や先端技術の導入、雇用の窓口を広げることによって、解決する方法も見えてきています。成功事例を参考にしながら、自社の採用活動に取り込んでもよいでしょう。

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